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それは名も無きプロローグ

どうも、鬼塚芝丸です。宜しくお願いします!

とある時代、とある世界に神様に管理された世界があった。

その世界にある一人の子供が生まれた。それが全ての始まりだった。

石だたみの道を駆け抜け広場に出る。

「『 』遊びに行こうぜ!」

僕は友達の「 」に名前を呼ばれて振り向く。

「気をつけて行ってくるんだよ。メリア様の導きがあらんことを」

八百屋のおばさんに声をかけられながら進む。

「うん、おばさんにも加護があらんことを。」

今日は何をしよう

幼馴染みの二人と森であそぼうか

教会に行ってメリア様に祈ってこようか

「今日は森で羊狩りしようぜ」

「そうだね、早く行こう」

「ちょっと待ちなさいよあんたたち!私を置いてく気!」

そうだ、彼女を忘れるところだった。

やっぱり僕たちは三人いないとつまらない。

「「 」 お前は女同士で遊んでればいいだろ!」

「うるさいわね、私は悪ガキのあんたを見張ってなきゃいけないのよ。あんまり変な事したらメリア様に言いつけてやるんだから!」

「何でお前に見張られなきゃいけないんだよ。」

「あんたから目を離すとろくなことしないからよ!」

僕の幼馴染みが出会うといつもこうなる。

でも別にお互い嫌いな訳じゃない。

口喧嘩がひどくなった時泣いてしまったのは恥ずかしい思い出だ。

二人の口喧嘩は仲がいい証拠なのだ。

「へいへい、そんなことしなくてもいつでもメリア様は見守ってくれてるけどな」

「それとこれとは話が別よ!メリア様に迷惑かける前に私が止めるっていってるの。それに……」

彼女と目が合う。

彼女はすぐに目をそらしてまた言い合いを続けている。

なんだか二人ばっかり話しているのはおもしろくない。

「ほら、二人の仲がいいのはもうわかったから、早く森へ行こう!」

二人の手を引っ張る

「おう、じゃあ最初の狼は俺な!」

「……もう何言ってるのよ!勝手に決めないでよ!」

そんな普通の、いつもどおりの日だった。


―僕は何を間違ってしまったのだろう―

森から帰ってきた僕らを待っていたのは地獄だった

家は焼け、煙が至るところに立ち上ぼり、綺麗な石だたみは崩れ、まるで石でも落ちているかのようにたくさんの人の……

「おい、親父、おふくろ!返事をしろー!」

「ねえお母さん、お父さん大丈夫⁉しっかりして!」

「 」の父親と母親が家の下敷きになっているが見えた。

「いや、いやぁ しっかりしてよふたりとも」

何が起きているのか全くわからなかった。

「早く逃げなさい。ここは危ない」

「やだよ、お母さんとお父さんをおいていきたくない!」

「私たちの事はメリア様がなんとかしてくださるわ、だから早く!」

何がいけなかったんだろう。

「おい、『 』、「 」早く教会にいくぞ」

「なんでよ!二人は置いてけないよ。」

「俺たちがいたって何もでき無いだろ!早くメリア様にいいに行かないと」

ふと目のはしに石だたみが燃えているのが見えた。

「ほら、おまえも、ぼさっとしてないで早くいくぞ」

もっとよく考えていればすぐにわかったかもしれない

いや多分……気づきたくなかったんだろう。



燃え盛る炎の間を走る。

メリア様の力で火は僕たちを傷つけないはずなのに焦げるように熱かった。

「ほら、頑張れ、後少しだ!」

こんな時でも彼は僕たちの前を走ってくれている。

そんなことを思っていると急に右から家が崩れてきた。

「危ない!」

僕は彼女を突き飛ばした。

ゆっくりと瓦礫が自分に降りかかって来るのがわかる

死にたくない―そう思って目を閉じると……何も起きない。

辺りを見渡すとちょうど僕を避けるように瓦礫が散らばっていた。

「大丈夫?ケガしてない⁉」

彼女は泣きそうな顔で僕に顔を近づけた。

「大丈夫、なんともない。あいつに気づかれる前に早く行こう。」

彼女はまだ心配そうな顔をしていたが、あまりここにとどまっても危ない。

「急ごう」


なんとか瓦礫の道を抜け出すとようやく教会に着いた

「着いたわ 早くしらせないと」

教会の中に入ったとたん頭の中に声が響く

―奥に来なさい『 』あなたにはやるべき事がありますー

よく聞くメリア様の声だ。

「ちょっとどこ行くのよ!そっちは勝手に入っちゃいけない……」

「メリア様から話があったんだ。奥に来てって」

「そっか……なら早くいってきなさい。あなたならちゃんと説明できるでしょ」

僕は教会の奥へ足を進める。

今日の朝のことを思いだしていた。

僕は朝、母とけんかした。理由は何だったか覚えてないけどきっと大したことではなかったと思う。

「母さん何かオーブンで火傷すればいいんだ!」

それが家を出ていく時に言った言葉だった。

メリア様の力の下、火は僕たちを傷つけない。

それだけじゃない、家はそう簡単には壊れないはずだし、石だたみが壊れたことなんて一度もなかったはずだ。家は専門の神官様じゃないと壊せないはずだし、 だいたい石が燃えるなんて……

そう、だからあれはあり得ないんだ。火傷しちゃえなんていっても火は僕たちを焼かない。

ただの冗談だったんだ。傷つけたいなんて思ってた訳じゃない。精一杯の反抗だった。

……はずだった。

僕はすでにうっすらとわかっていた。それは理由でも理屈でもなかった。

それはさながら**に刻まれた本能のような―

―よく来ました。我が愛しき『 』よ―

いつの間にか一番奥まで来ていた。

僕は……

―わかっていますね、あなたが何を為したかを―

わかっていた

家は普通の方法では壊せない。メリア様の力を借りた神官様だけが可能な「奇跡」だった。

石だってそうだ。石が木でも燃やすように燃えるはずがない。そんなことができるのは……

「僕は奇跡が使えるのですね……」

―そうです。より正確に言えばあなたは神であるということです―

―ここでは神が生まれる事はありません。それがこの世界の掟なのです―

―私は自分の世界のなかでは自由に力を扱えますが、その代わり他者を害する事はできません―

―裁く事はできますが、傷つける事はできないのです―

「メリア様……僕を裁いてもらえますか?」

―残念ですが、神が私しかいないこの世界で存在してしまっているあなたは既に私のもとを離れています―

―子が親を越え離れて行くのは喜ばしいことですが、もうあなたを縛る事はできないのです―

僕のせいだ。

僕が両親を、幼馴染みを、そしてメリア様までも傷つけてしまったのだ。

僕は生きていて―

―ですが私は力がなくとも「正義」の神です。民を守るため、罪を罰するため―

―正しくするために、力を使わなくてはなくてはならないのです―

―あなたには申し訳ありませんが、私の世界から追放させて頂きます―

―これ以上私の世界を壊される訳には行かないのです-

―追放するにあたって2つの罰があります―

―まず1つめ、あなたは既にこの世界の住民ではありません―

―ですのであなたのこの世界の住民である証の名前を奪います―

―あなたは一生この名前を名乗る事は許されません―

―そして2つめ、あなたは死ぬ事を許しませんー

―生きている限り、懺悔し続けなさい―

メリア様は全てお見通しだった。僕が死に逃げようとしているのをわかっていた。

そして変わらず優しかった。メリア様がそんなこと言わなくても、僕は死ぬことができないのに。

なら―

「もし、もしもこの力を捨てて、いつかここに帰ってこれたら、あなたのそばにいてもいいですか‼」

―待っています、いつまでも―

―名も無き我が子が、ここに返ってくることを―

僕の全身を光が包む

これが全ての始まり

これは僕が大嫌いな自分の「負能力」を捨て去るまでの――

気が遠くなるほど長い、贖罪の話。


補則

「羊狩り」 一人が狼となり、残りの人間が羊となり逃げるゲーム。つまり鬼ごっこ

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