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次元術師と凱旋の虚無門 (ゼロゲート)  作者: Pinetree
0-dimensionals 【ゼロ次元達】
2/4

Ⅰ刻 「本当の異世界さんコンニチハ」

 飛行機を降り、皆はホテルのフロントに集まることになった。もともと学校で班は決められているので、班ごとで並ばされる。

 決め方は先生の独断、つまりランダムのため、誰となるか物凄い不安であった。場合によってはこの7日間を気まずいおもいで過ごさなくてはならないからだ。


 ――しかしその不安は呆気なく打ち砕けた。

 なんと俺はラッキーな事に、親友の修斗と、クラスでは三本指にはいる美少女と同じ班になったのだ。


「それにしても偶然だな〜」


 クラスの人数は40人。そして三人グループが作られるから……俺の計算が正しければ大体二十分の一といったところだろうか。

 相当運が良かった。恐らく、修斗とは切っても切れない縁でもあるのだろう。そう思う事にした矢先―――


「クロっちまさか、これ偶然だとおもてんの? 先生に紙の束握らしたら快く引きうけてくれたぜ」


 そんな突然の告白におどろきを隠せなかった。俺の計算も心配も無駄になってしまったではないか!


「まっ、マジかよ! それ早くいってくれよ。不安で不安で、発表まで胃がキリキリだったんだぞ!」


「わりぃわりぃ、いうの忘れてたや」


 流石この学校でも指折りの金持ち学生と貧しい担任。こいつの金銭感覚疑うぜ。

 で……そんな話をしているうちに、先生は説明を終えていた。


「では皆さん、班行動の時間です!」


 とりあえず大きな荷物は部屋に置き、ホテル出口で集まることにした。


「で、どっかいきたいとこあるん?」


 待ちに待っていた、というのは確かなのだが、実際に来てみるとどこに行くか迷う。


「ん〜 俺は特にはないけど君は?」


「えっ……と 何処でもいいです」


 来る前に決めておけばよかった。そう遅すぎる後悔をしながらも、こうしていても拉致があかないと思い、取り敢えず町並みを見にいきがてらぶらりと散歩することにした。


「まだ日にちはたっぷりとあるし、じゃっ、行くか 」


 やはりヨーロッパ。交通整備などが整っている近未来な日本と異なり、どことなくファンタジーの雰囲気を醸し出している。

 周りは背の高い外人ばかりなので翔哉達はかなり目立つ。

 何か記念になる物を売ってるお店でも探そうと歩いてると狭い路地に入り込む。


「なんかあそこに教会っぽいのみえねー?」


 路地の方向の上辺りに、十字架の付いた三角錐の屋根が見える。青みがかっており、所々に年代を思わせる汚れがみられる。一人ならば絶対に入り込むことはなかっただろう


「確かに……少し行ってみるか」


 意を決して三人で狭い路地を進むと、案の定小さなどこか趣のある教会が建っていた。


「あれなんだろ? 鳥居みたいのがあんぞ! クロっち知ってる?」


「鳥居じゃなくて、凱旋門ではないでしょうか? 昔見たエトワールとは比べ物にならない程小さいですが」


 凱旋門……まえにやったMMORPGにもあったな、えっと確か……


「軍事的勝利した際に建てるやつか!」


 それを思い出すと段々と興奮してきた。女の子の前では恥ずかしいが欲には理性が勝てなかった。


「修斗、くぐろうぜ?」


「おっ、中二病復活か?まぁいーぜ。先クロっちくぐってみん、写真撮ったげるから!」


「うるせぇ!」


 と、言いつつ内心感謝していた。


 凱旋門をくぐる。すると、何だか少し寒気がした気がした。多少疑問に思ったが細かいことは気にしないとこう。

 そして目を閉じ、カメラのある方へ向き、天才が作り出した少しおばかなロボット風にルイ14世のものまねをしてみたりする。この国と関係があるかどうか知らんが……

 因みに歴史は大の苦手科目である。


「朕は国家ナリー」


 ……しかし反応がない。女の子前にやりすぎたか? それとも古すぎた? と内心ひやひやしていたが思い切って目をあけると……


「……ッ!?」


 修斗達がいない。ほんの数秒前、くぐる時には確かにカメラを構えてる二人の姿があった。 脅かそう隠れているのだろうか?

 しかしここら辺はモノが少ない。こんな少しの間に隠れることは困難だろう。


「二人とも、どこ行ったんだよ……」


 そうつぶやくと、後ろから足音が聞こえた。

 修斗だろうか? 全く……人にくぐらせてなにをしてんだか。


「何してたんだy……」


 振り向くより早く、何か重低音が頭に響く。


 最初で最後の楽しい卒業旅行のが1日目で終わりを告げた。


 ********************


「――なっ、何処だここ」


 と言ったが。目の前に先程の凱旋門が見えたので場所は変わっていないようだ。それより今何故意識を失ってたのか……


 その答えはすぐに帰ってきた。


「君ぃ〜、ここは立ち入り禁止区域だよ~! 思わずバケツで殴っちゃったじゃないの~」


 後ろには少女が立っていた。身長の低い、黄色髪のショートヘアー。修道女に見える。

 一見優しい顔だが手には殺気が満ちている。


「えっ、あっ、すみません。それより今ここに二人組の男女がいませんでしたか?」


 取り敢えず、意識を失う前からいない二人の安否を問う。


「それは君の仲間かい? ん~、みてないな~。っで、君はどうやってここに入ったの? 魔制壁で囲まれてるからそう簡単には入れないはずだけど~」


 呆れて帰ってしまったのだろうか。取り敢えず二人のことはおいて置き、彼女の質問にこたえる。


「魔制壁? 聞かない言葉だがそんなもの無かったぞ 。それにちょっとだけこの門くぐっただけだ」


 今しがたあった出来事を話す。


「!?……今君なんて言ったの?」


「だから、門をくぐった。確か凱旋門っていったっけ? それより……ここさっきの場所だよな」


 やはり見た目は変わっていない。しかしどことなく雰囲気が変わったように感じる。


「まさか……いや、でも……そんはずはないわ……よね? 」


 彼女は驚きの隠せない表情でこちらをを伺っている。恐怖や怒りではなく、ただただ唖然としている 。

「勝手に入ったことは本当に詫びる、ただ2人を探さなきゃいけないから。もう出てっていいか?」


「まっ、まって! 今婆さまにあ会ってもらうわ!……そっそうだ、立ち入り禁止区域に勝手に入ったのだもの」


 とって付けた言い分だが、こちらにも非がある。仕方なく教会の中へ入っていくことにした。


「思ったより広いな。それに綺麗だし」


 中は塵一つ残っている様子がない。広間も広く多くの扉があり、入って正面辺りに二階へ続く大きな階段もある。


「当たり前でしょ? 清掃魔法がかかってるんだから 」


「まっ、魔法? 君、頭いっちゃってないか?」


「魔法をしらないの!?……やっぱり。んっと、今婆さまが色々と説明してくれるわ」


 すると奥の扉がひっそりと開いた。そこから歳のとった女性が目を細めてこちらを見ている。


「セシル、帰ってきとるのか?」


 恐らくセシルというのは俺といる女の子のことだろう。


「はい。シスターマチルダ。そこで……この人についてなのですが」


 先程までのおどけた口調が正されている。根は礼儀正しい奴なのだろう。


「もしや普人の祖なるものか……ふむ、まさかのぅ。あの記録はほんとじゃったのか」


 マチルダとよばれるそのシスターは自分の世界に入ってしまっている。


「あのぅ、すみません。先程からなにを言ってるの かさっぱりなんですが……」


「すまない、すまない。まぁ驚くのも無理もないのぅ。単刀直入に言うと、ここは君の世界と似て異なる別の世界じゃ」


 耳を疑った。今この人はなんて言った?


「外国であるってこと……ですよね?」


「んなゃ、違う。言ったまんまじゃよ。つまり、君の世界でいう異世界じゃ」


 そもそもさっきからおかしい、魔法など魔制壁など。宗教かなんかか?

  そして今しがた思い出した、ここが日本ではないことにことに。治安は相当悪いと前にテレビで見たことがある。

 日本語で話してたから忘れてたが……ってな んで日本語しゃべれんだ?もしかして日本の観光客を教徒に無理やりする新手の宗教か?

  二人が消えたのももしかしたら……そうすれば辻褄があう。 そうして一つの結論に至った。


 ――コノヒトタチアブナイ――


 そう考えると即座に行動へ映した。


「すっ、すみません!急用思い出したんで、おいとまさせてもらいます!」


 思いっきり今来た道を駆ける。

 後ろを振り返ってはだめだ! 早く先生に連絡しなくては!

 そうしてスマホを取り出し、走りながら電話するが……


「なんでこんな時にでねーんだよ!」


 そう担任への怒りを含みながらも走る。足をとめてはいけない。ただそれだけを脳が支配していた。すると不意に光が見えた。先程の大通りだろう。 そこへ出られれば!


 ――しかしその希望はすぐ砕かれた。


「―――ッ!?」


 目の前に広がる光景に戦慄する。


 ――大通りを歩いてる。耳や尻尾が生えた人、背の低いおじさんの様な人。つまり、ファンタジーには欠かせない、様々な種族の人達が……………


 すると不意に後ろからセシルの声がした。


「君早いねぇ、わたしも足にはそれなりの自信あるのになぁ~。で、ようやく理解した?」


「うん、理解した!……ってほど俺は理性的じゃねーよ、なんだよこれ!」


「これ見てまだ疑うの~ほらっ私にも尻尾あるよ〜 。君のいた世界って人間一種族なんでしょ?」


 ――現実は小説より奇なり……まさにそう思い知らされた。

最初なので短めです

段々と量も増やしていきます

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