侍女
「おい、貴様。」
何だよ、偉そうに。
「何だよ?」
「感謝しろ。マウ様がお前を侍女にしたいと言っている。もちろん、受けるよな?」
やめろよ、その高圧的な態度。
「はい。」
異世界で生き残る為には、まずは心強い味方の配下に下っておくとよい。
「出ろ。」
久しぶりに自由になれた。
「マウ様がお呼びだ。」
私はマウという人の部屋に入った。
「失礼します。」
澄んだ声で言った。
「へえ、あなたが椿ね。噂通り、芯の強そうな子ね。」
素直に褒めているのか、それともこちらの出方を試しているのか、どちらだろうか。
「私の前で、そんな態度を取る女は始めてよ。度胸があるのね。あ、そうそう。椿という名は通称の呼び名にして、諱を考えましょう。」
諱・・・
聞いた事はある。
戦国武将で例えると、伊達政宗の諱は伊達正道。
諱と通称の違いはというと、諱は自分より身分が上の人から呼ばれる時の名。通称は、同僚などから呼ばれる名だ。
「そうだ、ラティマーはどう?素敵な名前だと思わない?」
ラティマー?
かっこいい名前。
「はい。とても素敵な名前ですね。」
「そう?じゃあ、これからはラティマーと呼ぶわね。」
「はい、マウ様。」
私は頭を下げた。、
「さっそくなんだけど、薬を買いにいってくれない?渇芽水と花紫をお願い。」
何それ?
まあいいや。
「はい。」
お金をもらうと、近くの薬屋まで出かけた。
「いらっしゃい。おや、宮中の新入りかい?それにしては、随分と小さいなあ。お嬢ちゃん、歳は?」
は?
何よ、このおっさん。
私の事を小さい呼ばわりしやがる。
「ぎえっ。」
おっさんは足を抑えて飛び上がる。
なぜなら、私が蹴ったからだ。
「で、お嬢ちゃん。何が欲しいんだい?」
「渇芽水と花紫。」
「へい。」
一体何なのよ、このおっさん。
「ん?」
私はある物を見つけた。
私はある物に目を通した。
へえ、あのおっさん結構有名なのかな。