第二話 自宅。
トオルの家から歩いて十五分程の所に、俺の家がある。
外見だけは、近所の家と何ら変わらない木造二階建てで裏手には小さな庭がある。
玄関までの敷地には石畳が敷かれていて、その隙間から雑草が伸び放題になっていた。
俺は玄関のドアを開けて中に入る。念のため厳重にカギを閉め、ドアチェーンをかけ、戸締まりを確認する。
奥にあるリビングへと続く廊下。
リビングの右手には二階建へと続く階段、俺の自室は二階だ。
自室とはいっても、物置のような状態だが。
スニーカーを脱いで、廊下を通り二階建へと上がる。
階段を上がってすぐの所に俺の部屋がある、手前にも同じような襖部屋が一つあるが、そちらは祖父母の部屋になっている。
祖父は十年も前に亡くなっていて、今この家に住んでいるのは実質俺だけになっている。
幸い祖父と脱サラした親父の貯金が相当額あるため現実世界での生活には苦労しない。
現実世界からあちら〈幻想界〉(現実世界と区別するため、こう呼んでいる)へいく前に色々と準備やら何やらがある。
襖を開け中へ入る。
中にはダンボールの山や衣類が雑多に置いてある。小学校を最後に使わなくなった勉強机、殆ど使っていないベッド、その他もろもろが置かれている。
スクールバックを適当な所に置き、ダンボールの山をかき分け押し入れを目指す。
押し入れを開けその中から、衣装ケースを取り出す。
中から動き易い服装を選び、取り出す。
今着ている高校の制服を脱ぎ、パンツとシャツだけになった。
脱いだ制服は衣装ケースに収め、押し入れに戻す。ラフな格好に着替えスクールバックを肩に架けなおし俺は自室を後に、階段を降り一階へと降りる。
途中台所に寄りあらかじめ買っておいた俺の好きなチョコバーやスナック菓子を大量にスクールバックへ放り込む。
〈幻想界〉にはスナック菓子もチョコバーもないからな…。
仏間が〈幻想界〉への入り口なっている。
俺が生まれるずっと以前、今の俺のようにじいちゃんと親父も二つの世界を行きし生活していたらしい。
親父は早期に脱サラし、〈幻想界〉へと定住した。まぁ、母さんとラブラブだったからな…。
ばあちゃんと母さんは〈幻想界〉の人間で、俺はばあちゃんには会った事はないが、
その後はじいちゃんだけ、現実世界へ定住し幼い俺と、一緒に暮らしていた。
俺も高校を卒業したら〈幻想界〉で、ずっと暮らす事になるのだろうか…。






