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短編集  作者: 燐火
19/39

夢見る乙女は現を知る

「っ、陛下…お待ちくださいっ…これはっ……一体どういうことなのですかっ!」

「どういうこと…だと? 全てお前がやった事だろうに……反吐が出る」

「…わたし……が? …………へいか……あなたは……なにも………知らないのです…ね…………」

「…お前の顔などもう見たくもない……兵よ、連れていけ」

「…………はっ」

「…………あぁ…私は……何のために……」


***


「……何も言うことはないのか? 重罪の妃よ」

「………我が皇国に…永久の平穏を……」


***


「ねぇ、なんであの皇妃様って殺されたの?」

「……皇帝サマも馬鹿だねぇ…」

「……本当に皇妃様が可哀想だよ…」


***


「やっぱりアイツって悪すぎでしょ…お姫様ぶって気色悪い……なんであの子が」

「ホントにね、アイツって気色悪いわぁ…なんで男はアイツの裏まで見抜けないんだろうね」

「ホント、友人のあの子が可哀想だわ」


***


うえ3つが初めの物語。4つ目が今回の物語にも出てきていないモブの女子の話。

Pipipipi――Pipipipi

窓の向こう、山の向こうから差し込んでくる光が美しく部屋を茜色に染め始めたころ。狭い部屋で目覚まし時計が鳴った。

がばっと布団を跳ねのけ、頭から寝ぼけたままの思考とさっきまで浸っていた夢を振り払いつつ起き上がる。

夢見のせいか、乱れたままの髪の向こうに見える部屋は、いつもと一緒のもので、私は、密かに胸をなでおろした。


***


「え~?夢?…そんなの私は最近見てないよ~……ふわ~ぁ……ねむっ」


私の前の席の友人はそう言って私の机に顔を伏せる。

…いいなぁ。こんな夢を見るくらいならいっそ眠れなくてもいいのに。


…それがどんな理由だったとしても…。


「ねぇ、その見てる夢ってどんな夢?」


顔だけを上げた友人の顔は、変な大勢にもかかわらず女の私が見とれるほど可愛らしい。にっこりと笑いながらの問いかけに思わず答えたくなる。


けれど…答えるわけにはいかないのだ。


それも…夢の内容はひどいという言葉で表せないようなものだった。

毎回見る夢は違う。ファンタジーにSF、未来に過去、御伽話のような時でさえある。


ただ…大体の夢で、私はこの友人の隣にいて…友人がいつも目立って、いい役を引いているのに、私は惨めな役か、決められた悪役か、引き立て役か…。


友人がいつも正で、私はいつも悪。


夢とはいえ、話せるものではない。

それに…この夢は、普通の夢とは違って頭に焼き付いて離れない。きっと、全ての内容を語れとでも言われたら、出来るほどに鮮明に覚えているのだ。


夢とは思えない夢。


もし…これが現実で…友人がそんな人だったのなら…。


「…ねぇ、聞いてる?」


友人の声で我に返る。誤魔化していないように見えるよう、ただ申し訳ないように笑う顔を造っていった。


「…特に覚えてないんだ~…」


友人も笑って言った。


「なんだ~、忘れたの~…」


その顔は可愛くて、忘れてしまいそうになる。


もし…あの夢が本当だったのなら、友人のこの顔は笑っているわけではない…と。


細められた目の奥、何らかの炎が渦巻いてしまっているのを…私は見てしまったのだから。


***


無機質にすべての色や音はたまた存在までもが吸い込まれそうな白い場所。境すらなく広がっていそうで、そもそも何もないような場所には、なぜか水の膜でできたようなたくさんあるスクリーンに映像が流れていた。


それには必ずと言っていいほど、2人、もしくは3人の人物が登場していた。


「あら……始めてかしら?」


とある1つのスクリーンを見つめていた美しい女性は目を少しだけ見開く。

その女性は美しい……それも人形のように。けれど、どこか欲に歪んだ性根がその表情に表れていた。


「あの子…“元皇妃”の記憶が夢で見えていたり、“王女”を疑うだなんてこと……」


そのスクリーンには何故か、“私”と“友人”が映っている。


それも…“私”が“友人”に夢の事を話しかけた場面だ。


「やっぱりいいわぁ~…“王女”の欲は。つきないし、何しろ一つ一つがどろっどろで甘―いお菓子みたいだもの」


うっとりと欲にまみれた顔のまま陶酔する女性。よく見れば、女性の周りには、スクリーンから漂ってきた黒っぽい靄…白くすればわた飴のようなモノが漂っている。


「初めの物語の“元皇妃”だけでは飽き足らず、“元皇妃”の輪廻転生に必ずついていって、毎回すべてを奪うだなんてっ!」


座っていた高級そうなソファのような椅子から立ち上がり、女性は興奮しながらも語った。

そして、ゆっくりと息を吸い込む。周りの靄が女性の口に吸い込まれて、靄の黒が薄くなる。


「なんて素晴らしいことなのかしらっ!!」


興奮のあまり体を自身で抱きしめる女性。その表情は人に見せられるようなものではない。欲と陶酔の混じった顔は美しい顔をそれこそ悪魔のように歪めてしまっていた。


「本当に、“王女”の欲は甘―いケーキに甘―い蜂蜜をふんだんにかけたようだわっ」


先ほど吸い込んだ靄と同じ様にもう一度吸い込み、いった女性。欲の甘さに思わずといったようにほほに手を添えている。


そう、女性の周りに漂う靄は、欲が形となったものなのだ。


「“王女”に加護と力を与えて大正解ねっ!」


人に…“カレラ”である女性が加護を与えるのはまだいいことだった。


けれど、力を与えてはいけない。

そう決められているのを女性は知りながらもその決まり事破っている。


それは、女性の存続のため。

力を与えれば、よりおいしい欲が食べられるから。


思いついて実行してしまったことはもう女性には止められなかった。

それこそ、坂に置かれたボールが下り落ちていくかのように、もうやめてしまっては女性の存続が…存在が危うくなるために…やめることができなかった。


もう…女性は質の良い欲なしには存在できないのだから。


「もっと強い欲を持っている子はいないかなぁ~?」


そう、自身の存在をより確かにするための人材を、スクリーンに映した人々の生活の様子の中から探す女性は気がつかなかった。いや、気がつけなかった。


“私”である“元皇妃”が、女性の事を…ちょうど夢に見ていたことに。


女性が自身と“王女”の陶酔と欲に浸っていたから。


“私”が初めの物語の事も、全ての事の記憶のカギを開けてしまったことに。


女性も“王女”も、“元皇妃”のことを搾取するための存在としてしか見ていなかったから。


“私”が“元皇妃”が、“皇妃”として戻ってしまったことに。


女性が“カレラ”として、高慢だったから。


“私”の反撃の狼煙が上がってしまったことに。


***


Pipipipi――Pipipipi

窓の向こう、山の向こうから差し込んでくる光が美しく狭い部屋を茜色に染め、目覚まし時計が鳴る。その音を合図に起き上がった“私”は笑った。


「すべてを…“私”のすべてを…取り戻さんがために」


そう、“私”は“皇妃”なのだから。


***


全ては偶然にもそろってしまった。

これは、女性のミス……ではない。


定められた物語なのだ。


愛し合う”王女”と“皇帝”を見たままの女性は知らない。


女性自身は“カレラ”の長によって泳がされていたことに。

女性自身の未来は決まっていることに。

女性自身はもう“カレラ”ではなくなってしまっていることに。

女性自身が…堕ちてしまったことに。


そして…、断罪は行われるのだ。


“皇妃”がやっと…目覚めたのだから。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


*“カレラ”


神様のような存在。いうならば、人間よりも格が一つ高く、それぞれに司る物を持つ。司る物=糧となる物の者も多い。

加護、力を人間に与えることがあり、天災ともいえる存在。


*初めの物語


私や友人、“皇帝”にとって、一番初めの原点となった世界のこと。全ての原因がこの世界にあった。


*私(もとい、元皇妃もとい、皇妃)


初めの物語から、何度も何度も別の世界に転生した後、とある世界に転生した皇妃の姿。初めて、別の世界の転生の内容や、初めの物語の夢を見て、そして女性の事を夢に見ることで初めの物語としての姿や、これまでの能力全てを受け継いだ。後にハイスペック少女となる。


*“皇妃”(もとい、元皇妃もとい、私)


初めの物語で、皇妃だった人。とある大国の皇帝の妃で、その大国の貴族出身。幼いころから皇帝とは婚約相手であった。そのため、幼いころからたくさんの教育を受けてきたハイスペックな人。とても頭がよく、綺麗という言葉が似合う。民衆にも好かれていた。しかし、王女によって皇帝によって重罪犯として処刑された人。その犯罪は王女をいじめたこと…らしいが、皇妃はやっていなくて全ては王女側による自演。冤罪によってすべてを奪われた悲劇の皇妃。だが、正歴史書には重罪の皇妃として描かれた。が、民衆には好かれていたので、本当の皇妃の姿を描いた歴史書もある。後世、どちらが本当かで専門家の意見が割れた。が、大半が正歴史書は正しくないという結果に落ち着いている。


*友人(もとい、王女)


初めの物語から、何度も何度も別の世界に転生した後、とある世界に王女が(私と同じく)転生した姿。外面は良く、なおかつ可愛い。馬鹿でも阿保でもなく、それなりの頭の良さを持っている。綺麗という言葉はあまり似合わず、可愛い、少女らしいという言葉が似合う人。まぁまぁスペックは高いが、どことなく作られたあざとさや可愛さがある。


*“王女”(もとい、友人)


初めの物語で王女だった人。皇帝を落とし、皇帝にお願いし、皇妃を嵌めて離婚させた。これには、女性からもらった力も使った。別の小国の王女であり、政略結婚ではなく、皇帝が見初めた女性。頭は悪知恵や愛?の方向にしか使えない子。元々、別の女の婚約者を落として逆ハーレムを小国で築き上げ、民衆や女の貴族達からは性悪の王女とも呼ばれていた。これがのちに大国にも流れてきて、皇妃になっても民衆や女の貴族達からは嫌われまくっていた。皇妃になっても逆ハーレムを築いていた。それも、全てが見目麗しい元は別の女の婚約者だった男たちばかりで…である。とにかく、正歴史書にはこうしたことは書かれなかったが…他の全ての歴史書や日記にはこうしたことが書かれていたりする。真の重罪犯人はこちら…である。女性から加護と力をもらったのは、小国で逆ハーレムを築き上げた頃。


*女性


“カレラ”のうちの一人で、欲をつかさどり、糧とするもの。元々、下っ端の下っ端であったが、“王女”を見つけて、加護と力を与えてから、質の良く、多い欲を受け取るようになり、中間管理職ぐらいまでは出世した。しかし、それによって、長(“カレラ”のうち、欲を司る者の一番上(“カレラ”全体では、中間ぐらいの立場))に目をつけられ、調べられて、見切りをつけられた。今は泳がされているが、そろそろ捕まえられるところ。全ての元凶の種を作り出したもの。やはり、“カレラ”は天災である。


*“皇帝”


ある意味巻きこまれた可哀想な人。初めの物語のキーパーソン。とある大国の皇帝であり、皇妃と婚約関係の後結婚した。が、王女に(王女が女性にもらった力によって)惚れて自分の国である大国に連れ帰った。そのあと、重罪犯として妻であった皇妃を処刑。その後は楽しく過ごせたか…というとそうでもなかった。民衆には嫌われ、妻とした王女は仕事もしないし、使用人や部下たちもどこか冷たく、仕事は無茶振りされ…といったふうにものすごく大変だった。しかも、転生を何度もして、同じような轍を踏んでいる。記憶がないがゆえに仕方がないが、やはりとても可愛そうな人である。


※書いている私も最後のほうには意味不明になってきた代物です。人物、世界紹介を読んでもわからなかった方はふわっと理解してください。この話は、こんなものなのだ……と。


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