表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/13

貴族令嬢、釈放される 【最終回】


 警察 (公安) ・検察 (法務) ・裁判所 (司法) は、それぞれ独立した組織である。


 つまり、警察がパクって、検察が「こいつ有罪やろ」と判断、裁判所が「せやな」と決定するのだ。


 ニュースで見るような大事件は裁判所で判決を下す、いわゆる通常裁判だが、しょーもない事件は簡易裁判と言って、チャチャっと終わらせてしまう。


 私は以前、被害者側の立場で裁判に出廷したことがある。その前に検察へ呼ばれ、事情聴取を受けた。おどろくなかれ、なんと日当 (お金) が貰えるのだ。たしか数時間もかからない聞き取りだったが、晩ご飯を食べられる程度は貰えたとおもう。



◇◇◇



 さて留置所に入って8日目、私は検察に呼び出された。今回は加害者側なので日当はなし。実は二度目の呼び出しで、一度目は事件の事情聴取、今回は起訴する罪状を、検察の検事さんが丁重に説明してくれた。



「黒い安息日さん、被害者が大ケガを負ってはいますが、初犯だし相手の迷惑行為も酷いので、傷害ではなく暴行罪での起訴となります」


「わかりましてよ」


「ところで、この被害者の人、なんで数十回もドアを開けようとしたんですかね」


「警察でも同じこと聞かれましてよ」



◇◇◇


 さらに二日後、裁判所からの呼び出し。余談だが検察庁と裁判所は完全に別の独立した組織であるが、たいていは隣接した場所にある。私が逮捕された地方都市も、かつて住んでいた大都市でも同じだ。


 以前裁判に出廷した時は、いかにも裁判所って感じで気分も上がったものだが、今回は簡易裁判、風情も何もない事務所の一室だった。そこで裁判官らしき人が、A4の用紙を手渡してきた。



────────────────────


[略式命令]


主文 被告人を罰金100,000円に処する


────────────────────



 あまりに淡々としていたので覚えていないが、主文読み上げとかはなかったと思う。裁判所内での、ものすごく長い待ち時間の割には、一瞬で裁判は終わった。5分もなくない?




 釈放、だがまだだ、まだ終わらんよ (クワトロ・バジーナ)




 再び検察……、隣の建物だがそこに連れていかれ、罰金の支払い方法について説明を受ける。後日全額を支払うか、日当5.000円で労役するかだ。


 まあ10万円なら即金で……と思ったが、釈放で浮かれていた私に悪い考えが頭をよぎる。



 まてよ、労務刑っていうのもなかなか経験できないぞ。さすがに20日も行きたくないが、9万払って二日だけ体験するとか……迷うねェ♥



 このとき私の顔は、アルカとキルアを殺そうとするヒソカのようだった。



 検察の徴収担当係の人が私に聞いた。




「……で、支払いはどうしますか」



「全額即効で支払いますわ」




【実録】貴族令嬢の華麗な留置所生活 [完]



◇◇◇



追記


 裁判所で釈放された私だったが、ここは交通量のない中途半端な場所。逮捕時の部屋着であるジャージ姿で、素足のクロックスを引き摺りながら歩いた。平日のお昼に、こんなみっともない理由で人を呼びたくなかったし、タクシーを呼ぶにも現金がない、まずはコンビニだ。


 バスも路線がよくわからないので、とりあえず近くの駅までトボトボ歩いた。まあミジメったらありゃしない。もうコリゴリだよ……



 終 劇



◇◇◇


 読んでくださり、ありがとうございましてよ、ホーホホホ!






本作は正直に、そして笑えるように、備忘録として書きました



かぐつち・マナぱさん、素敵なイラストありがとうございます

大浜 英彰 さん、格調高い素敵なレビューありがとうございます

歌川 詩季さん、レビューとかわいいイラストありがとうございます


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

以上、歌川 詩季さんから頂いたイラストです、うさとにゃんがかあいい……わんも


かぐつち・マナぱさんから追加の記念イラストを頂きました


挿絵(By みてみん)

可愛い……コホン、私にそっくりですわ、ホーホホホ!


多くの感想やスタンプ、申し訳ないほどの過分な評価ありがとうございます

読んでくださったみなさん、ほんとうに、ほんとうに、ありがとうございます


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
お疲れ様でした。 お嬢様、ひとつ良い手がございます。 お部屋のドアを貴族の邸宅にふさわしい、超ゴージャスで重厚なドアに付け替えるのです! 庶民が二度と間違えないよう、財力の差を見せつけるのです! …
「お勤めご苦労さまです!」は、目上の方への言葉ではないので(ご苦労さまは、目上の方から下の方へのお言葉です…誤用が広まったのですねw)だから、私は「お疲れ様でした!」とノートとペンを差し上げます。 …
お疲れ様でした!  投稿ありがとうございました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ