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~ 特別編 1 13歳のアンリの海の思い出 ~

アンリはわくわくしながら車の窓から外の景色を眺める。

「アンリお嬢様ぁ、身を乗り出しすぎると危ないですよぉ~」

やんわりとメイルが注意をするが、アンリの興奮は収まらない。

「だってだって、メイル! 久しぶりの海です! これで興奮しないほうがおかしいと思いませんかっ?」


目を輝かせたアンリが、メイルを振り返る。

「昨夜は興奮しすぎて、一睡もできませんでしたっ!」

「一睡も‥‥‥? それにしては(くま)がないような‥‥」

不思議そうにアンリの顔を覗き込み、メイルはじとりとした視線をアンリに向ける。

「さてはお嬢様‥‥‥。メイクでうまく隠しましたね?」

「な、何のことを言っているのやら~‥‥」


冷汗がアンリの頬を滑る。

アンリは知らぬ存ぜぬを突き通すつもりのようだが、そんなものでへこたれるメイルではない。

「お嬢様‥‥‥。しょうがないですね、一睡もできなかったのなら海へは行けませんね。家に戻って寝ましょう」

きっぱりと言い切ったメイルにアンリが縋り付く。

「そんな! そんな、メイル~。私、すごく楽しみにしてたんですよ? あんまりです~‥‥」

さっきまでのテンションはどこへいったのやら。


一瞬にしてしょんぼりしたアンリは、すぐにキッ!と宙を見つめ、運転手に指示を投げかけた。

「熊谷さん! メイルの言うことは無視して、そのまま海へお願いします!」

このアンリの発言に慌てたのはメイルだ。

「だ、ダメです! 熊谷さん、家に戻ってください!」


アンリとメイルに正反対のことを言われ、熊谷は困ってしまった。

どちらを優先させるべきかというと、それはきっと公爵令嬢のアンリお嬢様のお言葉だろう。

だが、メイルさんの発言はアンリお嬢様の体調を心配してのもの。

さて、どうしたことだろう‥‥‥。

熊谷がぐるぐると考えている間も、アンリとメイルの言い合いは続く。


「メイル! 私のこと大丈夫です! 先ほどは一睡もできなかったといいましたが、一時間は寝れたので!」

「お嬢様、それ嘘ですよね? しかもそれが事実だったとしても、睡眠時間一時間は少なすぎます!」

「大丈夫です! 自分の体調は自分が一番わかっているので!」

キリっというアンリに対して、メイルはあきれたように言い放った。

「お嬢様、それ三日前にプールではしゃぎすぎて風をひいた人の言うことではないと思いますよ」

「ぐ、ぐぬぬ‥‥‥。た、確かにそうですけどっ‥‥‥!」


熊谷はアンリが言葉に詰まったのを見て、二人に提案をする。

「それでは、アンリお嬢様の体調が万全な日にまた出直すというのはどうでしょう?」

この提案にすぐさま不満をあげるアンリ。

「嫌です! 今日がいいんです!」

頑固なアンリを困ったように見つめ、メイルが言う。

「アンリお嬢様‥‥‥。私はアンリお嬢様の体調を心配しているんですよ?」


ぐぬぬっとまたしてもアンリは言葉に詰まる。

一番の仲良しで、気を許せる数少ない人間のメイルの困った顔に、アンリは弱いのだ。

それに、なんだかんだ言ってメイルがアンリのことを一番に考えてくれているのはわかっているので、アンリもあまりわがままを言えない。


「う‥‥‥。し、しかたないです‥‥。今日はいいです、また今度きましょう」

「了解です!」

アンリの返事にいち早く答えた熊谷は、アンリお嬢様の気が変わらないうちにと、Uターンをするため近くのお菓子屋に入る。

「ありがとうございます、アンリお嬢様」

嬉しそうに微笑んだメイルは、何かを思いついたようだ。


「そうだ、熊谷さん、そのまま駐車場に止めてもらえませんか?」

お菓子屋でUターンをしていた熊谷は、「わかりました」と返事をして、駐車場に車を止めた。

「メイル、どうしたのですか?」

不思議そうな顔をするアンリに向かって、メイルはまた嬉しそうに微笑む。

「アンリ様に、ご褒美に何か買ってさせあげようと思いまして」


「ご褒美ですかっ? やったぁ、嬉しいです!」

にこっと満面の笑みを浮かべたアンリは、今日は最高の日だな、と思った。

たくさんの方に作品を見てもらえたことが嬉しくて、調子に乗って書いちゃいました‥‥‥♪

ちなみに、メイルからのご褒美は生クリームたっぷりのショートケーキだったそうです。

メイル「アンリお嬢様、買ってまいりました!」

アンリ「うわああっ、私の大好きなショートケーキ! メイル、ありがとうございます! さて、ではいただきま――」

メイル(すぐさま食べようとするアンリからケーキを奪って)「だめです! 家で食べましょうねぇ」

アンリ「メイル! 酷いです、この美味しそうなケーキが目の前にあるにもかかわらず食べてはいけないだなんて!」

メイル「そんなに言うなら仕方ないですね、アンリお嬢様の前からケーキを消すために私が食べちゃいましょう」

アンリ(あーんとケーキを食べようとするメイルを必死に止めながら)「うわああ、ダメです! 家に帰って食べますから~!!」

メイル「いい子ですね、お嬢様!」

その後アンリは結局車の中でケーキを食べてしまったとさ、めでたしめでたし(?)

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