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女の子は超カッコいい?

今までサボってすいませんでした!やっと進路の面も他のことも安定したので、これからはサボってた分を取り戻すくらいの勢いで頑張ります!

 案の定、学校に登校した途端クラスメイトほとんどの男子からタコ殴りになりました……もう、みんなのせいでキズ物になっちゃった……お婿に行けない、誰かもらってぇえ!


「朝から大変みたいね、や・ま・だ」


 ゲ、広瀬。


「アンタ、今『ゲ』って顔したわよね?」


 首を横にすごい振る俺。正直言ってかなりピンチだ。具体例は、ド○クエ3を使わせてもらう。ルイーダの酒場で誰も仲間に入れず、街に出たらすぐにゾ○マとひのきのぼうで対峙みたいな。


「と、とりあえず原因はお前のせいでもあるんだぞ」


「はぁ?アンタ何言ってるかわかんないんだけど」


 と言いつつも、ニヤニヤしている広瀬。まさかこいつぅ、携帯のメールが原因だと気づいてっ!?



「こ、この悪女め!」


 俺はダッシュで広瀬から逃げ出した。


 ――しかし、回り込まれた!


「こらこら山田く〜ん。こんな可愛い美少女を悪女呼ばわりなんて、ひどくな〜い?」


「な、何を!自分のことを美少女とかいうやつは美少女じゃないんだぞ!……いや、まぁ広瀬は美人だけど」


 何を言っている俺!コイツは性格最悪なんだ……可愛いけど性格最悪、可愛いけど性格最悪、可愛いけど性格最悪!


「何よ?何か言いたいわけ?」


 何、この目凄いムカつくんですけど!凄い美人なのに凄いムカつくんですけど!


「お、お、お前なんて!た、確かにか、可愛いけどな!性格最悪なんだよ!」


 俺はついに、ついに言ってしまった。だが、後悔はしないよ……だって、だって――ガハアッ!


「はぁ?性格最悪?誰が?もしかして私に言ってたの?へぇ〜、人間最悪のアンタに言われるとは思わなかったなぁ〜。で、何か言うことは山田?」


「すみませんでした女王様」


「よろしい」


 満面の笑顔で広瀬は去っていった。なんて早い蹴りを繰り出すんだ……広瀬、恐ろしい子っ!




 朝からクラスの男子と広瀬から大ダメージを受けた俺の心を癒せるのは、マイエンジェル桜井さんのみ!


 俺は桜井さんの席の方をチラ見する。しかし、桜井さんはいない。why?どうして?


「今日、美佳子は休み」


「どひゃあああ!東さん、いつからそこに!?」


 いつのまにか東さんが俺の背後にいた。なんて人だ……ここまで気配を消すなんて……絶か、絶なんだな!?念能力者なんだな!?


「……今時の女の子は、念能力を使うことがトレンド」


 そうなのっ!?


「そ、それよりマイエ……桜井さんは何で今日休みなの?」


 桜井さんに何かあったとしたら一大事だ。風邪をひいていたら見舞いに行かなくては!


「……なぜお前に、言わなくちゃいけない」


「そ、それは……」


 昨日のメールで桜井さんの優しさに触れたから、とか、傷を癒すために癒しの天使を拝見したいから、とかダメですかね!?


「……ダメ」


「あれ!?なんで心の声を!?」


「……」


 そして東さんは本当に俺に何も言わずに席に戻ってしまった。


 やっぱり絶対嫌われてるよ、俺。


「どうした、ユージ。元気ねーな」


「コタロー……」


「何があった?話してみ――」


「うるせぇ!主人公みたいな顔立ちしやがって!とおりゃあああ!」


「ちょ!?やめろ!」


 とりあえず、コタローに八つ当たりしました。


 あと朝のホームルームで、桜井さんが休んだ理由は親戚の人の法事ということを知りました。



 クラスの男子、女子からの冷たい視線とドS女王・広瀬、クールプリティ・東さんからの心を抉るような毒舌を耐え続け、ついに放課後!


「千葉ぁ!」


「な、何山田?」


 放課後になった瞬間、俺は千葉に駆け寄る。駆け寄られた本人はあたふたしてるけど。


「何って、掃除だぞ」


「あ、ああそうだったね!」


 そして俺達は再びあの掃除場所、水道に向かった。


「なぁ千葉ー」


「んー?」


 俺達は水道をたわしでめちゃめちゃ磨いていた。黙々と作業するのはめんどいので、千葉と話すことにする。


 なぜかコイツ相手だと気を使わなくなったし。でも怒るとやっぱ怖いままなんだけどね……。


「もうすぐやる球技大会、楽しみじゃね?」


「そうだね、あたしみたいに運動が得意なやつが頑張れる機会だからね!テストで平均点下げると思うからこういう時に活躍しなきゃ!」


「俺も体育は超好きで超得意!俺も一緒だ」


「い、一緒か」


 千葉の顔がほんの少し赤くなる。やっぱりお前……俺のことを……。


 じゃ、じゃあ帰り一緒に帰っても良いよね?可?これってむしろ可でしょ?


 よし!


「あー、そうしやさ今日、部活休みっしょ?」


「あー、うん」


「い、いい、一緒に帰らない?」


「へ?…………えええぇぇ!?」


「い、嫌ならべ、別に構わないっす……はい……」


 なんかここまで驚かれるとショック。


「い、いや、別に嫌ってわけじゃないよ」


「え?今なんて?」


「だ、だから嫌がってるとかそういのとは違くて、どっちかというとうれしくなかったりしないこともないなんて思わないこともなかったりするような気がしないでもないんだけど!」


 なんかよく分からんけど、一緒に帰れるってこと?


「だ、だからまぁ、一緒に帰ってやらんこともない」


 千葉、お前……。


「いやぁ千葉ってやっぱり凄いいいやつだな!俺、お前のこと超好きになりそうだよ!」


「ほへ?」


 ボン


 まるで日の丸のように千葉の顔はは真っ赤になった。


 しかし俺はそのことには気づかず、ただただたわしで擦っていた。



「い、いやぁ女の子と二人っきりで帰るなんて初めてだよ」


「わ、私だってそうだ」


 道中、なんか不思議な雰囲気で俺達は歩いていた。


 そう、まるで――


「俺達、付き合いたてのカップルみたいだな」


 と、冗談で言ってみた。言ってみてから気付く、この恥ずかしさ。


「なっ!?な、何言ってる!そんなこと、あるわけないでしょ!」


 俺のありったけの勇気を振り絞った冗談は断固否定された。


 ……あれ、目から汗が。


「おっ、千葉じゃね?」


「あー、マジだ」


 俺達が変な雰囲気を満喫していると、柄の悪い高校生が千葉を見ていた。


「ちっ」


 不良っぽいそいつらは千葉に対して舌打ちしながら近づいてきた。


「よぉ、千葉ぁ。久しぶりだな、隣のやつはお前の彼氏か何かか?」


「おいおい、あの千葉に彼氏なんてできるわけねーだろ」


「あはは、言えてら」


「ハハハハ!」


 せっかくなんか初々しくちょっと気恥ずかしい雰囲気を……。


 てか、こんな奴ら、マンガでしか見たことねーよ。



「でさぁ、結局どんな関係?パシリか何か?」


 不良は千葉に言い寄る。


「お前らには関係ない。ていうか誰だお前ら?」


 ――!


 いつもの千葉とは違う空気……これは中学時代に千葉に会った時と同じ感じがした。


「あぁ?忘れたとか言わねぇだろ」


「てめぇに散々こき使われた男だよ!」


「悪いが忘れた」


 千葉がそう言った瞬間、男達が宙を舞った。何が起きたか分からなかった。


 ただ、分かったこと、それは千葉が超カッコよかったってことだ!


「千葉、お前凄いな」


「そ、そうか?」


「ああ、今の超カッコよかった!」


 俺が最高のスマイルを見せると、千葉も今までで最高のスマイルを見せてくれた。



「私のことは春菜でいーよ、『ユージ』」



 そう言って。

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