怒れる専属メイド 2
この頃、アンリの物語を書く気が起きず‥‥‥。
結構この物語、設定が歪んでいる部分がありまして‥‥‥。
あれ、こことここの設定、真逆じゃない? とか、色々と言いたいことはあると思うのですが、いつかそこを直しておきたいなーと思っています。
更新ゆっくりペースですが、どうぞお付き合いくださいませ。
「‥‥‥というわけでして」
全て話し終え、恐る恐る顔を上げると―――口角は上がっているはずなのに目が全く笑っていないという、鬼の表情をしたメイルと目があってしまったため、慌てて顔を俯かせる。
「‥‥‥‥なるほど、なるほど。悪い夢のような話ですね‥‥‥」
「ほ、本当のことですよっ!?」
メイルが低く呟いた言葉に、アンリは驚いて顔を上げた。
アンリは自分の話した内容をメイルが疑っていると思ったものの、メイルはそんなこと全く考えていなかった。
さすがアンリの専属メイド、メイルである。
「お嬢様。大変な苦労をしたのですね。とりあえず、心身ともに休んだほうがよろしいようです」
メイルは立ち上がると、「失礼」と言ってアンリの膝の下に腕を差し入れ、頭の下にもう片方の腕を入れる。お姫様抱っこだ。
「わあああっ、メイ、メメメイル!! ちょっちょちょちょ、おろして!」
慌てふためくアンリを見下ろし、メイルはすごむ。
「アンリ様が言うのでしたら、今すぐ手を放します。まあ、お嬢様は地面に落下しますが。それでもいいですか?」
満面の笑みのメイルを見て、これは本気だと焦るアンリ。
ガックリと肩を落とし、「そのままでいいですぅ‥‥‥」と消え入りそうな声で言う。
そうして、アンリはメイルによってベッドに寝かされたのだった。
「別に眠くないです!」
抗議するアンリを軽くあしらい、メイルは子守唄を歌い始める。
久しぶりに聞く心地よいメイルの歌声に、アンリは急速に眠りに吸い込まれていく。
数分後、アンリが寝入っているのを確認したメイルは、険しい顔で部屋を出て行った。
アンリを助けてくれた男、カイ。
普通だったら土下座し涙を流しながら礼を言うところだが‥‥‥。
アンリの命を狙った、という事実。
ああ、アンリお嬢様に危害を加える輩など、私が今すぐにでも殺してしまいたい。
殺すとしたら‥‥‥やはりナイフで一突きに? いや、それだと苦しみを味わうことができないまま死んでしまう。
だとしたら‥‥‥体中の部位を丁寧に切断し、じっくり殺していくのいいか?
何やら物騒なことを考えているメイルであった。
思考が別の角度に向かっていることに気づき、メイルは最初考えていたことに思考を戻した。
そもそも、なぜアンリお嬢様はこんな事件に巻き込まれてしまったのだろう?
アンリを疑う考えなどこれっぽっちも持っていないメイルだが、疑問には思っていた。
これほどの大きな事件‥‥‥しかも、冬斗という者はアンリをかばってカイに殺されたそうではないか。
冬斗がたとえ人を殺してきた凶悪な殺人鬼でも、アンリが一番のメイルにしてみれば恩人であった。
お礼を言いたかったが、相手が死んでしまっているならお礼なんて言えやしない。
少しガッカリするメイルだったが、ふと気づいてしまった。
「待って。冬斗って‥‥‥!」
そう言ってメイルは突然駆け出し、自分の部屋にある愛用のパソコンを使って何かを調べ始めたのだった。
そしてそのころ、アンリは――――――。
「ふん、こんなので騙されるとは、メイルも甘いですね!」
どや顔で言うアンリだったが、別に狸寝入りをしていたわけではない。
何故かついさっき、目が覚めただけである。
アンリは上半身を起こし、窓の前に立った。
夜空に輝く星々が、優しくアンリを見下ろしている。
「今日は、満月だったのね」
欠けたところのない、完璧な丸。
―——満月の日は、特別な日。
昔から、満月の日はいい日だという言い伝えが伝わってきた。
だが、それなら。
なんで、とアンリは思う。
「なんで、私にとってはいい日じゃないの? なんで、冬斗は死んじゃったの‥‥‥? なんで、なんでカイは‥‥‥」
少しうるんだ目で満月を見上げるアンリ。
その後ろ姿は、何故か寂しそうに見えたのだった‥‥‥。
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