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「よる」
暑い、夜だ。
寝苦しい、夜だ。
細かな明かりが機械の存在を主張している。
叩きつけるように雨の音が部屋の中を反響している。
胸の奥を黒々とした澱みが、いくあてもなく溜まっている。
決まらないことばかりだ。
進もうとも思えないほどに。
社会不安。
いや、ただの臆病で、失望だ。
絶望に苛まれている。
なんて。
ばかみたいだ。
いいものだよ、希望は。
ふと幻聴した映画の一節。
さぞかしいいものだ、希望は。
照らされたその一瞬。
されど。
繰り返される明暗に疲れてしまっている。
そう。
深く考えなくてもいい。
社会はただあるだけで。
人は、情を持つ生き物で。
組織に縛られる必要はなく、全ては流動体だ。
世界は美しい。
たしかにそうなのだろう。
カーテンの隙間から差し込む朝日。
幻視したそれ。
ふとした日常に美しさは隠れている。




