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2-3

パチリと目が覚めた。


ここはどこだろうと、むくりと起き上がりぼんやりした頭であたりを見渡す。


めをごしごしこする。


とりあえず、夜だな。

そして、貴族の邸宅のようだ。

ベッドが豪華だ。


とりあえず、ベッドから出て、着替えよう。

パチンと指を弾くと、いつもの服に一瞬で早変わりする。

髪もベタベタしてる。

何日たったのか。

魔法で綺麗に浄化する。


そして、魔力に違和感を感じる。

体の中に、自分のものじゃない魔力を感じる。

こんなこと、今まで一度もなかった。

何故?

そして、頭にあの王様のことが浮かんだ。

王様はどうしただろうか。


そうしていると、ガチャリと部屋のドアがあいた。


「おはようございます」


部屋のドアノブを握ったまま、レオリオは固まった。


眠っていた魔女が、いつの間にか起きて立っていた。

部屋に入り、スタスタと魔女に近づく。


両手で頬を包む。

「熱は下がったな。他に悪いところは??!」

「……ないですが…」


はーーーーっとレオリオは息を吐いた。


「おまえ、3日寝たたんだぞ?」

「そんなに」

「何がどうしたんだ?!」


レオリオはとりあえずソファにエルドを座らせ、自分も、隣に座る。


「…魔力が空になったからですね」

「疲れか?」

「久しぶりに魔力が空になるほど魔法を使いました。移動魔法は魔力を大量に使うのですが、空になるほどとは。東部との距離の誤算がありましたね」


あっけらかんと話す。


「ともあれ、私の不測の事態にご迷惑をお掛けして申し訳ありません。予定に支障がありましたでしょうか?」


「いや、支障はない。むしろ早く来れたおかげで余裕もできて予定以上に動けている。皆感謝しているよ」


レオリオはエルドの頭を撫でる。


「だが、無理はいけない。どれだけ心配したかと…」


エルドはその無気力な目を真っ直ぐレオリオに向けた。


そして、


「王様…」

「なんだ?」

「魔力を感じます」


体の中にある魔力と、同じものをふと感じた。

遠くで、微かだが。


「一緒に行きますか?」


エルドは立ち上がり、レオリオに手を差し伸べる。


レオリオは、はぁ、とため息をつく。


「体は大丈夫なのか?」

「どなたか存じませんが、結構な量の魔力を私にくれたみたいです。なので通常通りに動けます」

「見張っててやる」


レオリオはエルドの手を取る。


「!」

「どうした?」


「手を繋いでるなら魔力を封じるのをやめてください。それか、手を離してください」

「お前が手を出してきたんだろうが」


無意識の魔力遮断を解く。

すぐに瞬間移動をした。


***


教会の一室で、レイチェルは家族と一緒に寝ていた。


すると、呼ばれた気がして目を覚ます。

ハッと起き上がりあたりを見渡す。


頭に声が響く。


"外にこれる?"


知っている声だった。

ずっと心配していた。


レイチェルは外に飛び出した。


「ゼオ!!?」


教会の外、木の影から姿を表す。


「よかった、よかった!」


レイチェルは泣きながら少年の姿をみて安堵した。


「お姉ちゃん」


少年よりも背の高いレイチェルは彼をぎゅっと抱きしめる。


「お姉ちゃん、俺、この街をもう出て行くよ。」


その言葉にハッとする。


「えっ」


「この街では、生活できない。父さんも、他の大人達も俺は死んだものだと思ってほっとしてるんじゃないかな」


「……」


レイチェルは涙をぽろぽろながした。


「どうして、ゼオばっかりこんな目に…」


ぎゅっと弟をだきしめた。


「だから、今まで食べ物とかいろいろしてくれた姉ちゃんにはお別れを言いに来たんだ。

今までありがとう」


「わたしも、いっしょに」

「だめだ。姉ちゃんは大事にされてるから。父さんを守ってあげて。俺は変な力があるだろ?だから大丈夫」


ニコッと笑ってみせる。


「お姉ちゃん、元気で」


ガッ


鈍い音が響いた。


「ゼオ!!!!!!」


レイチェルは驚いて振り返る。

少年は簡単に後ろに吹っ飛んだ。

地面に叩きつけられる。

じっと動かなくなる。


「レイチェル、大丈夫か?」

「お父さん!?」


父親と、シスターや、近所のおじさんたちが立っていた。


「噂通り、生きていたのね…恐ろしい子…」

「ちゃんと死んだのを確認しないと安心できないな」

「あぁ」

「シスター、レイチェルを連れて行ってくれ」

「おいで」

「いや!お父さん、やめて!ゼオはもう、街を出て行くって言ってるから!だめ!殺さないで!」


レイチェルは必死に抵抗して叫ぶ。


「静かにしなさい」


お父さんと呼ばれた男は少年に近寄る。


すると、少年から青白い光がぼうっと光り始めた。

うっすらと目が開いているが、声はない。


「まただ…化け物め…」


ぶるぶると震えながら男は右手に持っていた剣を振り下ろす。


だが、

男は何故か後ろに飛ばされた。

カランカランと剣が落ちる。


目の前に突然、人影が現れる。


人が、2人。

真っ黒なローブを羽織り、肩までの桃色の髪の毛の女。

そして、


「こっ、国王陛下!!!!!!」


暗闇の中、街人何人かが、持っているランプの灯りでそれが誰かが把握できた。


全員、いっせいに体を伏せた。


エルドは指をくるくるふって、玉のようなぷかぷか浮くあかりをいくつも出す。


「エルド、そいつか?」


「…」


エルドは倒れている少年を見た。

青白い光がまだ光っている。


「意識してないのに、勝手に魔力で治癒してるんでしょうね。本能でしょうか。」

「分析してる場合か」


エルドは手のひらを少年に向ける。


少年の、それよりも明るい光が包み込む。

やがて、それは消える。


「頭を強く打っていたので、それだけ治療しました」

「…う…」


少年は体を起こす。


目の前にいる人物に気がつく。


「あれ?お姉さん…」

「…」


エルドはじっと少年を見る。


「もう、起きて平気なの?」


少年はエルドに聞くが、答えない。

よくわからず、少年はあたりをみわたす。

妙に明るくて、人がみんな体を伏せている…


「だれ?」


その前に誰か立って腕組みをしている。

胸に紋章の入ったブローチをつけている。

ドラゴンだ。あれは、王家の紋章。


服も旅装束だが、すごく立派だ。

黒髪で、赤い目が恐ろしく光っている。


「国王陛下ですか?」


ヤバいと、急いで体を伏せた。


レオリオはふぅとため息をつく。


「何をしていた?」


いつも聞いている声だが、何故だかいつもよりも高貴で、威厳を感じる。

エルドはレオリオの後ろでじっと見ている。


「娘、レイチェルと言ったか、顔を上げろ」

「…はいっ…」

「この子供か?おまえの言っていた奴は。」


レイチェルはびくびくと怯えながらもレオリオに目を向けた。


「はい、わたしの弟です」


その前でまだ頭を伏せたままの父親は黙らせたい衝動を、必死に抑えていた。


「弟?孤児ではなかったか?」

「……弟です…」


「孤児と言っていたものは誰だ?お前か?」


父親はビクッとして顔を伏せたまま、力なく私ですと答えた。


「この子供は孤児なのか?」

「いえ、私の子供です。ですが、そのものは妙な力を持っております。魔獣の類でございます!街に災いをもたらす前に私が処分をしました。ですが、死なず、またここに戻ってきたのです」


「ふむ。」


「以前はラグナ地方から魔獣が移動してきて害をもたらしていたようですが、ここ500年ほどはも魔獣出現の記録はありません。ですが、このような形でまた復活していたのです!!!!」


さも当然という父親の証言。

ここは魔法国のラグナとも近い距離にある。

中央に知らない歴史がある。

魔獣に対しての恐れと共に、きっと、エルドが、使っているこの魔法にも恐怖心を抱いているはずだ。

しょうがない事なのだろう。


「では、この少年は私が貰って行っても問題ないな」


レオリオの発言に伏せていた全員が驚く。


「この力は他国では常時されている魔力だ。私の連れのこの物の力と同様だ。貴重なので連れて行く。いいな?」


父親は、ぽかんとしている。


「そのものは魔獣ではないですか?」


「ちがう。特別な力を持った人間だ。連れて行くぞ。」


話は終わりだと、レオリオは帰ろうとする。

騒ぎを聞きつけた騎士達も集まってきている。

レオリオは騎士達と話す。

少年はぽかんとそれを聞いている。

よくわからないが、連れて行かれるらしい。

自分は、どうなるのかと考え恐ろしくなる。

耐え難い拷問にかけられるのか、実験にされるのか。

逃げようとするも、じっと、目の前に立つ薄緑の瞳が見張っている。

少年は本能で分かっていた。

目の前の、女の力が。


大人しく行くしかなかった。

だけど、最後に姉を見る。


涙を流してこっちを見ている。

心配するなという意味を込めて、姉に微笑んだ。


「行くぞ」


そして、少年は国王陛下とエルドと共に消えた。



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