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旅立ちの日
これまで、歩道についていた庇が急に無くなる。
光る空の青がひどく目に沁みた。
立ち止まって、思わず目を腕で覆えば、心地よい春の空気が脳に入り浸る。
いつもより早い起床はまぶたを押し下げようとする大きな要因だ。
荷物を抱え直し、足をまた踏み出す。
数歩すぎて、昔から変わらない和菓子屋を見て、思い出した。
あの前にはジャケットを仕立ててもらったテーラーがあったのだっけ。
いつ、無機質な近寄りがたいビルに変わってしまったのだろう。
仕立ててもらったのも、5年は前の話だ。
ふっと、道を振り返れば、昔の面影は所々にあれど、ほとんどが近代的な建物に飲み込まれてしまっていた。
時がたつのも早いものだ。
息を1つついて、前を向き、歩き出す。
やはり、青い空が目に沁みた。




