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変わり者公爵令嬢の危機と歓喜 4

すみません、前回の投稿から一か月ほど経っていますね‥‥‥。

久しぶりにアンリの話を書いたので、もしかしたら文章が変だったりするかもしれません。

そのような場合は教えてくださると大変助かります。

それでは、前置きが長くなってしまいましたが、よろしくお願いします。

その後もときどきアンリの前に現れた少年。

パンをくれることもあれば、宝石をくれたこともあった。

そして、ちょうど一か月が経った頃。

その時には、少年はアンリにとっていなくてはならない大事な存在となっていた。

パンをくれたからではない。

宝石をくれたからではない。

住み家をくれたからでもない。

優しくしてくれたのが、アンリにとっては最高のプレゼントだったのだ。

アンリはいつしか、少年に会えることが楽しみとなっていた。

だが‥‥‥。

いつからか、少年はアンリに会いに来なくなった。

嫌われたのかと悲しむアンリを見つけてくれたのは――――義理の母、リカルだった。

優しく接してくれるリカルに、アンリは少年と会えなくなった寂しさを消すように、みるみるリカルに懐いていった。

リカルは一度結婚しており、その夫とは今はもう別れたようで、一人寂しく暮らしていたらしい。

そんな時に出会ったアンリを見て、私の養子にしたい! と思ったのだという。

それからリカルは今のアンリの義理の父、ファスカルと出会い、再婚をした。

本当だったら、そのまま幸せな家庭を築き上げていくはずだったのに‥‥‥、リカルは変わってしまった。

昼もう夜もパーティーずくめ。

娘のことなんか気にかけず、夫のことも気にかけず、お金を使いまくる日々を送るリカル。

アンリもファスカルも悲しんだが、優しかったリカルの頃の思い出があるので、簡単には嫌いになれなかったのだ。


とにかく、そんな経緯で、アンリと少年———冬斗は出会ったのだ。


アンリは、悲しい気持ちで目の前の男を見つめる。

「冬斗‥‥‥冬斗なんでしょう? なんでっ‥‥‥! あなたがやっていることは殺人行為ですよ!?」

アンリが泣きそうな声で言葉を紡いでいるのに反応したのか、冬斗は急におろおろとしだした。

「お、俺は、俺は冬斗なんかじゃない!」

「嘘です! あなたは冬斗、私の全てがそう伝えてくれるんです!」

間髪入れずそう言い返したアンリを見て、冬斗は息をのむ。

「なんであなたはっ‥‥‥、なんで、殺人なんて‥‥‥!」

感情のままに冬斗へ向かって手を伸ばす。

冬斗もそれに応えるように、恐る恐る手を出す。

と、その時。


シュパッ

ブシャッ


何かが切れるような音がした次の瞬間、赤い液体がアンリの視界の半分を埋める。

目を見開いて硬直するアンリは、それが何かを知り―――。

滅多にあげることのない、悲鳴のような声で叫んだ。

「冬斗ッッ!!」

冬斗が先ほどアンリに向かって伸ばした腕の、手首から先がない。

そこには、ぽっかりとした空間があるだけ。

「ぎゃあああああ!」

激痛に耐えきれず悲鳴を上げ、冬斗が悶えている。

助けなければ。すぐさま応急処置をしなければ―――。

頭はわかっているのに、体が動かない。

アンリの視線は、激痛に悶える冬斗の後ろ―――()()()()()に釘づけだった。

少年が片手に持っているナイフの先から赤い液体が地面に落ちていく。

「カイ‥‥‥?」

嘘だ。誰か嘘と言って。

アンリの切実な願いは少年の言葉に一瞬でかき消された。

「アンリ‥‥‥! 無事でよかった」

ナイフを捨て置き、アンリに向かって一直線に走りそのままの勢いで飛びついてくる少年———カイを見て、アンリは泣きそうな声を出す。

「カイッ、あなたが冬斗の、冬斗の手を、切ったんですか!?」

「ああ、アンリが男に襲われそうだったから、助けようと―――」

パンッ

カイは赤くなった頬を呆然として抑える。

「冬斗は、冬斗はっ、私の命の恩人です‥‥‥!」

カイの頬を叩いた衝撃でジンジンと痛む手を気にせずカイを押しのけ、アンリは冬斗のもとへ駆けつけた。

「冬斗、今から応急処置をします、動かないで!」

アンリは自分の服の一部を破り、それを冬斗の腕に巻きつけようとする。

が、激痛のせいかアンリの言葉が耳に入らず、暴れ続ける冬斗に苦戦をする。

「くっ‥‥、あと少しなのですがっ‥‥、冬斗、暴れないで下さ‥‥‥ッ!?」

冬斗の腕がお腹に勢いよく激突し、アンリは吹っ飛ばされた。

壁に叩きつけられる直前。

誰かがアンリを抱き止めた。

その人の顔を見上げ、アンリは目を丸くする。

「カイ‥‥‥! どうし、て‥‥」

「‥‥‥‥ごめん。まさか、アンリと殺人鬼(あいつ)が知り合いだなんて思わなくて‥‥。俺も処置を手伝う」

そう言ってカイは、挑むように冬斗を見たのだった。

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