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3-3

部屋の蝋燭がゆらゆらと揺れる。

男の声が響く。


「ダン、何をやってるんだ」

「申し訳ありません」

「国王陛下との関係に不利になるような事態は避けてほしい。お前を連れてきたのはアースに魔法使いを見せつける為だ。揉め事を作る為じゃない」

「わかっております」

「ボックス席にいたのは国王陛下の妃候補か?」

「そのようで」


アース城の一室で、パーティーの後ワインを飲みながらクラアール宰相が魔法使いのダンと話している。


「名前は?どこの貴族の令嬢だ?」

「わかりません。誰も存じていないようです」


べつの側近の男が答える。


「特徴は?」

「ピンクの髪と薄緑の瞳、10代の女です」


「それは…」


ふむ。と宰相は頷く。


「ダン、お前まさかアレだと思ったのか?」

「……」

「アースに隠れていたのか?」

「…恐らく」

「何百年とたつだろう?どんなカラクリだ。アースを探さなかったわけじゃないだろう?」

「わかりません、彼女の魔力を感じ取ったわけではありません。だからこそ、きちんと姿を見る必要があります。」


「なんとしても確認しろ。国王へのいい手土産になる」


面白い。

宰相は手を顎に乗せて考え込む。


***


パーティーの、翌日からはラグナ国との会議だ。

今後の貿易についてが主な議題だ。


そんな中、ふらりと国へ帰ってきた人物がいた。


いつもの、東の塔。

外出することが現在できないため、部屋でゼオの魔法の授業をしていた。


「魔法陣の、大きさで魔法の大きさが変わる。だからこの前かけた詐術の魔法陣は、かかる規模も多かったからそれなりにおおきかった」

「あんな、大きな魔法陣魔力たりるかな」

「ゼオの魔力量ならへいき。でも、魔力の調整が難しくて最初は負担が大きくなると思う…」


エルドは魔力を感じた。

部屋の中にいる。


何もない空間のある場所を掴みひっぺがす。


「見つかった」


ぺろりと、少年が悪戯っぽい表情で微笑んだ。


「…だれ?」


突如、透明化の魔法を解除され現れた少年は、黒髪に赤目で、レオリオをそのまま少年にしたような様子だった。

年はゼオより少し上ぐらいに見える。


「誰って、俺のこと知らない??あれれ?たしかにもう城を離れて2年くらいだけど。」


うーん、と首を傾げる。

長い髪を後ろで一つ括りにして垂らしている。赤いリボンで結んである。


「まぁ、いいか。俺はグレン。よろしく」


レオリオににてるが、目がくりくりと大きく、可愛らしい。端正な顔立ちをしている。


「…なぜ、ここへ?」

「いや、東の塔に魔法使いがいるってきいたから来た。俺、この前までリュベールに留学してたんだけど、そこで魔力があるのがわかって修行したんだ」


リュベール仕込みの魔法使いらしい。


コンコンコン


「エルド様!失礼致します…」


メリルがお茶を持ってやったきたが、部屋の中にいる人物を見て驚く。


「!!!?第4王子様!!」


ガバッと顔を伏せた。


エルドとゼオは2人ともポカンとし、第四王子と呼ばれた少年をみる。


「ホラ、やっぱり俺ちゃんと有名人だった」


ホッとしたようだった。


***


ぶすっとしたレオリオの前にグレンはやってきていた。


「国王陛下、お久しゅうございます。第四王子、グレン・ニューズベル・ド・アース帰還いたしました」


執務室で深く礼をする。

国王への謁見の前にきちんと正装に着替えている。

レオリオは、弟が魔法使いになって帰ってきたことに驚きと不満の表情を浮かべていた。


「あぁ、なかなか帰ってこないから何をしてるかと心配した」

「ははっ、兄上!そんな、怒らないでくださいよ…手紙だしたじゃないですか」

「2年で一回だけな」

「えー?もっと書いた気がするけどなぁ」

しらばっくれる。


「それよりも、リュベールに留学させたのは、他国の政治や経済の勉強のためだったはずだが」

「いやー、自分の意外な才能がわかってしまって、そっちに没頭してしまいました」


けらけらと、レオリオそっくりな顔でおちゃらける。

母親は違えど、父親の血が濃く、そっくりである。

4人兄弟だったが、死んだ上2人は下2人に全くにていなかった。

赤い目だけは皆同じだったが。


「だって、向こうに行って真面目にやろうと思ったらリュベールの魔法使いに、魔法使いの才能があるって言われて。魔力が豊富で修行すれば魔法使いになれるっていうから」

「………お前、いつから魔力があるんだ?昔そんな兆候なかっただろう。」

「そうですね。なかったと思いますが…思い起こせばあったような。まぁ、忘れました」


レオリオは後でグレンの側近のメイドや使用人、乳母に確認を取るように指示をした。


「だけど、しょうがないじゃないですか。才能あるって言われたし。気がついたらそっちの方ばっかり勉強してました。それに、いい機会かなぁと思いまして」


グレンは、おちゃらけた表情のあと、意味ありげな目を向ける。


「兄様もそろそろ魔法使いをと考えていたでしょう?」


「………」


国の情勢や城の内部事情はしょっちゅう確認させ報告させていた。

だから、城に魔法使いがこっそり来たことも知っていた。


「そうだな…」


「それにしても、何というタイミングで帰ってきたのか。」

「ハハッ、いやほんとはラグナの使節団の前に帰ってこようと思ってたんですが、天候の都合で遅れてしまって。でも帰る前についてよかったですよ」


「はぁ。全く、だが、お前が帰ってきて、魔法使い問題はいいルートに迎えそうだな。」

「向こうの魔法使い達とパイプを作ってきました」

「さすがだ」


昔からグレンの政治的カンやセンスを評価していた。

手ぶらじゃ帰ってこない弟だ。


「ところで、兄上」

チラリとグレンが控えていたエルド達を見る。


「あぁ、王室所属にしてる魔法使いのエルドと、見習いのゼオだ」


2人とも、深くお辞儀をする。


「よろしく」


グレンは爽やかに笑う。

兄とはまた違って表情がころころと変わる。


「エルドって言ったかな?すごくいいね。可愛い、仲良くしてね」


グレンは、自然にエルドに近づいて、手の甲にキスをした。


「どうぞ宜しくお願い致します。第四王子様」


何事もないかのようにエルドは再度お辞儀をする。


「さて、俺はちょっと疲れたから部屋に戻るね」


固まっているレオリオをよそに、グレンは国王陛下に礼をしてサッサと下がっていった。


グレンが側近を連れて下がった後、レオリオがガタンと立ち上がり、エルドに近寄る。

そして、服の裾でガシガシとエルドの手の甲を擦った。


「王様、痛いです」

「我慢しろ。毒だ」


毒?

何をしてるのかさっぱりわからない顔で黙っていた。

アルベルトも、ゼオも、事態が分かっており、笑いを堪えている。


ぎろりとアルベルト達を睨む。




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