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ヘタレもやる時はやるんですよ?

復活!!

まさかのまさかのまさか、超絶クール幼女こと東さんのご自宅が俺の家のお向かいさんだったとは……。


「まさかの展開です」


声に出しちゃった。


「……山田、家そこ?」


「うん、ここでした」


「……なんで?」


なんで?って?え?ここに我が家あっちゃダメですか東さん!?

なんでそんな嫌そうな顔してんの!?俺のこと嫌い?


「いや、物心ついた頃から家はここだったのですけども……俺、引っ越した方がいい!?」


俺、今泣いてる。家まで拒絶されて俺、今泣いてる。


「……別に引っ越さなくてもいいけど」


「ほんと!?俺、ここにいていいの!?」


「いいけど」


よかったぁ。やべ、今度は嬉しすぎて涙止まらない。俺の存在が認められて俺の涙止まらない。


「でも、小学校の時とか学区一緒なのに東さんいなかったよね?ぐすん」


そうだよ。東さん、卒アルとかにいなかったし。


「……」


「……」


おいぃぃ。東さん黙っちゃったよ!?俺、地雷踏んじゃった!?美少女傷つけちゃった!?


「……引っ越してきた」


「え?」


「……高校進学に合わせてお婆ちゃん家に引っ越してたの」


なんだ……そゆことね。納得です。


「じ、じゃあさ!ご近所だし明日、朝一緒に登校しない!?」


勇気出したよ!!頑張ったよ俺。


「……あれ?」


でももうその場には東さんはいなかった――。


「う、う、うわぁぁあん!!」


俺は自宅の前で号泣した。




その日の夜……。


「あ!今日のジャンプ見てない!!」


俺は続きが気になって気になってしょうがなくなって最寄りのコンビニに出掛けた。


歩いて5分のセブンイレブン。

入店すると真っ先に雑誌コーナーへ!俺のジャンプの邪魔する奴ぁ、ぶん殴っちゃらぁ!やってやんよ!俺、やってやんよ!


「……山田」


あぁん!?って、ちょ!おい!


「あ、東たん……」


「……たん?」


やべ、ついいきなり現れたキューティーな美幼女の降臨でつい萌えキャラみたいに『たん』なんて読んじゃった。 てへぷりん☆


「あ、いゃなんでもナッスィン。つい噛んじゃった」


「……そう」


そう言って東たん改め東さんは残り最後の一冊のジャンプを持ってレジに向かった。

東さんもジャンプ読むんだ……ん?残り最後の一冊?


「ちょ!東さぁん!」


「……何?」


嫌そうな顔。心底ウザそうな顔。そして手には袋に入れられた最後のジャンプ。

すでにお会計は済んであった……。


「俺に、俺にジャンプを……見せてください」


俺はコンビニでまさかの土下座。

東さんが引いてることはわかってる。それはわかってる。でも俺は土下座をやめなかった。


すると。


「なんだコイツ」


「コンビニで土下座なんてしてるぞ」


ギャハハと笑う柄の悪い高校生どもが入ってきた。


「コイツバカじゃね?」


「つか、土下座されてる子、結構可愛くね?」


「あ、ほんとだ。ちいせえけど顔いい」


なんてゲスな連中。


「……!」


東さんが身を強張らせたのが分かった。膝も震えてる。


「ねぇねぇ君ぃ。俺らとちょっとこれから遊ぼうよ」


ふるふる。


東さんは首を横に振る。しかし男どもは引き下がらずにあろうことか東さんの腕を取った。


「や、山田!」


東さんが今俺に助けを求めた!?

不良は怖い。

でもそんなことより嫌がる美少女を無理やりなんて俺は許せる程優しくもない!


「おまいら、その手をはなしぇ!!」


噛んだ。盛大に。かっこよく決めるとこで。


「あん?」


「あん?じゃねぇよ!今、俺がジャンプ見せてくださいってお願いしてるとこだろうが!お前らバカか。見てわかんねーのか!取り込み中だコノヤロウ。つか手を放せ、可愛いお手手が腐っちまう!」


「……山田……」


俺は東さんの前に立つ。庇うように。


足はガクガク震えてるし、心臓バクバクいってるけど。それでも俺は不良どもと対峙する。


「テメェ」


「ぶっころ、すぅ――グハァ!!」


男の一人が盛大に吹っ飛んだ。


「え?」


「結構度胸あるじゃないかユージ」


そこに現れたのはその名を天下に知らしめた喧嘩最強女子高生、千葉春菜。


「春菜……」


「ち、千葉ぁ!?」


不良の残りの男が春菜を見てビビりだす。


「あたしの友達、困らせやがって。いっぺん死ね!」




「じゃあたし帰るから、空のこと頼んだよ、ユージ」


「ああ、任せて。それと助かったよ」


「いやいや。空を守ったのはアンタだよ。ヘタレって言ったの悪かった」


そう言って春菜はコンビニを後にした。


そして残った俺たち。


「あの、えーと、大丈夫だった……?」


「……うん」


「そ、そっか。んじゃ帰ろーよ。また変なのにも絡まれるの嫌だろ」


そう言って俺は歩き出したのだが。


ギュ。


袖を捕まえられて、歩けなかった。


「あ、東……さん……?」


「あ、あの」


「ん?」


「あ、……あ、ありがと」


そう言って東さんは顔を背けた。耳まで真っ赤にして。


うん、なんか超可愛い。


しましたぁぁ!!

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