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怒れる専属メイド 1

前回の投稿から、少しばかり時間が空いてしまいました。

申し訳ありません。

これからもよろしくお願いいたします。

疲れ切ったアンリがふらふらと家に戻ると、玄関に仁王立ちをしたメイルが待ち構えていた。

怒られると思い、咄嗟に首をすくめたアンリを包み込む、優しい体温。

一泊遅れて、メイルに抱きしめられているのだと気づいた。

「メイル‥‥‥‥?」

呆然とした顔でアンリが呟くと、さらに抱きしめ――いや、締め上げられる。

不満を伝えようとしたアンリだが、メイルの顔を覗き込み絶句する。


あのメイルが―――泣いている。


「メイ―———」

名を呼ぼうとしたアンリの声は、メイルの怒号のような悲鳴にかき消された。

「アンリお嬢様! 今まで、どこへ行っていたのですか!? 心配で、心配でっ‥‥‥!」

アンリを抱きしめる手から力が抜け、メイルは顔を両手で覆ってしまう。

初めて見るメイルの本心をさらけ出した姿に、アンリは戸惑う。

「ご、ごめんね。ごめんなさい。心配かけて、ごめん‥‥‥!」

泣き崩れるメイルの周りをあたふたと歩き回り、ときどきメイルの顔をのぞいては、また周囲をぐるぐると回るという行為を繰り返す。

3分ほど経っただろうか、しばらくしてメイルは顔を上げた。

視界の先にアンリを捉え、泣きそうに、安心したように微笑む。

「アンリ様‥‥‥ご無事で、本当に良かったです」

そう言って、メイルは一泊おくと、とびきりの笑顔でアンリに言った。

「アンリ様、お帰りなさい」

アンリの瞳が驚いたように大きく広がり、視界がぼやけ始める。

涙がぼとぼとと床に落ちるのも気にせず、アンリはメイルの腕に飛び込んだ。

「メイル、ただいまですっ‥‥‥!」


それからしばらくして、メイルとアンリの気持ちは落ち着いてきたようだった。

メイルの腕から抜け出すと、アンリはメイルに手を差し出す。

普通であればご主人の手によって立ち上がるなどメイドにあってはならぬことなのだが、そこはメイル、少しの気の迷いも見せず、堂々とアンリの手を取り立ち上がった。

心の乱れが収まり、落ち着いたメイルだが‥‥‥心なしか、その優しい笑みが引きつって見える。

「メ、メイル‥‥‥?」

恐々と顔を上げるアンリを見下ろす立ち姿は、まさに鬼。

般若のような表情をしたメイルに見下ろされ、アンリは「ヒッ」と息をのむ。

「どどどどうしたんですか? メ」「アンリお嬢様」

イル、と言おうとしたアンリの言葉を容赦なく遮り、メイルは腕を組む。

「お嬢様、全て、話してもらいましょうか?」

「え? で、でも、メイル、私がいなくなったのは十時間ほどですよね? 一日も経っていませんし、話すほどの出来事はないかな~‥‥‥なんて」

うろうろと視線を移動させるアンリは、素人の目から見ても下手くそな嘘のつき方だ。

プロのメイルがそれを見逃すはずはなく、ずいっとアンリににじり寄る。

「ア・ン・リ・さ・ま?」

「はい話します全て話させていただきます」

怒れるメイルに逆らえるはずもなく、アンリは一瞬で撃沈したのだった。

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