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「余が天気予報士に?」

「あぁ、そうだ。お嬢ちゃんは可愛いし、どうせ任されるのは深夜枠だから好きにやっちゃっていいよ。」


 番組名は「絶対命中!天気予報」になった。

 インパクトはある、売り文句は『気象庁に喧嘩を売れ!魔法少女が天気を必ず的中させる!』だった。

 魔法少女?



「失礼しまーす」

「おぉ出来たか。お嬢ちゃんにはこれを着てもらう」

「……スカートが短くないか? 」


 フリルが大量に使われた、非常に可愛らしいドレスだ。

 余は長らく黒衣のローブを着ていた。足など全く出していない。

 嫌々着てみる……うわぁ、太ももまで丸出しではないか。

 しかし鏡を見てみると可愛いというのも頷ける。


「魔法少女 きゅーてぃくるうぃっち☆ルミルミです。一人称は余ではいけません。ルミたんにしてください」

「お、おう……」


 一緒に同居している男がやけに熱く語っている。

 そういえばこやつの引き出しの中に大量の映像媒介があったが、どれもこのような服装のおなごが書かれていた。

 いや、何だこの未来は。余とこの男がひたすらテレビで、その魔法少女とやらの映像を見続ける未来が見える。


「で、ルミさんにはこれから勉強してもらいます」

「べ、勉強?」


 まさかこの未来の事か?

 未来を見ると丸々三日、魔法少女とやらの映像を見続ける未来になっているのだが……。

 い、いかん。回避せねば。

 

「しかし、仕事があるのだろう?余には構っている時間は……」

「有給を取りました。一週間。」

「い、一週間!?」


 三日間の未来の先を見てみる。

 魔法少女の映画、雑誌、そして魔法少女としての練習をしている余の姿が見える。

 駄目だ、この未来は何らかの力で固定されておる。

 回避は、回避は出来ないのか……!




 ■ ■ ■ ■ ■



 それから十日後、本番の撮影が始まった。

 深夜日曜日に五分だけ放送する小さな番組だが、最初はそれでいい。

 いつか部下の目に留まる事を信じ……いや、この姿は見られたくないな……。


「はーいじゃあ本番行きまーす。ごーよん。さん。にー……」


 カメラという機器を向けられる。

 流石に三百年を超える年を重ねた身でも、こんなことになるとは思いもよらなかった。

 そして番組が始まる。







「はぁーい、良い子の皆ぁ!はじめまして!きゅーてぃくるうぃっち、ルミルミだよ!ルミたんって言ってね!

ルミたんは魔法が使えるんだ!この世界の天気だってばっちり分かっちゃうんだから!

横浜市の水曜日の天気、キショウチョウは三十パーセントの雨って言ってるけど、そんな曖昧な表現、ルミたん許しません!

水曜日の天気は晴れです!小田原では五時から局地的に雨が降るけど、横浜ではぜーったいに降りません!」


 こうして間違った魔法少女像を抱きながら、ルミたんの日本での生活が始まった。

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