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スレイヤー  作者: 腐った卵
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始まり

腐った卵ですどうぞよろしくお願いします。


誤字や矛盾点がありましたらお知らせください。


作者は豆腐メンタルですので温かい目で見て頂ければ幸いです。


神は死んだ。

それでも神の作ったプログラムのみが動き続けた。


世界は常にダンジョンを中心にまわり、人々は命をかけてダンジョンに挑んだ。


金、地位、権力、名誉、全てがダンジョンから生まれた。


人々は第1階層から最終階層を目指したがその多くは途中で諦め、またはその命を散らした。


第1階層〜30階層までをG級、第31階層〜60階層までをF級…… 第181階層〜210階層までをA級、第211階層〜240階層をS級の探索者と呼び、そして第240階層をクリアしたものはエクシードと呼ばれ、様々な特権を与えられた。



◇◇◇


冷たい風が唸りをあげ、死の匂いを運んでくる。

ここはダンジョン第181階層の第1ステージの荒野だ。


A級になったばかりで浮かれている探索者を待ち受ける最初の難関だ。


ダンジョンは信じられないほど広く、単体のモンスターに群がられるようなことは滅多にないが、このステージは視界に映るだけでも数十はいる。


そんな中今まさに1人の男が戦っていた。

魔物達は男を囲むようにして輪になりじりじりと男との間合いを詰めていく。


その数なんと87体。

そのほとんどはゴブリンソルジャーで構成されている。


雑魚種と言われるゴブリンと名が付き、見た目もゴブリンとあまり変わらない為稀に勘違いする者もいるが、ゴブリンソルジャーはそれらとは格が違う。


油断なく男の隙を伺うその2つの眼はまさに歴戦の戦士のものであった。


誰がみても絶対絶命のこの状況だが、男は絶望するどころかどこか余裕の雰囲気すら漂わせた。

強く一歩を踏み出すと周りの魔物が反応すらできないうちに前にいた一匹を殴り飛ばした。


そこでようやく事態を把握した魔物達が一斉に襲いかかり、次々に殴り飛ばされ手刀で切り裂かれた。


全ての魔物が死に訪れる静寂。

男の足元にはただドロップアイテムが大量に転がっていた。


男は黙ってそれらを拾い集めるとチラッと背後を振り返って何かを探すように目を瞬かせた。


「いつから見ていたんだ?ジンさ……親父」


それを聞いた後ろからいきなり姿を現した黒いスーツの片手にタバコを持った男は満足そうに頷いた。















街は雪で白く染まり、時折冷たい風が吹き付け家の窓がガタガタと音を鳴らす。


街の家のほとんどはすでに光が消え暗闇と沈黙に包まれている中、一軒だけ飲み屋は未だに明るく賑やかさを保っていた。


「マスターもう一本追加だー」

「こっちにもくれよな」


食器の擦れる音、賑やかな話し声と笑い声が玄関の外からでも聞こえる。


そこに黒いマントでフードを深く被った3人組が入っていく。


地元のホルダー達は見慣れない者の来店に一瞬チラッと目を向けたが、別に珍しいことでもないためすぐに興味をなくして視線を元に戻してまた話し込み始めた。









帝国がこの土地に侵攻してきたのは2年前のことで、その時にはこの森にも一つだけ村があったのだが、今では廃村となっている。


この森の奥はガーラ山脈と繋がっていてその山脈の向こう側にはエルフとドワーフの国が広がっているのだが、ガーラ山脈は凶悪な魔物がいることで有名で、帝国は過去に二度出兵して失敗している。


その為、帝国兵でここに近づく者はほとんどいないないのだが………。


「散開しろ。そして私が合図をしたら奴らを捕らえろ。決して殺すな、それが子爵の命だ。行け!」


まわりで20人ほどの鎧を着た帝国兵が一斉にすり足で動き出す。


それを見て命令を出した男、ブリッツは喜びに顔を歪めた。


(もう逃がさないぞ。今度こそ捕まえてやる)


その視線の先には3人の黒装束の人間が焚き火を囲んでいた。


顔もほとんど見えない黒装束の者たちは表向きは盗賊として生け捕りの賞金首となっている者たちだが、実は少し違う。


彼ら、いや彼女らの一人は元帝国の伯爵家の令嬢だ。

帝国軍最高司令官の策略により家は潰されたのだが、伯爵は最後の抵抗を見せた。


それは最高司令官の元から、奪われたアーティファクトを一つ奪い返して娘に持たせて逃がしたのだ。


そのアーティファクトはエメラルドグリーンの石のついた首飾りで、使用者の魔力増加・魔法の威力向上・魔力回復増加・魔術式構築補助という効果があり、魔術師ならば喉から手が出るほど欲しいものであるし、何より帝国のプライドにかけて取り戻さなくてはならない。


よって帝国はその元令嬢、ヒスイを盗賊として賞金をかけて回収を急がせたのだった。


「………囲まれたわね」


ちらっと周りを目だけで確認したヒスイが小声で話す。


「そっ、そんなぁ〜。どっどっどうしよう」


「ちょっとネムうるさい!奴らに気づいたことがバレちゃうじゃない」


「っっごめんなひゃい、アイリスさん」


がばっと顔を上げてあたりを確認しようとするネムをアイリスがなんとか手で押さえる。


「二人とも、狙いは私だから貴方達は逃げて」


「でも!」


「ネム。ヒスイのいう通りにしましょう。それに私達では足手まといになるだけだわ」


明らかに不服そうではあるがネムも最後にはコクリと頷いた。そうは言ったアイリスも下唇を噛んで血が滲む。


再び静寂が訪れたがそう長くは続かなかった。


突然、ヒスイの魔力が急上昇すると同時にアイリスとネムは一番守りが薄い場所へと走り出したのだ。


「やれ!」


慌ててブリッツが支持を出すも一歩遅かった。


「食らいなさい。大地の衝撃(アースインパクト)


ヒスイを中心に周りに巨大な岩が突き出し、一撃で全員を絶命させた。


アースインパクトはそこまで威力の高い魔術ではないがアーティファクトの効果と使い手が良かったことによって絶大な威力を発揮したのだ。


「そんなバカな。俺の部下が一撃でうぐっ」


そこまで言って自分胸にナイフが刺さっていることに気づいき、ブリッツは絶命した。


ガバナー家次男、ガバナー・ブリッツ。
















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