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ファンシーなウサギ

 ぜんかいまでのおはなし……

 あやしげなサイトでかった あやしげなぎしきセット!

 ダンボールをひらけると、でてきたのはテレビ?

 なんと!でんげんをいれていないのに、テレビはうごきだす!

 がめんのなかのかわいいうさぎがはっしたことばとは?

 

----

 

 「コンニチワ。アナタノネガイハナンデスカ?」

 

 ……!!!????????

 びびびびっくりした!!!

 

 ええ!!!音まで出たよコレ!!

 ほんとこわ!!!!!

 でもこれはチャンスかもしれない。

 よく考えれば、ヒトの体を子供に戻すこと自体、人間の限界をゆうに超えている。

 そんな神業的なことができる奴だ。

TVの遠隔操作ぐらい、できない方がおかしい。

 ……いやありえん。それもこれも。自分で言ってて恥ずかしいわもう。

 おかしいに決まってる。

 でも、ワンチャンあるかも知れん…

 早く返答しないといつの間にか消え…

 

 「ヘントウセヨ。サモナイトキエテシマウゾ」

 ほらやっぱり。

 何か話さなくては。

 そう思うのだが、言葉が浮かんでこない。

 短時間でこんなにいろいろなことがあっては、脳も情報が処理できないらしい。

 えっと、ちょっとまて。

 俺は体を子供に戻すための儀式を行うべく、この商品を購入した。

 そして、あいつは俺に問いかけている。

 願いはなんだ?と。

 きっとこいつには成人の体を子供に戻すことしかできないだろう。

 言うべきことはただひとつだ。俺の体を子供にもど…

  

 「ヘントウセヨ。」

 「い、いいい」

  

 今話そうとしたんだよ!

 そう言いかけてやめた。あまりにもウサギがメンチを切ってくるからだ。

 …実際画面の中の奴は無表情だが…

 20年以上にわたる引きこもり生活で、家族以外の他人と会話する機会など皆無だった。

 コンビニでのこともそうだが、どうやら俺は人と話すのが苦手になってしまったらしい。

 まぁ元々得意じゃないけど。

 

 「あ、ああぁのぉ……」

 機械相手にどもるとかダサすぎだろ……

 もう自分で自分が悲しくなる。

 

 「…えとぉ…そ、そのぉ」

 舌が回らない…奴は相変わらず表情のない顔で、こちらを見つめてくる。

 やばい。さっきまで平気だったのに。

 無機質で得体が知れない。恐い。

 食われそうだ……

 ……画面の向こうの嫁との妄想で、毎日三発はイケる俺が言うことじゃないけど。


 「そ、そノォ…えっと、お、俺の体を…」

 

 「だりぃなぁ」

 

 …???

 聞き間違えかにゃ?

 

 「だりぃゆーてんねん。早よ言えや。

 分かってるやろ?俺にできることはただひとつ。

 そのために生み出されたんやから当たり前やん

 な?」

 

 …関西弁?

 さっきまでの無表情が嘘かのように、眉間にシワまで寄せている。

 

 「俺はなぁ、

 成人男性を子供にすることしかでけへんねん。

 自分も分かってるやんな?

 その上でなんで黙ってんねん。ほんまうっといわ」

 

 いや、びっくりするわ。

 さっきまでのアレ何?キャラ?キャラ作ってたの?

 

 「今そう言おうとしたんだ!」

 ムカついて口が勝手に動く。

 しまった。

 

 「やっと喋ったやん。おもろー。

 んで、子供になって何がしたいん?

 しょーじきに言いーや。」

 ギクッ

 

 「さ、様々な慈善活動を…


 …巨乳の美女にぱふぱふされたいです。」

 ウサギは一瞬きょとんとして、

 そしてすぐににやりと、意地悪そうな笑みを浮かべた。

  

 「正直でよろしー。

 ほんま、おもろいやっちゃなぁー、

 たまにムカつくけど。

 こーゆーやつの方がやりがいあんねん。

 なんせおもろいからなぁ」

 完全に馬鹿にされた。

 こんなファンシーなウサギに馬鹿にされるなんて、俺の人生ナンバーワンの恥辱かもしれない。

   

 「で?何人ぐらいにぱふぱふされたいん?」

 「ま、まぁ、ザッと30人ぐらい…」

 真っ赤な顔を隠そうと、地面を見たまま答える。

  

 「よっしゃ気に入った。ほんだら、いくでー…」

 …は?

 えっ!?まだ心の準備が…

 

 「ちょっ!!まっ」

 

 「なんやぁ?もう始めてるで」

 見ると、テレビの周りが何やらバチバチと明るいことに気づく。

 ちょうど、花火みたいな感じだ。

 静止する間も無かった。

 

 まるで毛糸が解けるかのように。

 

 あっという間に俺の体は小さくなってしまったのだった。

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