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第二話 幻想世界の因果関係―2

ようやく登場!

ふと、空気が変わった。森の陰りが深くなり、周りから音が消えた。まるでここから生き物がいなくなったかのように。風は止み、葉擦れの音すらしない。

「一体なんだ?」

「周りに生き物が感じられません……」

「……恐ろしく巨大な魔力を感じる。どうやら大物のお越しのようだよ。」

そうこうしているうちに得体のしれない圧迫感がひろがってゆく。

空気がどんどん張りつめていくのがわかる。

その場にいるだけで膝をつきたくなるような圧力が頂点に達したその時、空から巨大な魔力が降りてきた。

黒い鎧に包まれた巨大な体躯、その背に背負われた禍禍しい剣、溢れ出さんと謂わんばかりの邪悪な魔力、目の前にいるだけで圧倒される力、これは……

「魔王……なのか?」

「カレンの魔力が感じられなくなって来てみれば……こんな者たちに敗れたと言うのか?」

「おい、答えやがれ!お前は一体何者だ!」

「この圧倒的な魔力……メルシアス様の伝承の通り……」

「なんにせよ、こんだけ威圧的に出てきてるんだ。友好的とは言いがたいと思うけどねえ。」

そんな風に言いながらもベルキーの顔にはうっすら汗が流れている。

巨大な魔力に皆が萎縮するなか、一番最初に動いたのは―ケインだ。

「なんか言えよこのやろう!」

剣を振りかぶって攻撃する。激昂してる訳じゃない、ちゃんと冷静に隙の少ない攻撃を仕掛けている。前を横切るケインのおかげで、僕は正気に帰る。

「ベルキー、牽制の準備。メルスは防御魔法を!」

そういいながら、僕も魔王を打ち倒すべく攻撃する。しかし魔王は避けようともしない。

黒い鎧に斬りつけるが全く感触がない。

「ファルク!こいつ剣の攻撃は利きづらそうだ!お前は魔法で攻撃しろ!」

そういわれ魔法に切り替える。僕の光魔法はどんな魔法より早い。これを当てれば!

「『降り注ぐ光線』!」

しかしやはりダメージはないようだ。

僕より圧倒的なダメージを叩き出すはずのベルキーの火魔法でさえびくともしない!

「おいおいこいつ剣も魔法もきかねえってのか。一体どう言うことだ!」

「ふん ……つまらんな」

「おかしい……伝承じゃあここまで圧倒的じゃなかった。何か秘密が!」

「秘密でも何でもない。ただ貴様等が弱すぎるだけの事だ。しかし妙だ、この程度の力でカレンを倒すだと?」

「おい、そうだベルキー!イフリートだ!あの湖を干上がらせたあれなら少しはダメージも与えられるかもしんねえ!」

「……無理よ。イフリートを使役するために魔石に貯めていた魔力全部使っちゃったもの。今更貯めることなんてできないわ」

「なるほど……イフリートの力か、いかに彼奴と言えど水がなければ本気は出せまい。」

「興が削がれた……一発だけ相手してやろう」

魔王に巨大な魔力が集中していく

「これはちっとまずいかもな……」

「食らうがいい……」

その瞬間!

「『覇王の陸砕拳』!」

「ぐはっ」

メルスの拳が魔王の背中を撃ち抜く!

魔王は血を吐き出し、鎧は大きく凹んだ。

「おっしゃー!さすがメルスだぜ」

「……あの子はなんていうか相変わらずね」

そう、僕たちで一番強いのは僕じゃない。

ベルキーでもないし、ケインでもない。

このパーティー最強は、間違いなくメルスだ。

メルスには圧倒的な速さ、威力、回復。この三つがある。

一番最初に防御を指示したのはそのためだ。一撃でも耐えればメルスは自分の怪我ならすぐに治せ、また、聖女としての加護を受けた彼女の防御魔法は自分の身を守るだけでなく、敵を攻撃する時に非常に強力な武器になる。

敵の攻撃を掻い潜り、強力な攻撃を当て、傷を受けても瞬時に回復する彼女がこのパーティー最強なんだ!

「今のうちに逃げましょう!今の私たちでは敵いません!」

「そうだね、撤退だ!」

身を翻し、駆け出す!

「本当は逃がしてもう少し歯ごたえのある相手になってから殺そうと思っていたが……気が変わった。勝負だ勇者!」

魔王がどんどん近づいているのがわかる。

「まずは詫びよう!貴様等を甘く見たことを!」

「もはや一切の油断もない!全身全霊をもって相手をしようではないか!」

「このままじゃ追い付かれるわね……」

「くそ、俺があいつを引き留める!俺がお前らを守らなきゃいけないんだ!」

「行け!ファルク、メルス、ベルキー!ここは俺に任せて―」

その瞬間、地面が光輝く

巨大な円に複雑な紋様が書かれた謎の図形

その不思議な光景に、勇者たちはおろか、魔王までもが足を止めていた。

「何だ!魔王の攻撃か?」

「これは古代の魔方陣?でもこんな構成見たことも……」

「これもメルシアス様のお導きでしょうか……」

「これが貴様等の次の手か!もっと私を楽しませるがいい!」

「一体……何が起こって……」

光が一際強く光った後、そこには―

「はあ、またか。一体ここはどこの世界だ?」

一人の男が、立っていた。

小柄な体、深く被ったフード、たなびくマント、古ぼけた大きな本を抱えるその男は辺りを見渡すと―

「僕は魔本使い。君は誰で、ここは何処だい?」

そう、名乗った。

(どうでもいい)補則

多分「覇王の海割拳」※液体に効果的

とか「覇王の天裂拳」※気体に効果的

とかあるんだろうな―

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