変わり者公爵令嬢の危機と歓喜 2
この作品を見てくれた方の累計人数が、250人を突破しました!!
本当にありがとうございます!
‥‥‥累計ユニークアクセス者数は二日遅れで反映されるから、読んでくれた人、もっといたりして‥‥?
なーんて考えて舞い上がったりしながら、楽しく物語を書かせていただいています(笑)
『公爵令嬢になった‥‥(以下略)』の作品で、こんな場面を書いてほしいな、こんな出来事があったらいいんじゃないかなっていうのがありましたら、感想欄にリクエストもらえると嬉しいです!
素人で文章の才能もない私の物語ですが、これからもよろしくお願いいたします。
アパートから出たアンリは、背筋に震えが走るのを感じて後ろを振り返る。
血まみれの上着、同じく血まみれのズボン。手にも血がべっとりとついていて、握りしめられているサバイバルナイフにも血。
フードを被っていて、口元しか見えない。
口元には狂気的な笑みが浮かべられており、どう考えても犯罪者だ。
男の左手に視線を移していくと、手には大きなカバンを持っており、それから泡を吹いた生首が飛び出していた。
普通の人だったら悲鳴を上げて全速力で逃げるところだが。
何しろ、変わり者の公爵令嬢のアンリだ。
全く恐怖せず、興味津々で犯罪者らしき男を眺めている。
アンリが逃げないからか、ゆっくりと男が迫ってくる。
らんらんと目を光らせ、のんびりと呟く。
「これはこれは。完全なる殺人鬼ですね~。殺人鬼なら捕まえておかないと」
アンリはうふふっとほほ笑んだ。
◇ ◇ ◇
新しい獲物‥‥‥!
男は興奮していた。
たった今獲物の狩りを終え、帰宅している最中だった男は、アジトから少女が出てくるのを見かけた。
今さっき人を殺したが、まだまだ殺したりない。
俺の不幸に比べりゃ、死ぬなんて不幸のうちにも入らねえ。
みんなみんな、殺してやる‥‥‥!
男は生まれつき不幸だった。
暴力を振るう親の元に生まれ、母親は父親の暴力を止めようともしなかった。
食事抜きは日常。
意図して骨を折られたり、頭を血が出るまで殴ったりすることも日常。
片目をえぐりとられ、爪を剝がされ、歯を折られ。
何度も何度も、何十回も死にかけた。
それでも必死に生きて、苦痛に耐える日々の中、運よく警察が母親と父親を逮捕してくれた。
だが。
男は幸せになれなかった。
歯が折られ、指の全ての爪が剥がされ、片目もえぐりとられ、鼻の骨もおられ。
当然のように腕と足の骨もおられ、頭には血がべっとりとついており、むしられたせいで長さがバラバラの髪。
そして、痩せこけた体。
まるでゾンビのような姿をした少年の時の彼を、警察は気味悪がり、施設に追いやった。
施設でも気味悪がられ、他の施設にたらいまわしにされた。
15回ほど施設を移った後、ある施設に森の奥で捨てられた。
―――‥‥‥それは、男にとっては幸せだったのかもしれない。
森の中には美味しい食べ物がたくさんあったし、綺麗な水がたくさんあったから。
でも男は、満足しなかった。
俺は、不幸だったんだ。
俺以外にこれほどの不幸を背負った人間はいないだろう。
――—許さない。
俺のことを不幸にしたやつも、見て見ぬ振りしたやつも。
絶対許さねえ!
男は復讐心に燃え、殺人の準備をし始めた。
手初めにナイフ屋でナイフを盗んだ。
その後は、男の近くの人を殺しまくって、一度また森に逃げた。
同じことをもう一度繰り返し、森に逃げようとした時、古びた無人のアパートを見つけた。
男はそこを拠点とし、ひたすら人々を殺すようになった。
そこは見つけにくい場所にあり、警察でも男の拠点を見つけ出すことはできなかった。
生まれた時から不幸だった男は、いつしか復讐が目的ではなく、楽しみのために人を殺すようになった―――。
◇ ◇ ◇
「手始めに聞きましょうかね。あなたは人を殺したのですか?」
のんびりとした口調で尋ねるアンリに、男は吠えるように答えた。
「ああ殺したさ! 今までで56人殺した! お前で57人目だあぁぁ!!」
襲い掛かってきた男をバックステップでかわし、アンリは目を細めた。
「———あなたは、なぜ殺しをやるのですか?」
「なんで殺しをやるかって!? 初めて聞かれたな! だがどうせお前は死ぬ運命だ、冥途の土産に教えてやろう!」
高笑いして、男は、自分の生い立ちから殺しの仕方、そして自分がいかに不幸であったかを語り始めた。
全てを男が語り終えるまで、アンリは微動だにせず、真剣な顔で男の話を聞いていた。
話し終えた後、男はかぶっていたフードを取った。
その時初めて、アンリの表情が変わった。
アンリの表情に驚愕をみた男は、またも高笑いをした。
「ハハハハッッ! どうだ、驚いたか!? 俺はな、不幸なんだよ! 俺だけが不幸なんて不公平だ!! 人類全員、殺してやるぅぅぅ!!」
アンリは震える声で尋ねた。
「あなた、まさか‥‥‥。冬斗ですか?」
男の表情が、変わった。
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