#1_ゲイルナグーク、不肖の弟子をおしおきっ!する
「やはり我の思い描いている事こそが正しい」
長老たちをまとめて押し込んだ会議室を後にして、ケイエルカンガは呟いた。
ある日の昼過ぎ、部族長老議会に向かおうとしていた長老たちに、ヅォラシャイス人シャスタハ族のケイエルカンガは言った。
「では伯父上をはじめ、他の長老の方々も、我等の考えにご賛同いただけると考えてよろしいと?」
ケイエルカンガはやや芝居がかった感慨深い様子で、シャスタハ族長老たちにうやうやしく頭を下げた。
「これからは汝たちの時代でもある。汝たちの意見にも耳を傾けねばなぁ」
シャスタハ族の長老の五人のうちの一人で、ケイエルカンガの伯父でもあるハリシャハ老は言った。
「おぉ、ありがたい。シャスタハ族で最年長の伯父上にそう言っていただけると、ことさら我の信念の大きな支えとなりましょうぞ」
ケイエルカンガはやはり芝居がかった様子で左手を胸に当て、ハリシャハ老たちにまたも深々と頭を下げた。
「では、我等と伯父上たちのお考えをシャスタハ族の考えとして、他の族長たちに我がお伝えいたしましょうぞ。さすれば、伯父上たちはどうぞ、あちらの部屋でごゆるりと」
ケイエルカンガはシャスタハ族の一番大きな会議室の奥の控室に手を差し伸べ、自分の周りに居並んでいた配下の者たちに、控室へとハリシャハ老たちを誘導させようとした。
それに、
「おぉ、我が甥よ」
ハリシャハ老は温和な表情を浮かべて言った。
「それにはおよばぬ。我等は他の者たちの意見もあずかっておるゆえな。なに、汝の意見も議会でのべるがよい。なれば、我等と一緒に来るがよかろう」
「いえいえ、伯父上殿」
が、ハリシャハ老の言葉はまるで受け入れるつもりはない様子で、ケイエルカンガは毅然として言った。
「これからの部族長老議会をはじめ、他の議会にもこのケイエルカンガが参ります。どうかこの私めにすべておまかせを。さ、長老たちをあちらへ」
ケイエルカンガは有無を言わさぬ様子で、十人ほどの、自分の“ヅォラシャイス人社会改革”の謀略に乗った同族シャスタハ族の兵士、精神感応力者たちに長老たちの周りをぐるりと壁の様に取り囲ませた。
「……」
それにハリシャハ老たち五人の長老たちはそれぞれに顔を見合わせ、やれやれといった様子でため息をついた。
「さようか。最近、汝がなにやら忙しそうにしておるとは思うておったが。こういう事か。お主は気付いておったか、シャサズィイ?我が甥は確か、お主の教え子でもあったが」
ハリシャハ老は隣に立つ、やはりシャスタハ族長老の一人で、シャスタハ族随一の物体移動、物体破壊能力者であり、精神感応力の師匠でもあるシャサズィイ老に温和な表情のまま言った。
「いやいや、なんとまぁ」
それにシャサズィイ老もまた、まったく呑気な様子で言った。
「まったくもって知らなんだなぁ。それ、この歳でな、この頃は我も自分の事でめいっぱいでなぁ。若い者たちの事などに気を取られておるどころではないわい」
武装した兵士たちに囲まれたまま、シャサズィイ老はフォフォフォ、と笑った。
「我が甥、ケイエルカンガよ」
ハリシャハ老は自分よりずっと上背になった甥を見上げながら言った。
「はい、伯父上」
事態をまるで気にしていないらしい(?)二人の老人を無表情に見下ろして、ケイエルカンガは応えた。
「お主は幼い頃から頭のめぐりのよい賢い子で、我の自慢であった。が、しかし、我は汝の困ったところもようわかっておるぞ。お主は自分の考えにとらわれすぎて、ともすれば周りを見ておらぬ事がよくある」
ハリシャハ老は穏やかな様子のまま甥を見上げていたが、その面には少しばかり困った様な表情も浮かべていた。
「汝は能力のある者ゆえ、そこが惜しいところだ。我にとっては汝は今でも、いつまでも我の自慢の大事な可愛い甥っ子だ。この年寄りの言葉も少しはわかってほしいものだな」
ハリシャハ老は憐れむ様な目で甥を見上げ、口の端に微笑を浮かべた。
「おぉ、伯父上、なんとありがたきお優しいお言葉。この不肖の甥ケイエルカンガ、ありがたいばかりでございます」
ケイエルカンガはまたももったいをつけた様子で長老たちに深々とお辞儀をして、
「では、ご老人たちを丁重にお連れしろ」
配下の者たちに長老たちを控室と連れて行かせ、そのまま軟禁状態にした。
「やはり我の思い描いている事こそが正しい」
長老たちをまとめて押し込んだ会議室を後にして、ケイエルカンガは呟いた。
(そうだ、ハリシャハ伯父も言っていたように、これからは我等の時代なのだから)
(ハリシャハ伯父も他の年寄りたちも、そう、他の部族の年寄りたちも、みな、もう引退して知恵も能力も優れた我等シャスタハ族の傘下に収まるべきだ)
(今の世をまるでわかっていない、頭も身体も能力も老いさらばえて衰えた者たちに部族の将来を任せるなど、とんでもない間違いだ。悲劇を通り越したくだらぬ喜劇でしかない)
(そうだ。以前から老人たち自身も言っていたではないか。ハリシャハ老も、シャサズィイ老も、ケラハ族のゲイルナグーク老も)
(我等は体力はもとより、もう知恵も能力も若い者たちにはかなわぬ、と)
ケイエルカンガは以前、長老たちに自分の精神感応力の強さを披露するために、目の前で見事に大岩を砕いてみせた時の事を思った。
『おぉ、さすがであるな』
『お主の力には、もう誰もかなわぬかもしれぬな』
長老たちは手をたたいて称賛していた。
(そうだ。この世を動かしているのはヴァイッシャたちの様な筋肉ばかりの戦士どもではない。我等だ。我等の様な知恵と能力を持った者だ)
(力こぶだけが自慢の者たちは、我等知恵者の配下となってこそ、ひとつの駒として戦で生かせるというものだ)
(そうだ)
(そうだ、我等、我こそがこれからの世にふさわしい……)
と、その時、
廊下を行くケイエルカンガの後ろの、先程まで居たシャスタハ族の会議室で、
ドン、
と何やら物音がして、悲鳴が聞こえた。
「……」
それにケイエルカンガは振り向き、しばらく会議室のドアを見つめた。
が、それから会議室からは、もう物音も何も聞こえてはこなかった。
(やれやれ)
ケイエルカンガは前に向き直り、ため息をついた。
(兵たちが老人たちにあまり手荒な事をしていないといいが。年寄りに怪我をさせたとなったら、やはり後で面倒だ。会議室にはもう少し手を増やしておくほうがよかったか)
彼は再び廊下を歩きだした。
(地球軍はどうしてヴァイッシャたち白兵戦戦士たちばかりを優遇するのだろう。まったくもって酷い話だ)
(陣を組むのは我等知恵者の助言と、精神感応力者の援護も大きいというのに)
(最前線で戦う兵士たちは“使い捨ての駒”なものだから憐れみをかけている、というものなのだろうか。いや、それにしても……)
その、うつむき加減で思い巡らせながら族長議会へと急ぐケイエルカンガに、
「ケイエル」
誰かが声をかけた。
「!」
それにケイエルカンガは少し驚いた様な表情で声の方に顔を上げた。
「何やら急いで、どこへおいでだ?」
薄暗い廊下の先には、シャジャスタ人のコゴドラッガと、他に何人かの人影があった。
「これはこれはシャジャスタ評議会議長、コゴドラッガ殿。……コゴドラッガ殿こそ、どうしてこのようなところに?」
急いでいるところに、これまた厄介な者に声をかけられた、と思いながらケイエルカンガは言った。
「あぁ、お主の伯父上ハリシャハ殿らに用があってな。ハリシャハ殿長老たちはいずれか、ご存じか?」
コゴドラッガの言葉に、ケイエルカンガはやれやれ、どう言ったものか、と言葉を考えながら応えた。
「おぉ、コゴドラッガ殿、であればちょうどよいところに。伯父上ら長老殿たちは、それ、この先の我等シャスタハ族の会議室におりまする」
ケイエルカンガは自分がやって来た廊下の、シャスタハ族の会議室を差し示して言った。と同時に、長老たちを軟禁中、誰か長老たちを訪ねてきたら、その者たちも軟禁しろ、と配下の者たちに言ってはいたが、あやつらでうまく対処できるだろうか、とふと不安になった。
「さきほど、長老達より、本日の部族長老議会の代表はこのケイエルカンガに一任する、との達しがございまして。ゆえに本日の議会はこのケイエルカンガにお任せいただき、ハリシャハ伯父をはじめ、シャスタハ族の長老たちにはゆっくりお休みいただこうかと……」
「さようか。……しかしケイエルカンガ殿、お主らの長老殿たちはまだまだ達者にお見受けするが……」
コゴドラッガは表情を変えないまま、首を少し傾けて言った。
「?」
コゴドラッガの様子に、ケイエルカンガはコゴドラッガは何を言っているのか、と思った。が、
「……!」
ケイエルカンガはコゴドラッガの後ろから現れた者に、ぎょっと目を見開けた。
「悪いな、ケイエル」
コゴドラッガの後ろから現れた者――控室に閉じ込めたはずのシャサズィイ老、は言った。そしてその後ろにはハリシャハ老と他の長老たちも並んで、ケイエルカンガを無表情に見つめた。
「我等年寄りもまだまだ現役でいられそうじゃな。若い頃に比べれば、だいぶと瞬発力は落ちたようだが。しかし、なぁに、まだまだ元気でいられそうだよ」
そう言うと、のんびりとした口調とはうらはらに、シャサズィイ老はシャスタハ族随一の物体移動の精神感応力で、ブンとばかりにケイエルカンガ配下の者たちを床に投げ出した。
武装したシャスタハ族兵士五名を含め、十人ほどの者たちがすでに気絶した状態で、壊れた人形の様な有様で床に転がった。
「少し手荒な事をしてしもうた。申し訳ない。が、ケイエルよ、配下の者たちにはもう少し己を鍛錬せよと伝えるがよかろう。我等年寄りからすれば、まだまだなっておらぬなぁ」
シャサズィイ老はカラカラと笑った。
「……」
長老たちを前に、ええい、とケイエルカンガは歯噛みをした。しかしそれは元気な現役年寄りたちにではなく、ふがいない配下の者たちにであった。
「ケイエルよ」
ハリシャハ老は穏やかに言った。
「まだ時期尚早といったところであったかな。時期もだが、汝の成長ぶりとしてもまだまであったようだなぁ。やれやれ、我としては残念な事だ」
「ケイエルカンガ殿」
コゴドラッガは言った
「悪い事は言わぬ。自重なされ。自重を。お主はまだまだ先のある、これからの身ではないか」
「……」
「ケイエルや」
コゴドラッガに続いて、誰かが言った。それはヅォラシャイス人ケラハ族長老のうちの一人で、ケイエルカンガの師匠でもあるヅォラシャイス人最強の精神感応力者、ゲイルナグーク老であった。
「汝の考えもわからぬではないがな。しかし、これはちぃとやりすぎてしもうたようだの」
ゲイルナグーク老は言った。
「前にも言うたであろう。汝の能力も知恵もたいしたものであるが……汝は己を過信しすぎる。世の中、汝よりも能力も知恵も大きくすぐれた者はたんとおる。その者たちを目指して鍛錬する事が己を育てる事になると常々言うておったものを」
ハリシャハ老たちと同じような表情で、ゲイルナグーク老はやれやれ、とばかりに小さく首を振った。
「汝にはそれが足りぬ。能力の強さも知恵や考えの深さも、歳は関係ない」
ゲイルナグーク老は師としてケイエルカンガを憐れんでいるように見つめた。
「……」
あぁ、まただ、とケイエルカンガは思った。
愚鈍で頭の巡りも悪い年寄りたちはいつもそう言って我等次代の者たちの言葉を聞き入れず、邪魔ばかりをする……
子供の頃から教えをこうた師匠のゲイルナグークに、老人たちに、ケイエルカンガはフン、と忌々しそうに鼻を鳴らせた。
(えぇ、煩わしい!)
ケイエルカンガの頭の中で、何か小さな火花がパチンと飛んだ。
「歳は関係ない?そうか?……いつまでもそう言っているがいい」
ケイエルカンガの首の後ろに、パリパリと精神感応力の反応波の光が音を立ててはじけた。
(今日こそ、この年寄りどもをまとめて“処分”してくれる……!)
長老たちを前に、ケイエルカンガは思った。
各部族から崇拝されているシャジャスタ人のコゴドラッガまで巻き込むのは面倒な事になるだろうが、そこはまた、あとで巻き返せばよい……
「老いぼれは、さっさと始末しておけばよかった」
あんな自分の足元すら危ない年寄りどもに、何ができるというのだろう。我の力は今やあの老いぼれ師匠よりも強大になっている。当のゲイルナグーク老も言っていたではないか。今まで世話になったよしみで、一撃で、今日こそ……
「……」
ゲイルナグーク老はケイエルカンガの不遜な様子に、下がっているよう、ほかの者たちに手を小さく振った。
それにコゴドラッガたちは数歩後ろに下がり、ゲイルナグーク老とケイエルカンガを見つめた。
「汝のような困った教え子がおるから」
もっと早くにこの哀れな弟子の良くない芽を摘んでおく事が出来なかったものか、とゲイルナグーク老は残念に思った。
「おちおち老いぼれる事も、死ぬこともできぬわ」
ゲイルナグーク老は精神感応力を大きく発動させ、全身にバチリと青白い大きな力を走らせた。
と、その次には
大きな感応力の波が彼女の老いた身体を取り包み、ギャン、と音を立てて稲妻の様な光の渦を閃かせ、それはケイエルカンガに怒涛のごとくに降りかかった。
「これしきで!」
年老いた師匠の思わぬ強烈な精神感応力波に驚きながらもケイエルカンガはわめいた。
「笑わせるな!」
そうだ、これしきの精神感応力、我なら余裕で……!何しろ、我の力は今やこの老いぼれの力より強大なのだから!
ケイエルカンガは自分に襲いかかってきたゲイルナグーク老の力を弾き飛ばし、次には己の力でゲイルナグーク老を宙に吹き飛ばそうとした。
が、
「?!」
そのゲイルナグーク老の姿が突如視界から消え……次には
ケイエルカンガの背後にゲイルナグーク老は逆さ返りの姿で現れ、
バチリ、とケイエルカンガの首の後ろに強烈な力を炸裂させた。
「!!」
自分の背後ではじけた力に
「……!」
ケイエルカンガはくたりと膝をつき、そのまま崩折れた。
うつ伏せに倒れ込んだケイエルカンガの首から背中にかけて、蒸気か煙の様なものがシュウシュウと音をたてて揺らめいていた。
「世話になった。すまぬな、ゲイル殿」
そのケイエルカンガを見つめ、ハリシャハ老は申し訳なさそうにゲイルナグーク老に言った。
「なに、お気になさるな。我も、こうなる前にもう少し早よう灸をすえておくべきであった。方々、お怪我はござらぬか?」
「なんの、このトシにもなれば、厚うなっておるのは面の皮だけではないのでな」
シャサズィイ老は再びカラカラと笑った。
それにコゴドラッガと他の長老たちも顔を見合わせ、困った様に笑った。
「にしても、まったく」
ゲイルナグーク老はブツブツと言った。
「年は取りたくないもんだ。教え子にはバカにされるわ、これしきでもう身体のあちこちはギシギシ痛いわ。まったく……」
と、そうこぼして歩きながら、ゲイルナグーク老は何もないところで何故か足元を取られ、ヨロりと前のめりによろけた。
「婆様!」
それにゲイルナグーク老の養い子、ケラハ族指折りの戦士ズァイッシャが素早くたくましい腕を伸ばし、養母を支えた。
「まったく」
危なく転倒しそうになったところを養い子に抱え上げられ“だっこ”された状態をものともせず、ゲイルナグーク老はぼやき続けた。
「いつまでも年寄りを心配させおって!」
巨大な戦士ズァイッシャにだっこされたまま、ゲイルナグーク老はキイキイとわめいた。
「いつまでも我がいると思うでないぞ!もっと年寄りに気を遣わんか!まったく!」
「婆様、酷く痛むところはございませぬか?ご無理をなさらぬよう……このズァイッシャがこのままどこにでもお連れいたしますぞ。それ、寝所でも洗面でも厠でも風呂場でも……」
「馬鹿者!我はこれでも女子ぞ!そこまでそなたの世話にはならぬわ!そなたまで我を年寄りとバカにするか、まったく!!」
「……」
そのゲイルナグーク老とズァイッシャの様子を横目で眺めながら、ハリシャハ老とシャサズィイ老は無残に床に倒れ込んだまま、ピクリとも動かないケイエルカンガを再び見つめた。
「やぁれ、いきなり後ろに瞬間移動、とはなぁ。あれでは我が甥もたまらぬであったろうなぁ」
ハリシャハ老は困った様な表情で、哀れな姿のケイエルカンガを見て言った。
「我等にはもう体力がありませぬから、若い者相手にはああいった手が一番とゲイル殿もお考えになったのであろうよ。さすがでありますなぁ」
それにシャサズィイ老はくすくすと笑った。
「……まったく!」
廊下のむこうで、ゲイルナグーク老の声がまだ響いていた。
そのゲイルナグーク老の声に、ハリシャハ老とシャサズィイ老をはじめ、他の者たちはまたも困ったような笑みを浮かべ、どうにもならぬ、といった様子で顔を見合わせた……
【登場人物・その他】
●ゲイルナグーク
惑星ザワーハ・ユシエシャの爬虫類型人類を祖とする
惑星サザラハのヅォラシャイス人ケラハ族の長老、及びヅォラシャイス人の精神感応力者の長。
後に在惑星イーリア地球軍旗艦<オデュッセイア>精神感応力者代表。
孤児だったヴァイッシャ、グァイッシャ、ズァイッシャ、ヤトポイッシル、トリスシューシススの養母。通称ゲイル。
ゲイルが養い子にした子供はその他数人いるもよう。(モデルはウミイグアナ)
●ヴァイッシャ
惑星サザラハのヅォラシャイス人ケラハ族、族長。
グァイッシャ、ズァイッシャとは三つ子で、三つ子の長兄。ヅォラシャイス人最強の戦士。巨大戦斧二刀流。通称ヴァイ。
ギンヌンガ・ガップの悪影響により、ヴァイッシャを含めたヅォラシャイス人の大半を乗せた移民船が惑星サザラハより脱出し、各植民星へと向かっていた途中、システムトラブルを起こして漂流していたところを地球軍旗艦<オデュッセイア>に救助される。
後に<オデュッセイア>総参謀長儷山晃司と<オデュッセイア>機動部隊最凶兵士儷山雪霞に高い戦闘能力を買われて、ヴァイッシャをリーダーとするヅォラシャイス人の戦士部隊は<オデュッセイア>装甲機動部隊に編入される。
特徴:目の周りの鱗が金色に光る、光沢のある濃い茶色。(モデルはヨロイトカゲ)
配偶者は儷山雪霞のクローン体ユウカ・ナラヤマ。遺伝子上のゼドログラッシャの父親。
●グァイッシャ
ヴァイッシャの妹。三つ子の二番目。巨大大鎌二刀流。通称グァイ。
※ヅォラシャイス人の女性は男性より大柄になる事が多い。三兄弟のうち、体格が一番大きく、身体能力が一番高いのはグァイッシャ。
特徴:目の周りの鱗がヴァイッシャ、ズァイッシャよりも小さく、目が切れ長。頭部は男性よりも細面で、全身の鱗も小さい。
配偶者はヅォラシャイス人ケラハ族戦士のカイドラッシャ
●ズァイッシャ
ヴァイッシャの弟。三つ子の三番目。巨大大剣二刀流。通称ズァイ。
ヅォラシャイス人編成部隊の先発攻撃部隊隊長(斬り込み部隊隊長!)。
ズァイッシャたちが取りこぼした相手は、後続部隊のグァイッシャがいつもまとめてなぎ倒している。
特徴:目の周りの鱗が黒色。虫が苦手。養母のゲイルナグークに甘え気味。
配偶者はヅォラシャイス人スドラハ族、族長グロウクグルトの第二子ラヒラシャンガ。
※ヴァイッシャ、グァイッシャ、ズァイッシャ三兄弟の影響で、雪霞は高祖父雪長秘伝の日本刀で日本刀二刀流使いとなり、敵対者を斬りまくり(!)「雪鬼の四代で最凶」と呼ばれるようになる……
●ヤトポイッシル
ケラハ族の精神感応力者。通称ヤトポ。
上記三兄弟の弟分(ヴァイッシャ、グァイッシャ、ズァイッシャ、ヤトポイッシルは孤児であったところをゲイルナグークに引き取られた)。
●ケイエルカンガ
ヅォラシャイス人シャスタハ族の精神感応力者。
ゲイルナグークの教え子。通称ケイエル。
高い精神感応力を持つが、策略家で権力欲まみれな性格。
●トリスシューシスス
雪霞のクローン体ユウカのために、惑星サザラハの女性の遺伝子を提供した一人。体色(鱗の色)はクリーム色。
惑星サザラハのシャジャスタ人の医師、学者、精神感応力者。通称トリス。
儷山細雪の娘、雪霞の、ヴァイッシャの配偶者になりたい、という思いをかなえるために、
地球人の遺伝子にサザラハの人類の遺伝子を取り込んだクローン体を作成できるだろうか、と個人的な事情を細雪から相談され、人口が激減してまったサザラハの民のためにも、とサザラハの人類と他の人類との遺伝子融合の研究を移住先の惑星シャヤダラ政府に奨めた。
雪霞がヅォラシャイス人の元を去ったあと、残していったクローン体ユウカをハイバネーション(人工冬眠)状態にして封印、その後の保守もになっていた。
また、ユウカとヴァイッシャの遺伝子を使用した人工胎児育成によるゼドログラッシャの誕生と、誕生後の新生児育成管理にも携わっていた。
トリス等の行った遺伝子融合研究、実験、実行成果は後に
「サザラハの新しい人類の創世」と賞賛もされたが「天に背く大罪」とも忌避され、賛否両論の収束はつかないままとなっている。
配偶者はシャジャスタ人のサウロシャスターク。
●ユウカ・ナラヤマ
地球人儷山雪霞の卵子にサザラハ人(ヅォラシャイス人、シャジャスタ人、両者の原型であるザワーハ・ユシエシャ人)の女性の遺伝子を組み込んで作成した雪霞のクローン体。
●シャッハシシャース連盟
星間連合、連盟のうちのひとつ。
爬虫類型人類の連盟。
●惑星ザワーハ・ユシエシャ
シャッハシシャース連盟に属していたザワーシャ恒星系第二惑星。恒星はザワーヒ。
ザワーシャ恒星系は恒星系としては終焉を迎えており、恒星ザワーヒは赤色巨星化し始めている。
1500年ほど前に惑星ザワーハ・ユシエシャの爬虫類型の人類は、ザワーヒの赤色巨星化により、
環境が悪化したザワーハ・ユシエシャより脱出し、植民星の惑星シトリ、サザラハ、その他に移住していた。
●惑星シトリ
惑星ザワーハ・ユシエシャの人類が植民化し、移住した惑星。シトラヒェ恒星系第二惑星。恒星はヒイード。
同じく植民星の惑星サザラハの人類は、ザワーハ・ユシエシャより厳しい自然環境だったサザラハの環境に適合進化したが、シトリの自然環境はザワーハ・ユシエシャとあまり変わらなかったため、シトリの人類はザワーハ・ユシエシャの人類とほぼ変わらない姿のままとなっている。
●惑星サザラハ
惑星ザワーハ・ユシエシャの人類が植民化し、移住した惑星。ゾツォラ恒星系第三惑星。恒星はゾツォラハ。
惑星サザラハには、惑星ザワーハ・ユシエシャより移住してきた当初からあまり姿の変わらないシャジャスタ人と、サザラハの砂漠地帯の環境に適合進化したヅォラシャイス人、湖沼地帯の環境に適合進化したソソヅォライ人、等が存在した。
※ギンヌンガ・ガップの出現により、惑星サザラハは恒星系ごとギンヌンガ・ガップに呑み込まれ、以降不明。惑星サザラハの住人は複数の植民星に分かれて移住し、民族としてはちりぢりの状態となっている。また、サザラハはギンヌンガ・ガップ出現直後から“クドゥラ”と呼ばれる生命体の襲撃に遭い、壊滅的な被害を受けていた。
●惑星シャヤダラ
惑星サザラハがギンヌンガ・ガップに飲み込まれたあと、ヴァイッシャたちが移住した植民星
(惑星サザラハの爬虫類型人類の祖先、惑星ザワーハ・ユシエシャの人類が植民星として開発)。
キュールク恒星系第五惑星。恒星はシャヤジーダとフレシャ。衛星はシャヤ、シャッハ、シャヤッジャ。
●シャジャスタ人
惑星ザワーハ・ユシエシャより植民星の惑星サザラハに移住した当初から、
あまり姿の変わっていない惑星サザラハの人類。サザラハ人の原型的人類。
長身、痩身で、身体の鱗は退化してあまり目立たない。頭部にトサカ状の特徴的な大きなヒレがある者が多い。
惑星ザワーハ・ユシエシャでの高度な文明文化を維持しており、サザラハの他の人類に科学技術を提供しているため、他の人類からは崇拝に近い尊敬の念を持たれている。
●ヅォラシャイス人
惑星サザラハの砂漠、荒地地帯の環境に適合進化したサザラハ人。
ヅォラシャイス人の中でも更に多種の部族に分かれるが、厳しい自然環境の中で適合進化したため、どの部族もたくましい体格で、策略、謀略等は好まず、裏表のない実力を称賛、支持する傾向有り。
●ソソヅォライ人
惑星サザラハの湖沼地帯の環境に適合進化したサザラハ人。
体格はシャジャスタ人と変わらないが、水棲生活に適合進化したため、手足の指の間に水掻きと手首足首にヒレがあり、皮膚は地球の蛙、イモリのような、両生類に近い皮膚をしている。
●ケラハ族
ヅォラシャイス人のうち、他の部族より頭骨が丸く分厚く、骨太のガッシリした体格をしている。白兵戦戦士を多く輩出。
●シャスタハ族
ヅォラシャイス人のうち、他の部族より頭骨が細長く、長身で痩身な体格をしている。
精神感応力者、射手(弓使い)、戦略戦術家を多く排出。
●スドラハ族
ヅォラシャイス人のうち、他の部族より頭骨がやや細長く、長身で痩身だが筋肉質な体格で、鱗が黒い。戦士を多く輩出。
●ワーロッヅァ族
ヅォラシャイス人のうち、山岳部に適応した部族で、ケラハ族よりやや細身だががっしりした体格をしている。
射手、戦士を多く輩出。
●オロバロッシャ族
惑星サザラハの砂漠、荒地地帯の環境に適合進化したヅォラシャイス人の一部族だが、水辺を生活圏としていた。
水棲生活に適合進化したソソヅォライ人と居住環境が重なるため、地域によっては生活権等をめぐってソソヅォライ人との対立が起こっていた。
ソソヅォライ人よりは鱗が目立ち、乾燥に強い皮膚をしている。
●ノストロイ連合
星間連合、連盟のうちのひとつ。
ヒフルト、ル・ウァ等が所属。
アルケセーイス連盟と長年に渡り交戦状態。
●アルケセーイス連盟
星間連合、連盟のうちのひとつ。
ノストロイ連合と長年に渡り交戦状態。
アルトイ、ファギーギン等が所属。
アルトイの悪名高い人種狩りと、ファギーギンの支配下にない、
一部のキギィ(ファギーギンの人工生命体)はアルケセーイス連盟内でも問題視されている。
●ギンヌンガ・ガップ
ノストロイとアルケセーイスの版図の宙域のど真ん中に現れた巨大な“裂け目”。
裂け目の向こうには何があるのか、どうなっているのか不明。
「アルゴ・ノォト(AROGO・NAUT)」
外宇宙探索艦<アルゴー>の人々の話。
<アルゴー>:外宇宙の探索、宇宙図作成を目的として航行している大型艦。
が、その実は、光速航行の弊害により、地球、家族との経年(時間、年齢)が大きくずれてしまい、社会問題となっている宇宙船乗組員を家族等希望者と共に地球外に送り出す事を目的としていた。
地球への帰還は永年未定。
同時期に製造された、同任務の姉妹船が何隻かあり。
※<アルゴー>の姉妹船
<イリアッド>、<トロイア>、<オデュッセイア>、<セイレン>、<エンケラドス>
<アルゴー>は最後は航行不能の状態となり、<アルゴー>の乗員は姉妹船の<オデュッセイア>に移乗する。
「オデュッセイア(ODYSSEIA)」
「アルゴ・ノォト」より300年ほど後の時代。
アルトイとの長年の交戦により、地球連邦はほぼ壊滅状態、地球人も激減。
(残存地球連邦の旗艦<オデュッセイア>は「アルゴ・ノォト」の<アルゴー>の姉妹船<オデュッセイア>とはまた別の船)
地球とアルトイ、ノストロイ連合とアルケセーイス連盟、といった間で延々と変わらず争い、宙域紛争、戦争が続いているが、ノストロイとアルケセーイスの版図のど真ん中に巨大な裂け目“ギンヌンガ・ガップ”が出現、裂け目からは我々の宇宙ではない宇宙からの銀河や空間が出現、反対に我々の宇宙での銀河、空間が“裂け目”の向こうへと消失、甚大な被害が頻発する。それはどうやら“ギンヌンガ・ガップ”の向こうの、意思疎通が出来ない“何か”が起こしているらしい、とだけ判明。
“裂け目の向こうの何か”を<オデュッセイア>初代艦長就任予定だった霧山氏は“マガツカミ(禍津神)”、ル・ウァは“エレヴォス・ドラゴール(暗黒の大渦)”、アルトイは“ヨルムンガンド(世界を取り囲む大蛇)”と呼び、ノストロイとアルケセーイスの間で争っている事態ではなくなってくる…
「テオゴニア(神統記)(THEOGONIA)」
「オデュッセイア」より数百年?後の時代。
儷山雪霞のクローン体ユウカはサザラハの人類の寿命300歳を超えてほぼ不老の状態で生存、ユウカのひい孫にあたるシミュは、地球人、アルトイ人、ヅォラシャイス人の血統を受け継ぐ者として、惑星シャヤダラの統治者の一人となっている。
※1 大山(守谷)雪絆:小仲氏と再婚後、苗字は守谷のままとした。深雪が26才の頃にアルトイのテロにより小仲氏とともに死亡(53才)。
※2 守谷聡:深雪の実父。深雪が10才の頃にアルトイのテロにより死亡(39才)。
※3 儷山細雪:47才時に遭難事故死。人格と記憶は旗艦<オデュッセイア>のAIに組み込まれる。
※4
雪霞:細雪の卵子に細雪のX染色体を埋め込んだ自己受精により誕生。遺伝子の一部にはレィビィ・ワイトの遺伝子を使用。
雪霧:細雪の卵子にレィビィ・ワイトの染色体から作成した人工Y染色体を埋め込んだ自己受精により誕生。
→レィビィ・ワイト:「オデュッセイア」の時代より300年前の「アルゴ・ノォト」の時代のガイ・ウォールの異父姉。レィビィは「アルゴ・ノォト」の時代のヒグダイド人イアスの配偶者。寿命が500年ほどのヒグダイド人のイアスは「アルゴ・ノォト」の時代から「オデュッセイア」の時代になってガイとレダ、儷山氏と深雪が再誕生するのを待ち、儷山氏と深雪の子供の細雪にレィビィの遺伝子を託した。
※5 岩永翔也:隼人誕生前にアルトイのテロにより死亡。
翔也死亡時に雪霞が浴びて保管していた翔也の血液から取り出した遺伝子により、隼人は胎児育成水槽にて育成、誕生。
岩永翔也の高祖父岩永翔(バーサーク能力保持者)は儷山深雪の高祖母大山誄(バーサーク能力保持者)と対戦して負けた因縁あり。
※6 岩永雫:岩永翔也の遠縁者。岩永雫は雷誕生前に死亡。隼人と雫の受精卵により、雷は胎児育成水槽にて育成、誕生。
※7 儷山雪月:細雪が雪月(妹)と雪霧(第二子)を双子として胎内で育成、出産。
※8 折原楓:雪斗幼少時に病没
※9 儷山吹雪・小雪:戸籍上の母親は雪月であるが、その実は雪月が作成した儷山氏と深雪の復元体。
※10 儷山細雪(再誕生):ギンヌンガ・ガップにて破損したAIとしての細雪の人格・記憶情報を小雪(深雪)が胎内に取り込み、再出産。
※11 ヒューバート・ミナト(湊):雪音誕生後に戦地にて行方不明
※12 雪音・ミナト(湊)・儷山:未成年時に夭折。細雪と同じく旗艦<オデュッセイア>のAIに組み込まれる。
※13 シセラシューシシス:サウロシャスタークの養女(トリスとも血縁ではない)。
シャジャスタ人の人口増加のために人工授精で誕生させられた。精神感応力保持者であるが先天的な心疾患もあり、トリスがシセラシューシシスの担当医となった事からトリスとサウロが知り合いとなり、後に夫婦となった。
※※サウロがシセラを養女にしたのは、サウロの婚約者のシジフォラシャスが同じく先天的な心疾患の影響で妊娠は命取り、と診断されていたため、当時誕生したばかりだったシセラを養女に、と決めていた……もののシジフォラが心疾患で急死、サウロはシジフォラが生前望んでいた通りに、シセラの先天的な心疾患も治すためにシセラを養女にした。(精神感応力保持者でもあるシセラは、やはり精神感応力保持者でないと養女にはできないが、サウロとシジフォラは共に精神感応力者だった)ゼドロとの間に三姉妹をもうけるが、三姉妹の卵が孵化する前に心疾患により急死。
※14 ラシャッジャ・シャナラ、イシャナラ・クシー、レヴウェウルヴァ・ユウカ・トーワ:
父親ゼドロからはバーサーク能力を、母親シセラからは精神感応力を受け継いだとんでもない三戦士となる。
次女のイシャナは成人後に遺伝疾患により失明するが、失明に関係なく精神感応力で飛び回り、最凶戦士のままだった。
三姉妹の母親、シセラは三姉妹が卵から孵化する前に急死したため、ゲイル、サウロ、トリス、ヤトポ、キューク、キュークゲックたちに育てられた。
※15 ザンダドゥーガ:シセラの死後、シセラの三姉妹が成人してからラナラとゼドロとの間に誕生。
※16 シミュッシャッハ・ユウカ:雪霞の遺伝子の影響により、外見が地球人に似た姿で誕生。両性具有者。
白髪紅眼のアルビノで、精神感応力者。ゼドロの孫にあたるが、誕生はザンダより先。
ヅォラシャイスの人々の中においては地球人に近い姿は“異形”の姿でしかなく、後にユウカ、ザンダと共に地球軍に渡る。
シミュのX染色体から作成した女性体クローン“雪霞”は儷山雪人氏の子孫、儷山晃雪の配偶者となる。
※17 儷山晃雪:儷山晃司の記憶を自身の脳内にダウンロードし、晃司の記憶を保持。
容姿も晃司そっくりで、晃雪を一目見てユウカは晃司の子孫とわかり、ユウカ(=儷山雪霞)は
「お父さん!」と号泣、最凶兵士の大泣きは周りの者を大いに驚かせた。
※※父親のいない雪霞には祖父である晃司が父親代わりだった




