異世界へ
私は今、部屋でパソコンに釘付けになっていた。
名門校・葵女子学園の受験結果を見るために。
この日のためだけに、どれほど頑張って来たのだろうか。
友達の誘いを断り、1日16時間勉強した。
塾の先生に無理を言って、家庭教師まで頼んだりした。
とにかく、遊びたいと思ったらすぐに勉強する事を心がけた。
「・・・あったっ!」
私は叫んだ。
「やったあっ。」
私はベッドで飛び跳ねた。
私は偏差値が全教科70を超えていて、天才と言われていた。
ただ、5年生になっても志望校が決まらず、結果として葵女子学園を受ける事になった。
私の努力が遂に報われたのだ。
「どうしよう、嬉しすぎる。」
私はお母さんに報告した。
「おめでとう!」
お母さんは褒めてくれた。
嬉しかった、とても。
自分で自分を自慢したくなった。
「お母さん、ちょっと公園行ってくる!」
私は近くの公園に行き、走りまくった。
「きゃっほーい。」
私は遊んだ。
遊びすぎて、気が付けば、日が沈んでいた。
「あれ?」
私は思わず声を出した。
いつもは無い、路地裏を見つけたのだ。
人一倍、好奇心が強かった私は、気づけば路地裏に入っていた。
黙々と前に進み、しばらくすると、知らない場所へ出た。
「・・・ひゃっ。」
遠くの商店街の方に、狐の耳を持つ女性がいた。
注意深く見れば、他の皆も、獣のような姿をしていた。
「ん?」
雄叫びが聞こえてきた。
「うああああああっ。」
私は叫び声を聞き、自分自身も叫んでしまった。
「きゃあっ。」
噓・・・戦争が起きてる。
私の、目の前で。
世界平和が唱えられている現代で育ってきた私は、戦争など見た事は無かった。
私はただ、目の前で広がる悲惨の光景を見ているしか無かった。