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9 補足をちょこちょこちょこ

オンライン授業など、子供たちの学習環境の問題は難しいことばかりです。

九月入学の問題については、以前から考えていたことがあるので、それを今回、書いています。




ユーリ「そう言えば、紗智子さんが言ってたっていう九月入学の話、どう思う?」

天平「どうって?」

ユーリ「ほら、もしも新型ウィルスの影響で休校が長引いたら、九月入学に切り替えよう、なんて話になったりしてね? って思って」

天平「九月入学は――いや、もともと反対だからなー」

ユーリ「まあ、わわわ会では決着ついてる話だけどね」

天平「『富国強兵』と同じパターンになってるよ、それはよくないだろ。ハード作り替えるよりソフト対応しようぜ――だろ? わわわ会は『目指せ! 一匹オオカミ!』だからな」

ユーリ「やっぱりそうだよね。それはそうなんだけど、前に話したときは、こんなパンデミックは想定していなかったから――」

天平「休校が長引いたら、いっそ九月から学校はじめるって手もあるんじゃないか、って? いやいやいや。九月入学にしたからって、九月までの時間が子供たちの分は無くなって、今から一気に九月にワープする、ってわけじゃないんだからさ? 九月までの間、どうすんだ? になっちゃうだろ? 宙ぶらりんな子供、どうすんだ? だよ」

ユーリ「そう言われればそうか。学年が始まるのが延びたら、新しい学年までの間はどういう扱いになるのか、わからないよね? 五年生は五年生のまま? けど、六年生は卒業するわけで、そうしたら、小学校は卒業してるのに中学生にはなれない状態が九月まで続いてしまうってこと? ん? どういうこと?」

天平「休校が長引くようなら、何はさて置き、オンライン化だろ? んで、オンライン化するなら、別に九月入学にする必要ないし」

ユーリ「どのみち、オンライン学習は、オンラインの使い方やIT機器の扱い方を学ぶためにもみんな取り組まなきゃいけないことだしね? 遅かれ早かれやることなんだから――あ。でも、オンライン化って、お金かかるよね? もともとオンライン学習に取り組んでた学校とかもあるのかな? なんか、オンライン化するの、早いとこと遅いとこと学校ごとにバラつきが出そうじゃない?」

天平「それはそれで仕方ないんじゃないか? だって、災害が起きたときだってそうだろ?」

ユーリ「――あ。そっか。これまでも被災した人たちは、被災したからって、周りがそれに合わせて勉強を遅らせたわけじゃない……」

天平「被災して勉強ができない状態になったら、その人たちは周りから置いてけぼりにされてきたんじゃないか?」

ユーリ「……」

天平「災害も、災害が起きたとこと起きてないとこ、被害が大きかったところと小さかったところ、不公平で、不平等だったわけだろ? 今起きていることだって、感染者が多い感染リスクの高いところと、感染者のいない感染リスクの低いところとあるわけだし。バラつきは出るよ。オンライン化もバラつきは出ると思う。お金持ちの多い私立学校とかだと保護者が必要なものを買ってくれてオンライン化が早いと思うし、タブレットを支給するお金がない学校は、オンライン化は進みにくいだろうし。けど、それは――不公平でも不平等でもない、ただの『現実』ってことなんだと思う」

ユーリ「その『現実』が厳しくない?」

天平「っつってもな? 災害が一部の地域に限定されていたときは、そういうつもりはなくても結果的に『その地域でなんとかしてください。被災者 個人個人でなんとかしてください』ってカンジだったろ? って気がするけど。それが全国規模になったら、『これはなんとかしなくては!』みたくなるんなら、そっちの方が不公平で不平等な気がしないでもないような……?」

ユーリ「そもそも、これまで災害が起きたときに、被災した人が、被災していない人より学習が遅れてしまうことについて、もっと全国規模でフォローを考えておいたなら、今、そのフォローを参考にすることができたんだね……」

天平「とりあえずオンライン化は、親のパソコン使えるとか、スマホ借りれるとかだったら、どんな機材を使うかはこの際こだわらずに使えばいいし。オレのパソコンもスゥちゃんのおさがりだし。子供用にタブレットとか買える家庭には買ってもらって。どうしても用意できない家庭の子の分だけ学校側が用意してあげて『間に合わせ』しとくと、オンライン化を早く進められるんじゃないか?」

ユーリ「そうだね、同じ機種で同じものを、ってなると、同じ機種のタブレットがそもそも子供の数の分だけ売ってあるかどうかもわからないし……」

天平「中の情報をちゃんと消したりしないといけないから、その辺がめんどうかもしれないけど、中古のものでもいいと思うんだ。なんでもいいから、現物寄付? お金じゃなくてタブレットそのものを子供に寄付してくれないか呼びかけたりして、持ってない子に回してあげられればいいと思うんだけど?」

ユーリ「ランドセルを買えない子供のために、ランドセルを新一年生に入学に間に合うようにプレゼントしてくれる大人の人たちもいるもんね。それに、学校が再開して、そこに自分のタブレットとかを持って行かなきゃいけないとしたら、他の子と違ってるとイヤだな、ってなったりするかもしれないけど、家の中で使うわけだから、機種の違いはさほど気にならないよね?」

天平「スマホだと画面がちょっと見えにくいかもしれないけど、そこは、スマホを基準にしていくといいんじゃないか? 板書は事前にプリントにして配るとかして、スマホで見ててもわかる授業作りをしていくとか?」

ユーリ「そっか。タブレット使ってる子の方がスマホより画面が見やすくて勉強がはかどるから、学習環境に差がつくの、よくないんじゃないかって思ってたけど。最初っから、スマホを基準に授業を作っていけばいいのかも? テレビのCMでも、スマホのアプリで英語の勉強するとかやってるし――って言っても、スマホアプリでどういう風に勉強しているかは知らないんだけど」

天平「なんか、なんでも平等にしなきゃダメっていう風潮あるけど、そもそも、才能も外見も家もなんでもかんでも、人って同じものを持ってはいないんだから。不平等さは無くせないだろ? だったら、不平等な中で、それぞれが不平等さをカバーしていく力をつけていくしかないんじゃないか? それぞれの持つ不平等さに合わせた不平等さがある方が平等――って気ィすっけどな?」

ユーリ「それもそうだね。それに『平等』というか、『みんな同じ』にすることにこだわったら、どんどんどんどん、進みが遅くなるよね、絶対。そっちの方が問題かも?」

天平「学習を進めて行ける人は進めて行けるだけ進めて行って。学習環境が悪かったり、例えば、身内が感染したりして、落ち着いて勉強していける心理状態じゃなかったり、いろんな事情で学習が遅れてしまった人のことを手厚くフォローしていく。そういうことやってくしかなくない? って思うけど。要は、学習が遅れている人をバカにしたり、足手まといみたいに扱ったりするようなことしないっつーことが大事なんじゃないか?」

ユーリ「んー、バカにしないのは大事なことだけど……実際に学習できた人と学習できていない人と、学習の進み方に差ができるのは問題じゃないかな?」

天平「例えばさ、小牟田市の小学校だと、ユーリのいる小牟田小ではオンライン化ができましたー、けど、オレのいる上宮(かんみや)小ではオンライン化が進んでないですー、ってなったら、そんときは、小牟田小はさっさとオンライン授業やればいい、って思う。そんでさ、小牟田小が、上宮小のオンライン化を先導してくれればいいって思う」

ユーリ「せんどう?」

天平「先にオンライン化していく学校が、オンライン化のうまいやり方を、オンライン化の遅れている学校に教えてあげれば? そういうことしていけば、オンライン化が遅れている学校もスムーズにオンライン化が進んでいくんじゃないか? と思う。――その辺の、オンライン化のススメ、みたいなのも、対策会議でサポートしていければいいけど……?」

ユーリ「先にオンライン化したところが先導するのか。――なんか、学習に差がつくっていうのを、どこが早くオンライン化するか、競争になっていくイメージでとらえてしまっていたかも? けど、そうじゃなくて――」

天平「『競争』じゃなくて『開拓者』? 先にオンライン化していく学校って、どうやればいいか手探りで試して、うまくいかないことが出てきて、それをなんやかんややって克服してカタチにしていく『開拓者』になるんじゃないか? んで、そうやって先に行く学校が切り拓いてくれた道を、オンライン化が遅れた学校が歩けば、楽に歩ける分、そのうち追いついていけるんじゃないかと思うけどな?」

ユーリ「差ができることより、差を埋めようとしないことが問題になるのか――」

天平「それからついでに、小牟田小のオンライン学習が上宮より先に進んだら、上宮小がオンライン化したときに、小牟田小の子と、上宮小の子とを、オンラインで繋いで、小牟田の子が上宮の子の学習の遅れてるとこ、教えてくれればいいって思う」

ユーリ「うちと上宮をオンラインで繋ぐ――?」

天平「――ってことができたら、学習差があっても、それはそれでなんとかなんない? それに、オンライン化するならクラスメイトどうしも連絡取り合えるようになるからさ、クラスの中で学習が遅れている子がいたら、学習できている子が教えてやればいいんじゃないか? それで学習は前に進むと思うけど?」

ユーリ「――休みの子がいたら、休んでいる間の授業をまとめたノートを貸してあげたりするけど、それと同じっていうか……オンラインって、子供どうしでの自主的な勉強会もできる……?」

天平「オンラインって言っても、オンラインでやるからこそ、いろいろなやり方でいいんじゃないか? 通常通りの一斉に習う式の授業の仕方じゃなくてもいいと思うし? そもそも、オレのおススメのひとつは『寺子屋式』だからな。課題を個人でやっつけてって、わからないところを先生に教わるっていうヤツ。個別授業の塾とかは、そんなカンジでやってるんじゃないっけ?」

ユーリ「んー。僕たちは天平の言うようにやっていけなくもないと思うけど。問題は新一年生じゃないかな? 幼稚園や保育園が同じだった子が同じクラスにいればいいけど、いなかったら、誰も友達いない状態だろうし。オンラインで授業っていうのも、集中できるかどうか……?」

天平「一年生にオンラインは厳しいか――。ん? でも、一年生だったら子供一人で家に居るってことはないだろうから、保護者に勉強を見てもらって……ぬいぐるみは? ぬいぐるみを友達にして、一緒に授業を受けるだろ? そんで、一年生じゃなく、ぬいぐるみに勉強させるんだ。一年生には『お友だち――ぬいぐるみのことだけど――に教えてあげてね』っつったら、教えるためには自分がまずわからなきゃいけないから勉強せざるを得なくて勉強に集中するんじゃないか? そうやって家の中にいるせいで勉強しようという気にならないのをうまいとこ勉強しようって方向に持っていけないかな? というか、オンラインでやるって言っても先生と双方向でやるんかな? なんにせよクラスメイト全員と繋がる必要はないわけで、全員じゃなくて、クラスメイトとペアを組んで、ペアどうしでオンラインを繋ぐ? 先生がオンラインで教科書や課題のプリントを読んであげる、か、先生の授業は動画にしてそれを見ながら学習していくとかでもいいわけで、そうやって先生が授業して、課題をやるときはクラスメイトとの画面に切り替えたりできるかな? それだとオンライン会議とかのやり方を使ってやった方がいい? オンライン会議のだと資料を共有したり、会議に切り替えたりできるんじゃないっけ? 先生の授業と切り替えができなくても、保護者が問題文を読んでくれるなら読んでもらえるといいけど? とにかく、何をやればいいか課題がわかるようにしてやって、そんで、タブレットを切り替えるか、保護者のスマホのテレビ電話とか使って、ペアどうしで、同じ課題を一緒にやり始めて、課題ができたら、それぞれ自分がやった課題を見せ合って、相手のいいところ言い合う、とかすると、家に居ても課題をやろう、って気になるかも? そんで、ペアは毎日シャッフルしていくと、クラスメイトと顔馴染みになっていけるんじゃないか? んで、保護者がずっと子供と一緒に居られない場合にだけ、子供が学校に行って、教室で勉強をする。教室の中は換気をよくして、一つの教室の中にたくさんの子供が入っている状態にならないようにして。先生ひとりで学校に来た子を見るのは大変だろうから、学校の近くに塾の先生とかいたら、サポートしてもらうとか? っつか、オンライン授業とか関係なく、低学年の子が、その日の授業で教わった内容を教えてあげる『お友だちぬいぐるみ型ロボット』作ったら、一年生がそのロボットに教えることでその日の授業の内容をおさらいできるんじゃないか? 録音機能がついてて、子供が何を話したかを保護者や先生が聞くことができるようにしとくと、その子がどれくらいわかっているか授業への理解を測ることができるシロモノになっているんじゃ? ん? ぬいぐるみじゃなくてもたまご育てるゲームみたいな小型ゲームにして、そのゲームの中のキャラに向かって授業内容を教えていくとキャラが成長していくとか? いや、やっぱもこふわなぬいぐるみの方がいっか? ――開発したら売れるんじゃ?」

ユーリ「それで、オンライン学習についてなんだけど」

天平「あ。はい」

ユーリ「できるだけ教室でやる授業のようにやろうとすると、オンラインって難しいかもしれないから、オンラインの場合はオンラインなりの授業の仕方をする。――ってことだけど、そうやって考えると、オンラインの授業の仕方って、工夫の余地があるのかもね?」

天平「それこそ、オレらも、オンラインでやるなら、班学習した方がよくない?」

ユーリ「班学習?」

天平「オレらは先生から動画かプリントで課題を出してもらって、それをそれぞれ解いて、そんで班でオンライン会議やって、自分の考えや問題の解答をそれぞれ発表し合って、班のメンバーで検討会やって、そんで、先生から答えの動画が送られてきて、それを元にまた班で話し合う、とかしていくとさ? そっちの方が、みんなで一体感も得られるし、まじめにやらないと、女子から叱られるし、勉強すんのも楽しくなりそうだけど?」

ユーリ「へぇ、おもしろそう! ……あ、ただ、いじめとかおきかねなくない? いじめというかハラスメント? 問題を解けない子がいたら、その子をバカにするとか、集中的に攻撃するとか……?」

天平「そういう目に合うヤツがいたら、オレの班に入れる」

ユーリ「――班決めがうまくいけば、いいかもね?」

天平「問題なければシャッフルして班のメンバー入れ替えるといいけど、問題があったら、その都度それなりに対処する。――オンライン会議って録画とかできるんかな? 録画して記録とれると問題ある場合に対処しやすいっつーか、誰と誰を班にするか決める参考にできるんだけどな?」

ユーリ「オンラインのやり方はいろいろできそうだけど、ただ、操作を簡単にしないと、結局、やり方がわからなくて勉強しなくなるだろうから、その辺が大変かも……?」

天平「試してみてうまくいかないことがあったら修正して、っていうのを繰り返して、それぞれの学校にあったやり方を探していくしかないんじゃないか? それでも、学校どうしの学習の進み具合に差がつくとしたら――そもそもオンライン関係なく、昔っから私立と公立じゃ、学習内容に差はあるだろ? 差というか、違い? っつか、そこを問題視しちゃうと、そもそも『私立』の学校が存在できなくない? 公立の学校でやらないことやるために私立ができたんじゃないわけ? 私立とのオンライン化の違いを問題にする?」

ユーリ「公立の学校どうしでもオンライン化するのにスピードや完成度みたいなので差はつくだろうけど……学校って、どこの学校もまったく同じでなくちゃいけないってことがそもそもあり得ない話ではあるよね? だから、そこそこでやっていけることを進めていくしかないし、ものすごく遅れるところがあったら、そういう学校のフォローをみんなでしていけばいいわけだし」

天平「そのうち、勉強にもVRが取り入れられたりするんだろうし? それも私立やIT関係に力を入れている学校だと早いだろうし? けど逆に、スマホがなかったら何もできません、じゃあ、災害時にスマホの充電が切れたときにヤバいから、スマホとか使わないアナログなやり方の勉強もしとかないといけないだろうし? これからはどう考えたって、デジタルとアナログの二本立てで世界が進んでいくだろ?」

ユーリ「防犯のために公衆電話のかけ方とかも知っとかないといけないって言うしね。僕たちがこれから学んでいくものは、デジタルとアナログ、両方じゃないといけないんだろうね? どっちかだけじゃダメだ」

天平「んで、九月入学の話に戻ると」

ユーリ「あ、うん?」

天平「九月入学にしようや、って話は、そもそも、アメリカとか海外で九月から新学年が始まる国があって、九月始まりの国に留学するのに、日本だと三月に学年が終わるから、日本で三月に学年を終えてからアメリカとかに留学しようとしたら、次の学年が向こうだと九月からになるから、四月から八月いっぱいの四カ月丸々空白期間ができてしまって、その空白を持て余すから、日本が九月始まり、八月終わりにしてくれると、日本の学校を八月に卒業して、アメリカの大学に九月から、空白期間なく入学できるのでいい、っていうことで、九月入学がいい、って言ってる人たちがいるわけだろ?」

ユーリ「その逆で、海外で八月に高校を卒業した人が日本の大学に九月に入学できるから、日本に留学に来る人が増えるんじゃないか、っていう面もあるよね?」

天平「そこがさ、そうゆう問題じゃなくない? なとこだよな? だいたい、日本以外の国すべてが九月から始まって八月に学年が終わっているわけじゃないみたいだし? 特定の国のために、スケジュール全部調整し直すとかしてくの大変じゃないか? 一年のうち、運動会や文化祭、それに、いろんなスポーツの大会だって、文科系のイベントだって、お互いに邪魔しないようにスケジュール組まれてるわけだろ?」

ユーリ「そういうの全部変更していくより、やっぱり、ソフト対応の方がいいのは確かだと思う」

天平「そうだろ? 留学したいとこの新学年がいつ始まるかで、日本の学年終わりと留学先の学年始まりまでの『持て余し期間』を使って、あ、さっきの――」

ユーリ「さっきの? さっき――あ、大人の基礎学校!」

天平「そうだよ、持て余し期間に大人の基礎学校でひととおり基礎を学ぶとかさ? すればよくない? んで、そもそもオレらで話してた農業留学の座学や語学研修や体験農業交通パスみたいなサービスをやってけば。スカウトスタイルの論文オーディションとかさ?」

ユーリ「そうだね。他にも例えば、海外に留学しようとしている日本人向けには、海外での文化やマナー、海外生活をしていく上で知っておいた方がいい情報なんかを学ぶ短期の勉強会とか、現地の言葉をネイティブに学べる語学講座とか、海外からの留学生向けには、日本語講座を受けられたり、日本でバイトができるような研修とか、日本での勉強が終わって帰国するまでの間に何か資格を取ることができるような講座とか、作っていって、なるべく安くそういうサービスを利用できるようにしていく。そういうことやっていく方が、九月入学に変更するより、現実的だよね?」

天平「『この講座があるから日本に留学することに決めました』みたいなの作っていくのがいいよな? なんつーか、ツアー旅行のオプショナルツアーみたいな? 留学する大学での勉強がメインツアーで、それ以外に何かを学べるオプショナルの勉強場所があるカンジ? 『オプションが充実してるから、留学するなら日本だよ!』みたいに受け止めてもらえるようになサービス作っていくとさ? そうすっと――ビジネスチャンスも生まれるし?」

ユーリ「お茶とかお花とか料理とか、日本の文化を学ぶ講座とかもいろいろあると、日本に来たついでに趣味で興味のあったことを勉強していく、っていうこともできるかもね? そういうのは海外の人に喜ばれるかも?」

天平「選べる講座がいろいろあって、日本の大学に留学して勉強するだけじゃなくて、自分が日本に滞在する期間とか、学びたいこととかによって、複数の講座の中から、一つか二つか、もっとやりたい人はもっと、自分が勉強したい講座を選んで、大学で勉強している間や、大学での勉強の前後に、自分が選んだ講座で勉強して、持て余し期間を有効活用できるようにしていければいいんじゃないか?」

ユーリ「海外向けの講座でも、日本人が受けたっていいしね?」

天平「あとは、海外留学を考えている日本の人や、海外から日本に留学して来た人たちのために、バイトをたくさんしてお金を稼いで留学中の生活費を貯めていけるような、海外留学したい人や海外からの留学生用のバイトの斡旋サービスがあるといいよな? コンビニのバイトやると仕事として必要なことひととおりこなせるようになるって聞くし、日本の会社で実際に働いてみることができると、いざ大学で勉強するってなったときの勉強しようっていう意欲も違ってくると思うけど……?」

ユーリ「留学資金はあるから研究だけに没頭していたい人は、短期間、大学院で研究出来たり、民間の研究機関でバイトできたりするといいよね?」

天平「そうゆうオプション的なサービスで、日本の学年終わりと海外の学年始まりの時間差を有効に活用して、『持て余し』じゃなくて、『重宝(ちょうほう)する時間』ってことにしていけばいいと思うんだよな? っつか、そっちの方がコストがかからず、しかも、ビジネスチャンス!」

ユーリ「ひとつだけ。ひとつだけ気になるのは、オプション講座の安全性かな? 外国人技能実習生に関する問題がいろいろあるみたいだから、講座を悪用して外国の人に損害を与えたり傷つけたりするようなことがないようにだけ、気をつけておかないといけないよね」

天平「あ、そこは大事だよな。そーゆーとこは自治体とか、大学とかが気をつけてチェックしていくとか、チェックする民間のボランティアっつーか、NPO法人? とかがあるといいのかもな? 日本の大学生とか、あと、留学生たちや日本で働いている留学生OBとか? そういう人たちが、留学生たちの生活と学びを守っていけるようにしていけたらいいと思う」

ユーリ「あのさ、受験する時期がインフルエンザの流行しやすい冬だから、インフルエンザにかかって入学試験を受けられないリスクが高いのがよくないから九月入学にした方がいいんじゃないか? って意見も、聞いたことあるんだけど――」

天平「インフルエンザ? インフルエンザか……。インフルエンザは人に感染(うつ)すから、新型ウィルスが感染の疑いがあるだけで自宅待機しないといけないみたいに、インフルエンザの人は人に感染させないように強制的に入学試験受けるのを拒否られることになるわけで。インフルエンザで体調がすぐれなくても気力で受けてやる! って思っても、受けさせてもらえない。受けさせてもらえない、っていうところで不公平と言える? ということで、入学試験をするタイミングについてはインフルエンザの流行しやすい時期を避けようって考えなんだろうな……?」

ユーリ「実力が足りなかったとか緊張し過ぎて実力を発揮できなかったとかで志望校に進学できなかった、っていうのと、病気で受験することすらできずに終わった、っていうのは、違うよね。健康管理を(おこた)って風邪を引いた場合は、その人にも責任があるとこあるかもしれないけど、インフルエンザはウィルス性の病気だから。今、新型ウィルスに感染してしまった人のことを考えみても、ウィルスってどこにいるかわからないから、感染してしまっても、それは感染した人が健康管理を怠っていたせいだ、ってことにはならないな、って思うし」

天平「けどさぁ――それは九月入学にすればいい問題なわけ?」

ユーリ「どうだろう? 九月だと、七月か八月に入学試験するのかな? それだと、熱中症とか心配だよね? あるいは熱中症対策でクーラー効かせ過ぎて体調崩したりしそうだし? 入学試験を九月の新入学に合わせて設定したら、いい時期に受験ができるって言えるのかな……?」

天平「っつか、入学試験のやり方を変えればいいんじゃないか?」

ユーリ「大学は無試験入学に変更していくといいと思うけど。高校受験も無試験入学にした方がいいってこと?」

天平「高校受験は推薦入学風のやり方でいいんじゃないか?」

ユーリ「推薦入学? AO入試とかいうののこと?」

天平「AO入試って、CMとかで聞いたことあるけど、アレって推薦入試の一つなんだよな? 大学受験とかでやってるんじゃないっけ? なんつーか、従来の? 昔ながらの推薦入学っていうのは、中学の定期試験とか通知表の成績で、成績がよかったり悪かったりするんじゃなくて安定して一定以上の成績をとることができてて、運動も結構できてる人とかが、『この子は優秀なんでそちらの高校でもっと伸ばしてあげてください』みたいなお墨付きを中学校にもらって、行きたい高校で面接を受けて、面接でよっぽどダメな印象を与えなければ、『春になったらうちの高校へおいでよ!』みたいに合格できる、っていうイメージなんだけど」

ユーリ「指定校推薦とかだと、そんなカンジっぽさそうだよね? それ以外だと、スポーツやってて大会で活躍した人が高校からスカウトされるような形で入学を約束してもらえるとか、そういうイメージ?」

天平「細かいとこはいろいろ決まりとかあるのかもしれないけど、とりあえず、そういうイメージだよな? んで、AO入試っつーと、自己プレゼンみたいな? 学校側に『オレがここに入学したらこういうこと勉強します! こういう活動やります!』みたいなのやって売りこんでいくカンジ? ――児童会選挙の選挙演説みたいだな?」

ユーリ「学力テストだけじゃ測れない才能とか学習意欲とかを評価していく試験、ってことらしいよね? うちの学校に合いそうな子かな、とか、そういうのも見られるみたいだし。面接とか小論文とか、学校によっては入学希望者でグループに分かれてグループディスカッションを行って、その様子を評価されるとか、ネットには書いてあったけど?」

天平「グループディスカッションって、前に聞いた公務員の中途採用試験みたいだな? ん? あれはグループワークっつってたっけ? まあいいや。……っつかさ、AO入試って、就職試験にイメージ的に近いのかも? だって、やる気とか熱意とかそういうの見られたり、学力だけじゃなく、ディスカッションさせられたり、学校に合いそうなタイプかどうかとか見られたりするわけだから。そういうのって、学校の試験っていうより、就職の試験の面接っぽさそう」

ユーリ「確か、お母さんの友達で、会社員やめて公務員になった人がいたって言ってたよね?」

天平「そうなんだよ、そんときの中途採用試験っつーのがけっこう大変だったらしくてさ? 話聞きかじっただけでもまあ、大変そうだったよ」

ユーリ「そっか。じゃあ、ホントに就職試験っぽかったりするのかな? とにかく――AO入試を高校入試でもやるようにすれば、インフルエンザとか関係なくなるってこと?」

天平「なんつーか、入学試験用の学力試験一発勝負! みたいなのをやめればよくない? って思って」

ユーリ「うん?」

天平「AO入試でやれるんならそれはそれでいいと思うけど、入学希望者全員をAO入試で合格不合格決めていこうと思ったら、学校側が面接試験やるのに膨大な時間や労力を使うことになると思うけど、高校って年がら年中入学試験やってられるかっつったら、そうはいかないだろ?」

ユーリ「それはもちろん、そうだよね」

天平「かといって、試験専門の会社でも作って、複数の学校から『こういうカンジの生徒がいたら合格にしてください』って依頼を受けて、試験専門会社が、それぞれの学校に入学したい中学生の面接やグループディスカッションを行って合否判定を出していく、ってわけにはいかないだろ? 学校側も自分たちで直接面接したいだろうし。受験生だってそうだろうし。直接アピールできるのがAO入試のいいとこなんじゃないわけ? とか思うわけで」

ユーリ「じゃあ、指定校推薦みたいなやり方ってこと?」

天平「要するに、学力テスト一回きりで評価するんじゃなくて、ふだんの成績を評価するようにすれば、インフルエンザで行きたかった高校を受験できなかった! っていう後悔をすることなくすむんじゃないのかと思う」

ユーリ「でも、ふだんの成績って言っても、学力レベルっていうか、勉強している内容とか、勉強以外の力を入れていることとか、中学ごとにバラつきがあるよね? 高校だといろんな中学から入学希望者が集まることになるのに、バラつきのある中学校のふだんの成績で入学する人を決める? AO入試の面談みたいなこともしないで?」

天平「そこはさ、全中学統一学力テストなヤツを自分たちの学校で何回か受ける? んーと、中三の後半、そだな、二桁(けた)になってからとか――」

ユーリ「ふたけた?」

天平「あ、月が。中学の前半の時期だと中学の間に勉強しておくことをまだ勉強しきれてない状態だったりするかもしれないから、そのタイミングのテストはそこまで評価しなくてもいいかもな? と思って。で、夏休みにがんばる人いると思うんで、夏休み明けて、九月は夏休みボケしてるとして、十月から? 十月、十一月、十二月、あとは一月とか二月も? 月一くらいで学力テストをやって、んでこれがすんげー難しいハイレベルなヤツから基礎的な問題まであるようなヤツで、何点とれるかなーみたいなのがオレはやってみたいけど、中身は高校や中学の先生たちでどんなんがいいか検討してもらって、そんで、十月から二月まで月一でやると五回テストを受けることができるから、五回ぜんぶ受けてもいいし、四回でも三回でも二回でも一回でもいいけど、とにかく何回かあるテストのうち、一回分のテストの点数を評価してもらう、とかすれば、五回のうち五回とも全部テストを受けることができない、ってことはなかなかないと思うんで、それでいいんじゃないか? 二回以上テストを受けた場合は、その中で一番点数のいいのを受けたい高校に提出する、ってすれば」

ユーリ「なるほど。ふだんの成績っていうか、一回のテストでは判断しない、っていうことだね? 一回きりのテストだと、そのときだけすごくよかったり、すごく悪かったりしたらどうしよう、って思ってしまうけど、何回かテストを受けることでよりその人の力が出せるカンジはするかも?」

天平「あとは、『ナニナニについて二百字以内で意見を書きなさい』とかいう問題だった場合、そこには点数はつけないで。答案用紙を高校に提出して、高校の先生にどんな意見書いてるか見てもらうようにするだろ? そしたら、『この生徒はナニナニについてはこういう意見を持っているんだな』っていうのが高校側に伝わるだろ? そういうので『うちの学校で勉強するとよさそうな生徒』っていうのを見極めて受け入れていく、みたいなカンジでやってくれるといいんじゃないか?」

ユーリ「そうだね、それだとインフルエンザだけじゃなくて何か外せない用事や不可抗力でテストをひとつ受けられなかった場合でも、何回かテストがあるから、志望校を受験できずに諦める、ってことにはならずにすむよね?」

天平「そんなんでやってけばよくない? テスト作るのに費用がかかるんかな? けど、全国で同じ試験を使って全国の中学でワリカンにすれば、テスト代ってそんなかからないんじゃ? それに、学力テストは自分がどれくらい学習ができているか確かめる目安にもなるから、テストするのは生徒にとって学習の一環として考えていいと思うけどな?」

ユーリ「全国の中学校で同じテストを使えると、それぞれの高校で試験問題を作らなくていいから、その分、先生たちの負担を減らせるよね? 試験用に問題を作るのって、問題解くより大変そうだから」

天平「大変そうだし、難しそうだよな? 問題作ってその解答もちゃんと用意しなくちゃいけないわけだし? 『この問題の答えはこういうのもアリだと思います』みたいなツッコミ入れられるんじゃないかって不安になりそうだから、統一テストを業者さんとかに頼めれば、試験より、生徒の勉強をみるほうに力を入れられる気がする。もちろん、『うちの高校のこだわり問題』だけで試験したいですってとこはオリジナルテストで試験すればいいと思うけど」

ユーリ「テストが五回だとして、その五回の平均じゃないとこがいいよね。平均点にしちゃうと五回ぜんぶ受けなきゃいけなくなるから、やっぱりインフルエンザで受けられないっていう問題に行きついてしまうけど、五回のうち一回どれかでいい、っていうなら、受験できないってことはなくなるよね?」

天平「五回ぜんぶ受けることができた人の方が、テストにも慣れて実力を出しやすいし、五回受けた中で一番いいの出せるから有利だけど。けど、五回ともテスト内容は違うから、テストを受ける度に一回ごとに点数が上がっていくとは限らないし? 一回受けてすんげーよかったら後の四回はパスしてもいいし。――なんとかなるんじゃ?」

ユーリ「けど、自分のところの中学校でテストを受ける、ってことでいいのかな?」

天平「かと言って、テスト受けるのに試験会場に行ってたら大変だろ? 会場を用意するのも大変だろうし、誰が試験監督とかするかとかさ?」

ユーリ「そっか、中学だったら、中学校の三年生の担任の先生や副担任の先生がそれぞれテストを監督すればいいから、テスト自体は定期テストやるみたいにやれるから、テストやる大変さは少ないかも?」

天平「それに、指定校推薦で入学する人は、中学のふつうの定期テストの成績とかで評価されるわけだろ? それ考えたら、自分が通う中学で学力テスト受けてもいいんじゃないかと思うけどな? 『この中学出身の生徒は、入試代わりの学力テストの点数は高かったのに、高校入学後の勉強についてこれないな』っていうのが多い中学があったら、学力テストで不正してるんじゃないかって疑うことになって、その中学の生徒用に試験会場を作ってカンニングさせないように学力テスト受けさせよう、ってなるかもしれないけど――日本の学校って、インドみたいなカンニング大国なとこってそうそうないんじゃないか?」

ユーリ「インドのカンニング事情にはカーストの問題もあるような話を何かで聞いたから、そうなってしまうのも無理がないとこあるかもしれないなと思うけどね?」

天平「そうだな、インドだと低い身分の人たちが貧しい暮らしを抜け出すためにはカンニングしてでもいい大学で勉強して、身分じゃなく学歴で評価を受けるしかないみたいなカンジだもんな? カーストの名残りが強いところが、インドと日本との大きな違いかもな?」

ユーリ「日本ではそもそも自分の先祖の身分を知ってる人って少ないんじゃないかな? 由緒ある家とか、旧財閥系とか公家や武家だったとか、そういうのわかってるとこもあるにはあるんだろうけど」

天平「教育を受けられなかったら貧困から抜け出すのが難しいのは、日本でもそうだと思うけど、日本だと大学出てても就職が決まらないとか聞くしな? 貧困問題は難しいよな?」

ユーリ「そうだね。――インドの学校はよく知らないけど、日本の大学は学費だけじゃなくて、入学金ってのがあって、まとまったお金が要るんだよね?」

天平「試験受けるのにかかる受験費用に関しては、テスト用紙の紙代とか会場費とか試験を受けるときに立ち会ってくれる先生たちのバイト代みたいなものだとして考えると、まだわかるんだけど。入学金ってナニ? って思うよな?」

ユーリ「A大学に合格したんで入学金を納めたけど、その後、B大学に受かって、B大学に進学することに決めた場合、A大学に納めた入学金を返してもらえないのに、B大学にさらに入学金を納めなくちゃいけないってこともあるんだよね? A大学からすれば、A大学に納めた入学金を惜しむなら、B大学に進学するのをやめて、A大学に進学すればいいだけの話なんだけど……進学する大学に入学金を納めるならともかく、進学しない大学に入学金を納めて返してもらえないっていうのはちょっと納得いかないっていうか……?」

天平「Aサイドからすると、ユーリの言うように『うちに納めた入学金がもったいないって思うなら、B大学に行かずにこのままうちの大学にくればいいだけだよ。そしたら、B大学に入学金納めなくていいだろ? もともとうちの大学に来るつもりだったからうちに入学金納めてたのはそっちの方だし? それをBに受かったからそっち行きますとか言われてもさぁ?』って話ではあるけどな? っつか、それを言うならすべての大学で同じ日に試験すれば? って話じゃないか? そしたらその時点でどこの大学にするか一択しなくちゃいけなくなるもんな? それが、日程がズレてるから、いろんな大学受けられちゃうわけで?」

ユーリ「同じ日に試験するとなると、遠方から受験しに来る人たちが宿泊するところが足りなくなったりするから。――入学金って受験費用とは違って、大学の運営に必要なお金なのかな? 大学にはいろんな設備が必要だろうし、先生だけでなく職員さんとかいろんな人が働いてるんだろうし、実験したり、研究費がかかったりでお金を必要としているんだろうな、とは思うんだけど……」

天平「企業とコラボしたりして大学自体が商売できるようになっていくと、うまくいくとこはお金稼げて、学生の学費を免除したりできるかもしれないけど……大学があんまり商売っ気ばっか出してても、それじゃ企業と変わらなくない? ってなってしまうし。国や自治体が大学のお金をすべて負担するのは国や自治体が大変だと思うから、ぜんぶ負担してくれってのは難しいんかな? と思うし。だから、学生から大学をやっていくためのお金を集めるのはわからんでもないけど。なんつーか、学費って、税金集めてるみたい……?」

ユーリ「税金みたいって、学生全員からお金を集めていくから?」

天平「大学っていう国に納める税金が学費、みたいな? そう考えると、学生が学費を払うのは、国民が国に税金を払うようなもんで、おかしなことじゃないんだけど、なんつーか、学生って基本的に収入がないと思うから、収入がない人から税金を集めるってのはどうかと思うんで――クラウドファンディング式でやってけないんかな?」

ユーリ「それは、ネットとかで『うちの大学の運営資金いくらを目標額として寄付を募ります』って告知して、大学を運営するのに必要なお金を集めるってこと?」

天平「マジでクラウドファンディングやってもいいけど、基本的には、その大学の卒業生とかに寄付してくれーって呼びかけたらいいんじゃないかと思うんだけど」

ユーリ「へえ。『なんでもかんでも寄付は無い』って言ってる天平が。『無償でやるより、ちょっとでも有料でやろう派』の天平が。クラウドファンディングなんだ? ――あ、でも、ギルドの職人学校も職人さんが学校の運営費を支援するカタチで考えてるよね……?」

天平「んー、逆奨学金、みたいなカンジっつーか、出世払いっつーか、いや、学費払ってた人が出世払いってのはおかしいか。えっと、とにかく。大学の学費を無料とはいかなくても、できるだけ安くするだろ? そんで、大学を卒業して仕事するようになってから、学費を安くしてもらった分、大学にお金を寄付します、ってやってもらうといいんじゃないかな、と」

ユーリ「んーと、奨学金をもらって大学を出た人が働いて奨学金を返す、っていうのを……『自主的にやる』ような?」

天平「そーゆーカンジ。大学出てベンチャー企業を起ち上げてお金たくさん稼いだ人がたくさん寄付してくれたり、たくさんお金を稼いでなくても、働いて稼いだお金の中から少しずつ寄付してくれたりとか、出身者が自分の母校にお金を寄付するっていうのが根付けば、寄付でできるだけお金を集めて、学生から少しだけ学費を納めてもらうようにすることで、大学の運営をしていけるんじゃないかと思うんだけど……?」

ユーリ「『返済』じゃなくて『寄付』にする。――奨学金としてもらったお金やそのお金の利子っていう『決まった額』を『返済』しなくちゃいけないってなると、返せるだけお金を稼げてない人にはキツいから、『返済』するんじゃなくて、お金の都合のつく人が『寄付』をする、ってすることで、それぞれ自分にできる範囲で、自分が学んだ大学にお金を納めることができる……?」

天平「奨学金をもらって大学を出ても就職できなかったり、就職できてもお給料が少なかったりして、奨学金を返済するのがすごく苦しいっていう人がいるってことだけど。そういう人ばっかりってことでもないだろうし? 奨学金を返してもまだ余裕がある人や、奨学金をもらってない人でも『出身校のためにお金出していいよ』って人もいるだろうし。そういう、『出せる』人がお金を出して、奨学金の返済ができないような『出せない』人が無理にお金を出さなくてもいいような、そういうお金の集め方ができればいいんじゃないかと思うんだよな?」

ユーリ「アメリカとかだと、大学へ寄付する文化があるって聞いたことあるんだけどね、ただ、アメリカは税金の制度自体が日本とは違ってるから、アメリカと同じやり方が日本でできてないのがおかしいってことにはならない、ってことみたいで……?」

天平「日本の場合、『寄付』っていうと、募金箱に募金するタイプをイメージしない?」

ユーリ「ああ、『寄付』って聞くと、『募金』のイメージかも?」

天平「天神だと駅前によくいろんな募金箱持った人がいるって聞くけど、小牟田だと、募金箱持った人って、年末の赤い羽根のヤツとか、たまにしか見かけないよな。それか、スーパーやコンビニに置いてある募金箱とか? コンビニのヤツとか、一円お金が足りないときはこの募金箱の一円使わしてもらえないかなー、とか思っちゃうけど、それは置いといて。なんか、募金するのってどこかいい人ぶってるような気がするんかな? 人前だと募金ってしにくいっていうか」

ユーリ「おサイフを取り出して募金するっていうのも、やりにくさ感じるかもね? 一円でも募金することが大事だと思うけど、ついスルーしちゃう」

天平「で、募金箱募金以外の寄付っていうと、災害が起きたときに復興支援用のお金を銀行口座に寄付するとか、そういうのくらいしかなさそうなイメージ? 実際はもっといろいろあるんだろうけど、オレの頭にパッと浮かぶのってそういうので。復興支援の寄付はそれなりに集まってるイメージだけど、それはすごく特殊な寄付っていうカンジで――」

ユーリ「日本で寄付って盛んじゃないカンジ?」

天平「そうなんだ。日本で寄付って盛んじゃない感じ……してたんだけど。けど、クラウドファンディングだと日本でもやってる人たくさんいるみたいっていうか、お金が集まってるっていうか、集まってないのはニュースになってないだけだろうけど、なんていうか――」

ユーリ「クラウドファンディングでお金が集まってるの見てると、日本の人って、決して寄付をしない文化ではない、ってことだよね?」

天平「そゆコト」

ユーリ「そうだね。んー。考えてみると、日本の寄付って他にもあるよ? クラウドファンディングじゃない寄付……ん? アナログなクラウドファンディングになってる? かもしれないけど――亡くなられた中村先生とか、海外でボランティア的な活動をしてある方が日本で講演会やって寄付集めて活動資金にしたり、っていうことは、昔から日本であってるみたいだよね? 寄付を求める方がいて、支援する人がたくさんいて――。日本人に『寄付をする文化』の持ち合わせがないわけじゃないよ」

天平「そだな。だから、大学運営資金の寄付集めも、卒業生に限定しないで、『この大学のファンです』みたいな人とか、『好きな芸能人が出てる大学だから応援します』みたいな人とか、いろんな人からの寄付を広ーく集めていけると、いいんじゃないかと思うんだけど? んで、寄付してくれた人には大学のマスコットキャラのグッズをサービスしちゃう? っつか、グッズは売って大学の運営資金の足しにする?」

ユーリ「支援してくれてる人向けには、グッズをあげるより、その大学にはどんな学生さんがいるか、どんな活動やってるか、いいことだけじゃなくて、こういうのうまくいかなかったとか、そういうの伝える大学通信みたいなのやる方がいいんじゃない?」

天平「あ。それもそっか」

ユーリ「えっと、とりあえず、大学の資金は寄付とかもやってった方がいいんじゃないか、ってことで、それから――高校の入試は何回か試験するようにすればインフルエンザ問題は問題にならなさそうだね?」

天平「学力テストの他にも、高校側の希望で小論文とか面接や面談とかしていけばいいし、面接受ける当日にインフルエンザで欠席しなくちゃいけなくなったときは、面接は後日に延期するとか、場合によっては体調が回復した後ならオンラインでやるとかでもいいんじゃないかと思うし? 私立は私立でやり方考えていいと思うし?」

ユーリ「――って考えると、九月入学する必要って、特にないような……?」

天平「小学校が九月入学したら、中学も、高校も、大学も専門学校も九月入学でないとおかしいわけで。九月入学したら、八月卒業だろ? 九月入学になったから九月入学できる海外の大学に入学するのはやりやすくなるかもしれないけど、大学を卒業して就職するのはどうする? って思うよな?」

ユーリ「そこはやっぱり、九月から新入社員……?」

天平「海外の九月入学の国の会社に就職するなら八月卒業でもいいと思うけど、日本の会社は四月に、学校でいう入学式みたいなのやるだろ? 入社式とかって。四月に入社するんだよな? けどそれも、高校や大学や専門学校の卒業の時期が八月になると、日本の会社の新入社員の入社の時期も八月卒業に合わせて九月に入社できるようにするのか? それとも、八月に卒業してしばらく空白期間があって四月に入社する?」

ユーリ「日本は一月から始まる『一年』と四月から始まる『年度』ってあるもんね。その四月始まりで始まっているものすべてに影響が出てくるのかな?」

天平「自分で商売する人は四月から商売始めてない人いっぱいいるだろうし、それを考えると、四月から新入社員が会社に入社しなくちゃいけないってことじゃないと思うんで、学校を八月に卒業して、仕事に就くのはいろんな時期で、っていうのでもいいのかもしれないけど――」

ユーリ「それじゃあ、『インフルエンザ説』は置いておくとして、『今のとおり高校を三月に卒業すると、海外の九月入学の大学に入学しにくいから日本の学校も九月入学で八月卒業にしようっていう、三月卒業と九月入学の時差、っていうか、時期差問題説』にとっては、手落ちっていうか。いくつかの国への海外留学のために、日本の学校ぜんぶを九月入学に変えていって、会社の入社の時期はどうするのかとか……。こうやって考えていくと、これまで九月入学の話が出ても、立ち消えになってたのって、わかる気がする」

天平「今は新型ウィルスで休校にまでなってるし、新型ウィルスの感染の問題を考えると、少なくとも国内で収束しないと、学校の教室でみんなで今までのように授業を受けて勉強するっていうことが難しいだろうって予測がつくから。学校ってどうなるんだ? ってことで、学校の始まりを先送りしてしまいたいだけじゃないんかな? 先送りしている間になんとか元通りの生活に戻れるようになってるんじゃないか、ってことでさ?」

ユーリ「そうかもね? 僕もそれで九月入学ってちょっと気になって――」

天平「とりあえず、海外との出入りをシャットアウトして、日本国内で、感染していない人に新型ウィルスが感染(うつ)らないようにして、感染している人の場合は、その人の体内でウィルスが死滅する? んかな? とにかく、感染している人が肺炎を起こして治療を受けて治るか、無症状の人の体内のウィルスが増殖できずに終わってしまうような状態になるかして、感染している人がこれ以上、人にウィルスを感染(うつ)すことがないような状態になってしまうような状態にならないと、ふつうの暮らしって、できないと思うんだよな……?」

ユーリ「それか、ワクチンが出来て、感染していない人がみんなワクチンを接種して、新型ウィルスに感染してもそれで症状が悪化したりしないような状態になるか、だよね……?」

天平「問題は、効果のあるワクチンが安全に使えるようになるのがいつになるか、だろ? そういうこと考えると――学校はとりあえずオンライン学習で学習できるようにしていくっていうのが大事で、九月入学にするのしないのってことじゃない気がするんだけどな?」

ユーリ「ん? というか、就職の場合は入社試験? とかを受けに行ったり、面接試験? 受けに行ったり、就職が決まって引っ越します、ってなったり、そういう就職にまつわる活動って、感染を拡大させる危険性が高そうなの多いよね? 大きな都市だと地方からたくさんの人が就職しようとしに来ると思うし、試験受けて地方に帰ったりすると、日本全国あちこちに感染が広がるかもしれないってことだよね……?」

天平「ヤバイな、ソレ。会社も大学みたいに無試験で入れますよ、ってやるのは、さすがに無理がありそうな気ィするよな? 会社は『学びの場』じゃなくて給料をもらって働く『働く場』なわけだから――」

ユーリ「入社試験って、ドラマで見かけるのはビジネススーツ着て面接受けるとこだけど、学力テストみたいなのもやってるとこはあるんだよね? 本屋さんに行くとSPIって書かれた本が売られてるけど、それが就職試験用の参考書らしくて――」

天平「ソレ、学力だけじゃなくて、適性っつーか、心理テストみたいなのもあるって聞いたわ。会社としては、『人となり』っていうのを一番知りたいだろうから」

ユーリ「盛りだくさんだね、心理テストまであるなんて。SPIの本って分厚くて、やる気なくしそうだけど……大変だね、就職するって」

天平「んで、そういうテスト形式の試験を受けたり、さっき話に出てたAO入試みたいなスタイルの試験とか面接とかいろいろやっていくんだとしたら、その中で感染リスクをどうやって抑えていくかって、ホント、問題だよな? グループでディスカッションするのはオンラインでやれないことないと思うけど、学力系のテストは、オンラインでやってくれるかな……?」

ユーリ「でも、大学が無試験入学になったら、大学で勉強している人は研究者になるパターンが多くなると思うから、そうなると、大学の研究員として働くか、製薬会社とかいろんな企業の研究機関で研究員として働くことになる人が多いんじゃないかな? だとしたら、大学で勉強している間に、論文とか研究成果とか、研究のスキルとか、そういうのが評価されて、企業からスカウトされたり、大学でそのまま研究していくように勧められたりして、その、指定校推薦みたいなカンジで研究職に就くっていうのが増える?」

天平「専門学校も専門の勉強するから、専門の勉強をしていく中で、自分から会社に自分を売りこんでコラボ企画やったり、調理のコンテストとかで賞をとってホテルやレストランからスカウトされたりして、専門学校にいる間の成績とかが評価されて仕事に就いたり、自分で起業したり、ってことに――なるかもしれないけど、とりあえず、新型ウィルス対策を考えないとな?」

ユーリ「あ、そうだった」

天平「新型ウィルスがどうなっていくかわからないけど、パンデミックやそれに近い状態になっているときに、就職するための入社試験とかをどうするのかとか、そういうのもちゃんと考えた方がいいよな? 就職だけじゃなくて、資格を取るための試験も感染リスクのあるものあるだろうし。そういうのの対策を考えないと」

ユーリ「あまり移動したり、どこかに集まったりしないでいいように就職に必要な行程を進めていかなくちゃいけないだろうから――オンライン?」

天平「入社試験用の問題をライブ配信して、自宅で問題解いて解答を送信するとか? カンニングは防ぎにくいけど――」

ユーリ「替え玉受験っていって、試験に合格できそうな人に代わりに受けてもらうっていうズルは、試験を受ける申し込みをするときに顔認証登録しておくようにしたら、防げるんじゃないかな?」

天平「顔認証はいいかも? そんで、試験の方法としては……AIと一問一答形式で口頭で質問に答える試験とかできっかな?」

ユーリ「あ。入社試験を受けたい人が一斉にオンラインで試験を受けたら、サーバー落ちない?」

天平「落ちる……かもな? 落ちるかもよ? ……オンラインって、万能じゃないな。やっぱテレビか――?」

ユーリ「ソウ力が高ければ、不正を行わないっていう前提で試験ができるから、郵送で問題を取り寄せて、時間を測って指定された時間内で解答して、答案用紙を採点してくれるとこに送って、っていうやり方で試験ができるのに――」

天平「あのさ、転職する人って意外と多いらしいから。『脱サラ』っていうのする人もいるし? っつか、だからこその農業会社だったんだけど――。中途採用とか転職する人がいること考えたら、一斉に入社試験! っていう形で試験するっていうのが、そもそも無くない? だって、転職する人たちは、バラバラに入社していくわけだろ? いや、でも結局、大学の卒業の時期が同じだから一斉に就職するわけで――一緒に入社試験するしかないのか……?」

ユーリ「一斉に仕事を始める――みんなで一斉に仕事を始めるわけじゃない場合、つまり、バラバラに仕事先を見つける場合っていうと、バイトは? 天平、もともとバイトをいっぱいやって、その中から、バイト先とバイトしてる人とで、ここで長く働こうってなったら、そこでそこの仕事をする、とかするのがいいって言ってたよね?」

天平「それが一番だと思うけど、その場合、バイトとして雇ってもらえるかどうかが問題だよな? いや? けど、バイトの場合は、とりあえず働いてみる、ってとこからスタートするから、試験ナシで採用されるとこ多いよな? 多分」

ユーリ「バイトって、バイトする人とバイト先がどうやって繋がるかっていう、マッチングの問題はあるよね? あ、でも、マッチングはバイトアプリがあるから、それでできるということでいいのかな?」

天平「バイトアプリでは、バイトした人はそのバイト先を、バイト先は雇ったバイトの人を、お互いに評価しあえるようになってるってことみたいだから、そういう評価を使えば、指定校推薦とかAO入試とかみたいな方法で、企業が就職希望者のバイトの仕事ぶりを評価して、雇うかどうかを決める、ってこともできる――かもしれないけど、評価っていうのは、個人的な評価ってことだよな? それだとその評価が信用性があるものかどうかわからんよな? 評価ってなんでも好きに書けちゃわない? それに、なんでもかんでも評価評価で評価がついて回ると、学歴社会よりなおキツそうだし……?」

ユーリ「かといって、グルメガイドみたいに、覆面調査員が調査して評価をつけて回る、ってわけにいかないしね……?」

天平「ギルドでは後継者がほしい職人さんと職人になりたい人のマッチングをする体制を整えようって話してたけど、ギルドはまず技術ありきだから、マッチングはしやすそうな気ィするんだよな? 技術系じゃない仕事のマッチングってなると――働き手を募集している会社と働きたい人のマッチングって、ハローワークってとこがやってるんじゃないっけ?」

ユーリ「ハローワークって名前、聞いたことあるよ。響きはかわいいよね、なんか」

天平「中身はシビア? とにかく、ハローワークも、マッチングって難しそうだよな? 実際に働いてみないと合うかどうかわからなさそうだもんな? ――あ、働く? 実際に働いてみればいいわけで――」

ユーリ「ん? 何か思いついた?」

天平「いろんなボランティア的なこと引き受けてやってる会社で、いったん、そこでなんでもいいから何か仕事をさせてもらう? それだと、ボランティア的な仕事をしてくれる人手が集められるし。それだけじゃなくて、その会社には人を見る目を持った達人がいて、その達人にそこで働く様子から働いている人の適性を診断してもらえるようになってて、『あなたはこの会社やこの会社が向いてると思います』って推薦状を書いてもらって、それを、オススメされた会社に郵送して、オンラインで面接受けるとよくない? そういう、達人が適性を見て就職先の振り分けやってくれるNPO法人があればいいんじゃないか? んで、『この会社に入社したいんですけど』っていうのをその達人に伝えておくと、『じゃあ、あなたはこの仕事してください』って仕事を割り振られて、そこでの仕事ぶりを見てもらって『希望する会社に推薦します』とか『あなたは希望の会社にはイマイチ向いてないですね、けど、別の会社であなたによさそうなとこあるんで、そっちに推薦状書きますよ』とかやってくれるといいんじゃ?」

ユーリ「……そのやり方も、どのみち、今すぐにNPO法人を作るの、無理があるよね? 新型ウィルス対策にはならないんじゃ……?」

天平「……。あ、ほら、高校受験、何回か自分の中学校でテスト受ければいいって言ったけど。就職試験も、入社試験受けたい人たちが、自分が住んでるとこの近くの中学校とか高校とかで受ければいいんじゃないか? 少人数で換気をよくした環境でテスト形式の試験を受ける。そんで、それ以外の面接とかはオンラインとかでやれば? 面接は全国の企業が一斉にオンラインでやるとサーバー落ちるかもしれないんで、入社希望者が多い企業いくつかでオンライン面接する日時を調整するだろ? 場合によっては深夜や早朝に面接やるとかさ? オンラインだと、そういう交通機関がストップしていそうな時間帯でもできるよな? 眠いと思うけど」

ユーリ「……」

天平「……」

ユーリ「オンライン面接の日程調整は、対策会議が調整役やって不利分ければいいのかも? ――あ。こういう調整仕事までテレビ局がするっていうのは、確かにヘンかも? ギルドとか、農業会社とかあれば、各業界の代表とかでオンライン会議とかできたかもしれないけど……ギルドも農業会社もまだないしね……」

天平「……とりあえず、『歌街(かがい)』はまだ作ってなくてよかったな」

ユーリ「……そうだね。歌街は感染リスク抑えるの難しいだろうから……」

天平「これから歌街を作るときには、感染症が流行し始めたらクラスター対策のできる空調設備とかのあるライブハウスを作るとか、そういうことも考えていかないといけないんだな」

ユーリ「……そうだね。新型ウィルス対策もそうだし、こうなったら、新型ウィルスより感染力の高い空気感染するような感染症からも人の命を守れるような仕組みも考えていかないと。――そういうものを作ろうと思ったら、空気の流れを勉強していけばいいのかな?」

天平「ライブハウスや映画館とかの空気の流れがどうなってるか、どうすれば換気ができるか、換気鑑定士? みたいな人がいたらいいんかな? そんで、扇風機みたいなので空気をいいカンジに流していくとか? っていうか、焼肉屋で天井から太い管が下りて来てて、焼肉焼いてるときに出る煙を吸い上げる換気扇とかあるけど、あれを天井からたくさん下ろして、人が吐いた空気を吸い上げてくれるといいんじゃ? ――いや、それだと設備整えるのにいくらかかるんだ?」

ユーリ「感染予防に水中メガネはどうかって話したけど――」

天平「目からウィルスが入るのを防ぐのに、水中メガネはどうだろう、って話してたヤツだろ?」

ユーリ「水中メガネは感染予防になると思うんで、水中メガネをはめて、スキューバダイビングみたいに酸素ボンベで呼吸をすれば、ライブハウスでも映画館でも美容室でもどこででも、感染を気にしないでいられるんじゃないかと思ったんだけどね? けど、それこそ、そんな方法、現実的じゃないよね……」

天平「んー。ライブハウスや映画館なんかは、利用者を少なく換気よくできるところはそうしていければいいと思うけど、どのみち、満員にするわけにはいかないと思うから、収入がすくなくなるだろ? 収入が減るのをカバーするのに、宝くじ式支援を考えてたけど――会員制にする、っていうのは?」

ユーリ「え? 会員制に? 会員制――あ、会費を取るってこと? 宝くじ式支援の応用っていうか、ライブハウスとかの維持を支援する人で会員になって、年会費を払えば、ライブハウスが使われていなくても、ライブハウスを維持していける?」

天平「あと、パチンコだったら、広い店舗のとこだと、空気がこもりにくいかもしれないから、人数制限すれば感染リスクを抑えられるかもしれないだろ? で、問題はどうやって人数制限するかだけど、パチンコやりたい人には地元の最寄りのパチンコ店の会員になってもらうようにするとさ?」

ユーリ「人数制限するってことは、お客さんが減るってことだから、売り上げも減るってことで、そうなると、会費でその減った分のお金をカバーできるとお店は助かるよね? その、会費をいくらにするかっていうので、お客さんからはそっぽ向かれるかもしれないけど」

天平「パチンコって、パチンコ台のリース代がすごいかかるらしいんだよな? んで、パチンコ台作っているメーカーさんも、実際にパチンコ台作ってるから、リース代をまけてあげるってわけにもいかないだろうし」

ユーリ「パチンコ台のメーカーさんも、そこで働いている人にお給料払わなきゃいけないだろうから、リース代は免除しますよ、とはいかないよね」

天平「だから、パチンコ店を維持するためには会員の会費でカバーしていけたらいいんじゃないかな? と思うんだけど。会費も、新型ウィルスの感染が収束したら年会費無料、にしたっていいわけだし?」

ユーリ「……考えてみると、人数制限されたら、その分、利用者も利用できる時間が減って、パチンコに使うお金も減るから、その浮いたお金を年会費に充てる、って考えれば、利用者の負担が大きくなるとはいえないのかもね……?」

天平「んで、免許証とかで地元の住民だっていうのを確認しといて、地元の人が地元のパチンコ店に行くようにすると、感染があちこちに飛び火して拡大していくようなことになりにくいと思うんだよな? それに、ゆくゆくはギャンブル依存症の人の対策にも一役買わせられる……ん? 買わさせられ? いや、一役買ってくれる、と思う」

ユーリ「依存症対策になる? それは、会員制度が、ってこと?」

天平「そ。会員には会員証を渡すだろ? あ、そんで、その会員証の会員ナンバーで、パチンコ台を何時から何時まで使います、って電話やネットで予約できるようにしておくと、スムーズに人が入れ替われていいんじゃないかと思うんだけど――っと、依存症対策の方はさ、会員ナンバーとかで、利用頻度が確認できるようになってて――ってことは、プリペイドカードも兼ねておけばいいのか。そんで、パチンコやるときはその会員証でお金を払うことにする」

ユーリ「あ、ドラマでやってたけど、パチンコってパチンコの玉を自販機で買うんだよね? そのパチンコ玉を買うのに会員証を使えればいいじゃないか、ってこと?」

天平「それだと、会員証が必要になってくるから、自然と会員になってくれると思うし? そんで、会員証でパチンコ玉を買うことになれば、会員証の会員ナンバーでどの人がパチンコにどれくらい来てるかわかってくるから、例えば、何日連続で来たらパチンコはお休みする、って、お休みの日が強制的に作られて、パチンコさせてもらえないわけ。強制的にパチンコを休ませることで、依存症対策になんないかな? と思って」

ユーリ「ええと、お休みの日は、パチンコ玉を買おうとしても、自販機が拒否る、ってこと? それは――すごい嫌がられない? だって、依存症の人だよね? 依存症なレベルでパチンコやりたいのに強制的にやらせてもらえないのって、受け入れるのキツいんじゃないのかな……?」

天平「ただダメっていうんじゃなくてさ? パチンコに何連続か、っつか、んじゃ、例えば十回来たら。次に来たときは、シュートゲームやんなくちゃいけないっていうの、どう?」

ユーリ「シュートゲーム?」

天平「ほら、バスケットのゴールだけあって、そこにボールをシュートするゲームがあるだろ?」

ユーリ「ナチュラルランドにあるヤツ? 本物のバスケットボールを一定の距離からゴールに放って、入ったらイエーイ! みたいな?」

天平「そう、ソレソレ。そういうのがパチンコ店の一角にあって、ソレやんなきゃ、会員証が使えないの」

ユーリ「え? でも、バスケのシュートって……どこかの有識者みたいな五十肩のおじさんだったら、バスケのシュートゲームは厳しいと思うよ?」

天平「五十肩は肩より上に腕上げるだけで痛そうだもんな。だったら射的でもけん玉でもいいし。とにかく、なんか身体を動かさないといけないゲームをやらないと、会員証が、パチンコ玉の自販機で受け付けてもらえないようになってたら、パチンコをやりたくてたまんない依存症の人は、しぶしぶゲームやるしかなくなるだろ? 何回かに一回、ゲームで身体を動かしてると、少しはパチンコから離れられて、依存症からちょびっと離れられたり――しないかな?」

ユーリ「依存症はものすごく手強いみたいだから、それで何とかなるってことはないと思うけど、身体を動かすのはよさそうだよね?」

天平「身体動かすゲームは無料でできる、ってことにしとけば、仕方なくゲームやって、でもやってみたら楽しくなったりすると思うんだよな? それに、シュートも射的もけん玉も、やってくうちに上達して、上達するとさらに楽しくなりそうっていうか。ま、希望的観測ってヤツだけど。依存症対策は収束してからでいいと思うけど、そんなこんなでとりあえず、会員制にすることで店内に入るお客さんの人数制限しやすくなって、感染リスクを抑えて経営を続けていけるようになるんじゃないかな? って思っているんだけど――? それか、イスを無くすのもアリかな?」

ユーリ「イスを?」

天平「パチンコ台をちょっと高く――するのが大変かもしれないけど、高くできるなら高くして――立ったままパチンコやんの。立ち食いソバみたいな?」

ユーリ「それは、座っているより立っている方が疲れるから、パチンコに行くのがおっくうになって、依存症を軽くするかもしれないけど……?」

天平「お客さんからは盛大なブーイング食らいそうだよな? 立ちっぱなしってキツいから。けど、日本人はイスに座ってばっかだってデータがあるとかで、座り過ぎっていうのがまた身体によくないらしくてさ?」

ユーリ「それは聞いたことあるよ。うちのおじいちゃんたちは農作業やってるからその点は大丈夫かな、って思ってるんだけど」

天平「社員の健康を考えて、スタンディングデスクって立ったままパソコンする机をわざわざ使ってる会社もあるらしいんだ。それ考えると、パチンコも座らないスタイルにすると、座ったまま何時間もパチンコやってるのよりかは健康によさそうな気ィすんだけど? そうでもないんかな?」

ユーリ「とりあえず、イスを使わない方が、新型ウィルスの感染リスクは抑えられそうだけどね? 同じイスを複数の人で代わりばんこに座ると、もしも前の人がウィルスに感染していた場合に、その人が自分の口の周りをさわった手でイスをさわって、そのイスに次に座った人が前の人の残したウィルスを拾って感染してしまう可能性あると思うから……感染者が出ている地域とかだと、イスをアルコールティッシュか何かで拭いて消毒したりした方がいいと思うけど、そういうことお店の人が、お客さんが入れ替わるたびにやってたら大変だろうし……?」

天平「お店で消毒とかしないといけない場合って、大変だよな? 飲食店ではふだんから、お客さんが食べ終わって食器を片付けたあとは店員さんがテーブル拭いてくれてるけど、イスって背もたれあったり凹凸あって、テーブルより拭くのめんどくさそう」

ユーリ「紫外線で殺菌する空気清浄機みたいなのあるよね? 天平が、取り付けておいてもらえばよかったって言ってた」

天平「アレなー? 空気殺菌装置なヤツだろ? アレで感染リスクは減らせると思うんだけど……日本中のあらゆる店舗に取り付けるとなると、何年かかるんだ? みたいな話になるんじゃないか? これまでの間に、せめて、全国の医療機関や老人ホームとかに取り付けてあったらよかったんじゃないかと思うけど……?」

ユーリ「んー、ポイントは紫外線、だよね? 紫外線をイスにあてるだけで消毒できるライトとかあればいいのかな? けどそれだと紫外線でイスにダメージ与えていくよね? 家の中だと十年でも二十年でも使えるプラスチックの桶が外に出しっぱなしにしてるといつの間にか劣化してボロボロになっちゃってること考えると、紫外線は強い光線だと思うから……」

天平「超強力なドライヤーとかハイパー強風な手持ち扇風機とかで、イスについたウィルスを吹き飛ばして、店内の空気もブワァーって吹き飛ばす、とかはダメだと思う?」

ユーリ「吹き飛ばした結果、よけいにあちこちに飛び散って、感染リスクが上がってしまうかもしれない……?」

天平「殺虫剤みたいな、殺ウィルス剤を吹きかける?」

ユーリ「殺ウィルス剤が人体に無害で、吹きかけただけでウィルスの感染力を奪うようなものがあるんだったら、スプレーして消毒できると、すごく助かるけどね? 人体に無害で、確実に感染力を奪えるスプレーなら、ね?」

天平「じゃあ、逆に吸い込む!」

ユーリ「ウィルスを吸いこむ掃除機とかハンディクリーナー? それは……ちゃんと吸いこめるならいいよね? ウィルスを吸いこんで、掃除機の体内で紫外線かアルコールで殺菌できれば安全? 問題は、ウィルスが残っていないかどうかがどうやってチェックできるか……?」

天平「アレか。科捜研が使うようなヤツ? 目に見えない血痕が残っているかどうかは、ブラックライトを当てるとわかるらしいけど、ウィルスを見つけるライトとかがあればいいのか……?」

ユーリ「ウィルスを見つけ出せる何かを発見するのと、ワクチンが開発されるのと、どっちが早いんだろうね……?」

天平「……ラップみたいなのが何枚か重なってるカバーがあって、誰かがイスを使った後はカバーを一枚はがして、次の人が使ってまた次の人に交代するときは、さらに一枚はがして……っていう、タマネギの皮式のカバーがあったら、(らく)? ――けど、そんなのいくらかかるんだ? それに、資源的にももったいないっつーか、よくない? いや、お店の人の負担を減らす方が……?」

ユーリ「とりあえず、立ったまま、っていうのは悪くないかもね? 飲食店は、もともと立ち食いスタイルのお店あるし、立ち食いにすることでお客さんの回転率が上がることもあるらしいから。パチンコ店のイスを無くすのは、おじさんたちの反発が大きそうだし、お年寄りや小さい子や車いすの人とかいるから、どこでもなんでも人が立った状態で利用するやり方はできないと思うけど。お店によってはイス無しっていう感染リスクの抑え方はあるのかも?」

天平「美容室なんかは、美容師さんが踏み台に乗ってお客さんが立ったままで髪を切るようにして、イスを使わないでやれたりするかな? 背が高いお客さんも背が低いお客さんもいるから、合わせるの大変? っつか、立ったままのお客さんの髪切るのは、危ないかな……?」

ユーリ「んー、現実的にイスなし営業やれそうなのは、飲食店じゃないかな? ただ――飲食店の店内で食事するのって、やっぱり感染リスクが高いよね……?」

天平「……あ。防疫マップ――」

ユーリ「ん? なに?」

天平「防疫マップだけどさ、人が密集しているとこを地図に濃淡で示すマップがあったらいいいって言ってたけど」

ユーリ「あ、うん、そうだよね?」

天平「人じゃなくて新型ウィルスの密度を濃淡で表す映像を出すアプリがあったらよくない?」

ユーリ「え? 新型ウィルスの密度を、って、新型ウィルスを探知するってこと? それはもちろん、新型ウィルスを探知できるならいいけど――」

天平「いや、新型ウィルスそのものを探知するっつーのは難しいと思うんで、飲食店とかの店内の空気の流れがわかるようなヤツ? そんで、店内に人がいて、その人たちが全員、あるいはそのうちの何割か? が感染している、っていう設定で、感染者が吐き出す新型ウィルスがどこが濃く、どこが薄くなるか、ウィルスの流れを予想して、それを店内の映像にウィルスを色の濃淡で表したものをAR技術とかでかぶせてくれると、もしも感染している人がいたらこんな感じにウィルスが流れるんだな、って目で見て想像できるから、対策を取りやすいんじゃないかな? と思って。シミュレーションソフト?」

ユーリ「ウィルスって目に見えないから、どういう状況のときはウィルスはどう動くか、いろんなパターンでウィルスの流れの予想をしてくれて、それを目で見てわかるように、つまり、『可視化』してくれると、僕たちみんな、助かるよね? なんていうか、心が落ち着きそうっていうか……」

天平「目に見えないっていうのが、人の不安を増長させてそうだよな? 医療従事者やその家族とかをゾンビ扱いするのもそのせいだと思うし」

ユーリ「医療従事者は本職として、いろんなウィルスに対して対応しなくちゃいけないから――院内感染起こすわけにいかないのは、今回の新型ウィルスに限らず、あらゆるウィルスや細菌でもそうなわけだから――医療従事者は感染予防を徹底して自己管理されてると思う。それより心配なのは、感染症に対する経験や知識の薄い一般の人の方じゃないかな? 正直、医療従事者より、医療従事者じゃない、一般の人の方が知らないうちに感染している可能性は高いと思うけど?」

天平「そこはさ、まず、医療従事者をゾンビ扱いしたくなる気持ちの方をわかっていくことが大事じゃないかと思うけどな? 結局、いま言ったみたいに、ウィルスが目に見えないのが悪いんだよ」

ユーリ「ウィルスが悪いっていうのはわかるよ? ウィルスと戦わなくちゃいけないのに、自分たちを守ってくれる仕事をしてくれている人と戦おうとするのがおかしいんだ」

天平「んにゃ、ウィルスが悪者って意味じゃなくて、ウィルスが目に見えないのがよくないんだ、ってこと。つまり、目に見えさえすれば、医療従事者がゾンビ扱いされることはないのに、ってこと」

ユーリ「……それは、まあ、ウィルスが目に見えれば、誰が感染しているか、ウィルスがどのあたりにあるかわかるから、医療従事者が感染していないことが目に見えてわかるわけで。感染していない人をゾンビ扱いする必要はないってことになるよね……?」

天平「けど、ウィルスは目に見えないから、誰がウィルスを持っているかわからないから、だから不安になって、感染者に近そうな人は誰でも彼でも怖い! ってなっちゃってる。それで医療従事者はゾンビだ! になっちゃってるんじゃないか?」

ユーリ「いくらウィルスが目に見えなくても、考えればわかることなんだけどな。医療従事者が感染していると考えるのはおかしいって。短絡的すぎるって」

天平「スケープゴートなんだろ。誰でもいいんだって。ウィルスが目に見えないから、ウィルスの代わりに、目に見える敵キャラを作って、その敵キャラを避けてさえいれば安心、っていうルールを作りたいんだと思うぞ? これさえしておけば大丈夫っていうものがほしい心理。『魔除け心理』っつーか?」

ユーリ「……」

天平「そんなぶすくれんなよ~」

ユーリ「……けど――」

天平「あのさ、母親が看護師やってる身としては、思うところはあるよ? 昔のドラマで『同情するなら金をくれ』ってセリフが流行ったことがあるらしいんだけど――オレは、『医療従事者に感謝するなら、医療従事者に安全をくれ』って思う。『安心をくれ』って思う」

ユーリ「……それは……そうだよね……」

天平「だから、安全をくれる人、安全をくれようとする人にはホントに感謝だな、って思うし、ユーリみたいに、医療従事者やその家族がゾンビ扱いされることに真剣に怒りを感じてくれる人にも感謝だな、って思うよ」

ユーリ「……」

天平「だけど、ゾンビ扱いしてくる人たちのことを、ただおかしいって言ってたって、相手の心は動かないような気がするんだよな。それじゃダメな気がする」

ユーリ「それはそうかもしれないけど――」

天平「考えるんだよ、相手の心を。人の心に魔除け心理が働くのは、不安だから。医療従事者をゾンビ扱いする人たちは、不安でそんなことやっているんじゃないか? だとしたら――教えてやればいいんだよ」

ユーリ「――教える?」

天平「そ。教えてやればいい、不安なのはみんな一緒だ、不安になるのは当たり前なんだって。そうしたら、不安を解消するためには、助け合えばいいんだってことに気がつくことができるんじゃないか?」

ユーリ「……そっか。不安を解消するためには、魔除けなんかしているより、みんなで助け合う方が確実だよね」

天平「そーそー。だってさ、『医療従事者を避けていたら感染しない』ってルールは、魔除け心理が働いている人が勝手に決めたものであって、そのルールを守っていたら本当に感染しないですむってわけじゃないんだから。新型ウィルスに感染した人でも、症状が出ない状態で人に感染させてしまう人はいるってことだから、それ考えると、無菌室に住んでいる人か、山奥で誰とも接触せずに隠遁(いんとん)生活送っている人以外は、人に新型ウィルスを感染させ得る人間だろ? 肺炎発症して回復した人はもう感染したりさせたりしないんじゃないかっていう話もあるけど、本当にそうなのかは、まだ未知数なんだろうし?」

ユーリ「そうやって考えていくと、誰が感染しているかわからないから、家から一歩も出られない、ってなってしまいそうだね……?」

天平「だから、敵キャラを作りたいんだと思う」

ユーリ「……ああ、そういうこと? 家を出ても、敵キャラだけ避ければいいんだ、ってなる方が、安心できる……?」

天平「――かもしれないな? って。けどホントは、だからこそ、なんだけどな?」

ユーリ「だからこそ?」

天平「例えば、学校にいる誰かの親が、感染者の多い地域に行って帰ってきたかもしれない。宅配業なんかのあちこちの地域を行き来する仕事やってる人じゃなくても、何か都合があって遠出する仕事はあるって思うし、遊びや法事やあるいは、どうしても外せない用事があって、感染者の多い地域に行って感染して帰ってきている人が身近にいるかもしれない。宅配業の人たちだけがあちこちを移動しているなんて、誰が言える? 誰だってどこかへ出かけている可能性はあるんだ。あるいは、どこへも遠出していなくても、遠出して来た人と接触している人がいるかもしれない。つまり、誰がいつどこで新型ウィルスに感染しているかはわからない、ってこと。――その可能性があるから、休校になったのはよかったって思ってたんだ。よその人から見たら、看護師の息子は感染してる可能性が高いと思えるかもしれないけど、オレからしたら、誰だって感染している可能性を持っているって思うから」

ユーリ「――そうだね、僕も。誰か特定の人を感染者だと見なしたりはしないけど、不特定多数の人、もっと言うと、僕自身でさえ、感染者かもしれないって思ってる」

天平「だろ? そうやって、誰も彼も感染者かもしれない、って、『この人はこういうことから感染しているかもしれない』『あの人はこういう人から感染(うつ)されているかもしれない』っていうのを突き詰めて突き詰めて考えていくと――自分も含めて、みんなみんな感染者かもしれない、って結論に至る。すると――」

ユーリ「すると――?」

天平「みんな感染者かもしれない。だからこそ――お互い、感染したりさせたりしないように、感染予防マナーを守って、助け合いながら暮らして行こう、ってなるんじゃないか? 医療従事者やその家族しか警戒しないなんて、危機意識が低い! 甘いんだよっ」

ユーリ「なるほど。甘いのか」

天平「誰も彼も感染しているかも、ってとことん考え尽くしていくと、マジで家から一歩も出られなくなるけど――っつか、ミヤママなんかキリッキリしてそうだよな? 怖いな」

ユーリ「ああ、ミヤのお母さん……。ミヤにとばっちり行ってないといいけど」

天平「とにかく、誰も彼も感染しているかも、って考え尽くすと、一歩も外に出られないじゃないか、ってなるけど、じゃあ、一歩も外に出ないでやっていけるかっていうと、宅配頼めばやってける、ってなる。なるけど、今度は、宅配って安全か? ってなる。となると、すべて自給自足するかになって、になると、自給自足なんてとてもじゃないけどやっていけないってなる。ってなると――んじゃあ、自給自足できないから、生きていくためには、日々の暮らしを続けるしかない。だったら、感染しにくいように、どういうことから感染するって言われているか勉強して、感染リスクを抑えた暮らしをしていくしかない、ってなる。ってなったら、自分だけが気をつけてたってしょうがない、ってことに気がつく。だろ?」

ユーリ「そうだね、マスクをつけていてもマスクで新型ウィルスが体内に入って来るのを防ぐことはできない、って言われていて。けど、マスクは、新型ウィルスが飛び火するのを防ぐのにかなり有効なものだってことだから。マスクでウィルスの侵入は防げなくても、マスクでウィルスが人に移動するのは防げるから、みんながマスクをつけてウィルスが人に移動するのを防ぐことで、自分にウィルスが入って来るのを防ぐことができるわけで。自分だけがマスクをしていたって感染しないでいられるわけじゃない。けど、みんながマスクをすることで、みんなが感染しないでいられる、ってことだから――まさしく、超個人主義だね。一人ひとりが人を守ろうとすることで、自分も守られる」

天平「そうやって、みんなで助け合ってやってくしかない、ってこと。そのことに気がつけば、医療従事者をゾンビ扱いするなんて無駄なこと、やんなくなるって思うけどな?」

ユーリ「そうだね。ホントにそう。――それと、新型ウィルスがいると想定して、空気の流れで仮想ウィルスの動きをシミュレーションするアプリか何かがあると、すごくいいよね?」

天平「ディスレクシア用のメガネでさ、仮想ウィルスを目で見られるようになったらよくない? クラウドで情報を処理してくれるとできそうな気がする……どやっか?」

ユーリ「口で言うのと、実際に作るのは全然ちがうだろうから、わかんないけど。問題は、空気の流れを察知するセンサー的なもの? があるのかな? って」

天平「そだなー」

ユーリ「メガネでもなんでもいいけど、店内の空気の流れとかわかると、感染対策とりやすそうだよね?」

天平「空気の流れがわかっても、お店の人たちに『自分自身でうまいこと感染対策とってください』じゃあ、お店の人も困るだろうけどな?」

ユーリ「そこで換気鑑定士さん? から、感染対策に換気をどうすればいいか、せめて基礎的なところだけでも相談できたり、教えてもらえたりできるといいよね?」

天平「いいよな? まあ、ウィルスの可視化ができるかはともかく、飲食店の店内にいる人の密集具合を色の濃淡で示した『飲食店マップ』があると、『この店には人がたくさんいるな』『こっちは空いてるな』っていうのがマップを見る人にわかるから。そのマップを見て、一つの飲食店に人が集まり過ぎることがないように、お客さんの方で、どの店に行くか、調整することができるよな? 色の濃い店に行かずに色の薄い店に行くようにすればいいわけだから。んで、換気がどれくらいできるかは店によるだろうけど、店内の人数が少なければ感染リスクは抑えられるかもしれない……?」

ユーリ「そっか。飲食店は基本的にテイクアウトと宅配でやっていくのがいいと思うけど、それは、店の中で新型ウィルスを人に感染さないようにするっていうことが大切だからそうした方がいいわけで。店内で人と人とが離れて食事できるなら、人から人へ新型ウィルスが感染(うつ)るリスクは抑えられるのかな? それだと店内での飲食も可能になるのかもね? もちろん、感染者がたくさんいるような地域でそれをやるのは厳しいと思うけど」

天平「飲食店だったら、他にも、ドライブインレストラン、みたいな?」

ユーリ「ドライブインって――ドライブスルーじゃなくて、ドライブインシアターとかのドライブイン? 野外スクリーンの前の空きスペースに車を停めて、車に乗ったまま映画を鑑賞するのをドライブインシアターって言って、阿蘇の方でどこかがそういうのやってたはずだけど……それのこと?」

天平「そっちのイメージ」

ユーリ「そっち?」

天平「いや、昔は、街中じゃなくて、郊外の方っていうか、長距離行くトラックとかが通るような道沿いにある、休憩所かねた食堂とかをドライブインって言ってたらしいんだよな?」

ユーリ「そこはふつうの食堂?」

天平「ふつうっちゃふつうだけど、ふつうじゃないって言えばふつうじゃない? まだ車が普及してなかったころって食堂には駐車場って要らなかったから、店舗の前とかすぐ近くにそのお店のお客さん用の駐車場があって車で乗り入れられる食堂ってめずらしかったんで、当時としてはふつうの食堂じゃなくて」

ユーリ「ふーん?」

天平「で、車が普及してなかったといっても、トラックが輸送に使われてたから、トラックの人とかが休んだり食事したりできるように、車でしか行けないような人里離れた、道路しかないようなところに、駐車場のついたお店を開いて、『ドライブイン』です、どうぞ、お車の方、寄ってってくださいなー、みたいなカンジで? 『ドライブイン』って名乗ることで、『駐車場ありますよ』を打ち出しました、みたいな……?」

ユーリ「あ、わかったかも? ちょっと遠出すると、山の峠的なところとか、海沿いの道のとことかに、昔は食べ物屋さんだったんだろうな、っていう空き店舗があったりするけど、そういうお店?」

天平「たぶんそういうのだと思う。『ドライブイン』としてはもうやってないお店多いと思うけど、今でも現役な店もあるだろ? 熊本の方に『ドライブインなんとか』ってお店があるみたいで、地元の人に長く愛される店です、ってテレビかなんかで紹介されてた気ィするけど?」

ユーリ「今は、駐車場のある食堂なんてふつうだし、天神とか東京とか都会の方でないなら、むしろ、駐車場ないとこの方が少ないんじゃないかと思うけどね? 昔は駐車場ある店って、それだけで特別なお店だったんだね?」

天平「昔は特別でも、今は別にそうでもないだろ? だから、昔の日本のドライブインレストラン、つまり、駐車場のあるレストラン、をやりたいっていうわけじゃなくて。っつか、駐車場は必要だけど――」

ユーリ「要するに――?」

天平「要するに、食べ物屋さんの駐車場に車を停めて、車に乗ったままごはん食べられたらいいんじゃないの? って話。っていうの考えてたら、ドライブインレストランっていうのは元々アメリカにあって、向こうでは駐車場に車を停めてたらお店の人が食べ物を――たぶんハンバーガー? 運んでくれて、車の中で食べるっていうスタイルをドライブインレストランって言ってたらしいんだよな? 今でもアメリカではやってるんかな……?」

ユーリ「それは――ドライブスルーでテイクアウトするのじゃダメなわけ?」

天平「ダメじゃないけど、ドライブスルーって、ふつうはテイクアウトしたものを持ち帰って家で食べるだろ? それか、どっか公園とか遊びに行って、そこで食べたり?」

ユーリ「うん? そうだよね?」

天平「けど、それだと出来立てじゃなくなるだろ? やっぱ、ちょっと時間が経つから、料理の味が落ちたり、出来立て感が減ったりすると思うんだよな? 持ち帰ることができる料理も種類が限られてくるし」

ユーリ「それは……そうかもね?」

天平「その点、お店の近くの駐車場に車を停めて、その車の中でお店からすぐに運んだ出来立ての料理を食べられるとしたら、それって、そのお店の離れ個室で食事ができている――とまではいかないけど、それに近い状態になるんじゃないかなー? って。それに、人がいると感染するリスクを考えて落ち着いてごはん食べられない人も、自分の車の中でなら落ち着いて食べられそうだろ?」

ユーリ「えっと、出来立ての料理を、ってことは――お店の人に駐車場に停まっている車まで料理を運んできてもらえる、ってこと? お店の中を料理を運ぶときと同じようなカンジで、お店の人が料理を手に持ったり、お盆に載せたりして、車まで運んでくれる……?」

天平「お店の人が運んでくるか、お客さんが取りに行くか? お客さんが取りに行くなら、まずはお店にネットか電話か、店頭に出向くかして、食べたい料理を頼むだろ? するとショッピングモールのフードコートみたいに、『出来上がりお知らせブザー』を渡されるんで、それ持って車まで戻って待ってて、ブザーが鳴ったら、お店の受け渡しコーナーみたいなとこで料理を受け取る、っていのでもいいと思う」

ユーリ「テイクアウト用の料理だとお弁当になってたり、パックに入ってたりして持ち運びしやすくなってると思うけど、お店で作った料理をそのまま運ぶとしたら、運んでる途中で料理こぼしたりお皿を落としたりしないかな? 駐車場の中を運ぶとなると、足元も、店内の床と違ってアスファルトがボコボコしてるとこあるかもしれないし?」

天平「料理は……テイクアウト用の容器に入れれば、運びやすい? あんまりお皿がドーンとしてると場所をとるから、すぐ近くで食べるにしても、お皿に盛るんじゃなくて、テイクアウト用の容器に入れてもいいかも? それか、ふつうにお皿に盛って、出前の岡持ちに入れて車まで運ぶ? 岡持ちよくない? はたまた、お店の人が車まで運ぶとしたら、ワゴンのようなものに載せてゴトゴト運ぶ? あるいは、折尾駅のお弁当売りの人みたいに――あ、折尾のお弁当、かしわ飯だろ? あれっておにぎりにしてから揚げ一個つけてタケノコの皮みたいなのでくるんでお弁当よりちょっとお安めに売ったら、オレ、朝ごはんや昼ごはんにちょうどいいって売れるんじゃないかと思ってたんだよな? 今は感染避()けの一環で電車利用する人が減ってそうだから、買う人少ないかもしれないけど――」

ユーリ「……かしわおにぎりはおいしいよね。僕も好きだよ。ただ、たくさんおにぎりを握るの大変なんじゃない?」

天平「……んで、折尾駅ではお弁当売りの人が、画板(がばん)(ばん)の部分が板で作った箱になってるヤツに、商品のお弁当を載せて駅のホームでお弁当を売り歩くらしいんだけど、そのお弁当売りの人が使うヤツに料理を載せるだろ? そんで、お店の人が車まで出来立ての料理を運んでくれる? ブザーにGPS機能つけといたら、駐車場に停まってるどの車に運べばいいかわかるんじゃ?」

ユーリ「どの車に運べばいいかは、料理を注文をするときにお客さんが車のナンバーを伝えておけばいいんじゃ?」

天平「あ、そっか!」

ユーリ「それで? 料理を車の中で食べるわけ?」

天平「そこなんだけど、車のさ、運転席と助手席のヘッド部分? シートの頭にあたる部分って、上に伸ばせるだろ? ちょっと持ち上げると細めのパイプみたいなのが二本ある。で、そのパイプに片方のフックをひっかけて下に垂らして、反対についてるフックに荷物をかけることができる荷物掛けがあるんだけど――」

ユーリ「百均とかに売ってあるヤツだよね?」

天平「そう、ソレ。そういうのみたいに、助手席と運転席のパイプを利用して、簡易テーブルを取り付けられないかな? って思って。ほら、観光バスとかで前の席の背中にテーブルが埋め込まれてて、留め具を外して引き下ろして使えるの、あるだろ? あんな感じのテーブルをそれぞれの車に取り付けて、そこに料理を載せて、後部座席に座って食事ができる、ってできたらいいんじゃないかと思うんだけど……?」

ユーリ「それだと、後部座席でしか食事ができないよね?」

天平「そーなんだよなー。それに、後部座席にチャイルドシートどーんと載っけてる車もあるよな? となると、画板的な? 鼓笛隊の太鼓のホルダー的な? よだれかけのような? 自分に装着して使える簡易テーブルみたいなので……って、そんなことしてたら、落ち着いて食べてられないか」

ユーリ「ええと……? 天平のイメージしているテーブルがよくわかんないけど、とりあえず、うまいとこ車の中に取り付けられるテーブルができるといいね。それで、そのテーブルに料理を載せて、お店で食べるときとあまり変わらない味を楽しめたら、外食しようってなる人いるよね、きっと」

天平「この先、夏になっても新型ウィルスの感染問題が落ち着いてなかったら――っつか、夏までに収束してなさそうなんで――。春は窓あけて換気してられるかもしれないけど、暑くなったら窓あけても熱風にさらされるかもしれないだろ? とても換気してられないかもしれない」

ユーリ「――冬は寒くて換気できないってなるけど、夏は夏で、暑すぎて換気できないかも?」

天平「換気のために窓開けっ放しにしてクーラーかけたら、クーラー効かなくない? クーラー効かせようとしたらエアコンがんばりすぎることにならない? それはどうなんだ? って思うし。オレは扇風機愛好家だけど、それにしたって、マジで暑いときはクーラー要る!」

ユーリ「……要るね。熱中症こわいもんね」

天平「その点、車だとクーラー効かせて食事ができるだろ? っつっても、アイドリングとエアコンの問題がいろいろあるみたいだけど」

ユーリ「クーラー……どうするんだろうね? クーラーって、感染者がいるかもしれない状態で、使える?」

天平「クーラー使わなきゃいけない時期になるまでに、国内感染者ゼロを目指す」

ユーリ「――だね。自粛、大事だね」

天平「とりあえず、車だとエアコン使えるんで。――駐車場に停めてる車までお店の人に料理を運んでもらうか、自分で料理を運ぶかして。テーブルに料理を載せて、アルコールティッシュで手を拭いて『いただきます』して。食べ終わったら、お皿は、お客さんがお店に電話してお店の人が車までお皿を回収に来るか、ドライブスルーの要領で回収する? 店舗の近くに折り畳みの机を置いて、その上に大きなたらいに水を入れとくだろ? 洗剤を溶かした水で、そこにお皿を浸けてもらうようにすると、感染リスクを少なくできると思うんだけど……?」

ユーリ「フードコートだと、セルフサービスだもんね、食器の返却」

天平「このやり方だと、感染問題が落ち着いた後も、人がいると落ち着いて食事できない人とか、会食恐怖症気味の人とか、ドライブインレストラン、悪くなくなさそうくない? 車の中って自分の縄張り感あっていい気がするけど、ダメかな?」

ユーリ「車の中、のぞかれそうで落ち着かないかもよ? 災害時に車中泊してる人がいたみたいに、感染リスクがある間は、みんな車中食はふつうのこと、みたくなるかもしれないけど、感染リスクが無くなったら、感染リスクが無くなったのに車中食してる人がいたら、ヘンな目で見られるかも? ――あ、でも、感染リスクが無くなっても、すぐに切り替えできない人は多いかもね?」

天平「パンデミックの終息が宣言されて、もう大丈夫だ! ってなっても、人がたくさんいるところで食事するの怖い、みたいなのがしばらく残るかもな?」

ユーリ「僕は早く、今までみたいに暮らしたいけどね」

天平「そだな」





読んでいただいてありがとうございました。


農業会社やギルドなど、本編の3話で書こうと思っていたアイディアで、このあたりを語ると長くなるので、わかりにくいかと思います。すみません。

九月入学に関しても、農業会社について言及するときに、もっと詳しく書きたいと思っています。


次回も経済活動や学校のことなど、書いていきたいと思っているので、読んでいただければと思います。


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