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小太郎

小太郎の神隠し

作者: eiji

「小太郎〜〜!」

「あっ!母ちゃん!」

小太郎は 蝶々やトンボについて行く癖があった

幼稚園の帰り 虫を見つけると本能が そうさせるのだ


「今日は 何が居たの?」

「ギンヤンマ!」

「全く…」




小太郎ん家の電話が鳴り響く

「もしもし!すいません!小太郎くんが…小太郎くんが幼稚園から消えました…」

先生からの電話がだった

「えっ!今から行きます!」


「先生すいません…気がついたら 小太郎くんが…」

「落ち着いて!小太郎の事なら大丈夫だから!」

小太郎の先生の先生をしていた母ちゃん

先生を落ち着かせる為に 先生の顔になっていた


小太郎4歳 年少組 秋の出来事


「今日は 冒険の森で遊んでたんですが…気がついたら小太郎くんの姿が見えなくて…」

冒険の森とは 幼稚園の裏山に作った アスレチックのような遊び場

「警察に電話した方が…」

「いや まだ待って!他の子供達は?」

「みんな居ます」

「じゃあ 居なくなったのは 小太郎だけなのね」

「そうです」

「良かった…なら 警察に電話するのは まだ待って」

現在14時

「先生は 園児の方を!私は 心あたりを探してみるから」

「園児を帰したら 私も探します」


一方 小太郎は…

「あれ?どこ行ったんだ?…そんで…ここどこだ?」

小太郎は 赤トンボを追って 裏山の反対側まで来ていたのだ


「あっ!いた!」

赤トンボを再び発見!

「待て〜!」


「小太郎〜!」

先生には ああ言ったものの心配な母ちゃん

「すいません この辺で 園服着た子供見ませんでしたか?」

「いや〜見てないなぁ」

「そうですか…ありがとうございます」



「よし!止まった…そう〜っと…あっ!」

逃げられる小太郎

「待て〜!」

どんどん幼稚園から離れる小太郎


その頃 母ちゃんは全く逆の方を探していた

まさか 道のない山を越えているとは思っていなかったのだ


現在15時


「先生〜!」

小太郎の先生が 母ちゃんと合流した

「他の先生達も今探しに行きました」

「そうですか ありがとうございます」

「どこ行ったんでしょう…」



「おぉ!どんぐりだ!どんぐりがいっぱいあるぞ!」

小太郎の視界には もはや 赤トンボは入っていなかった…

小太郎の 次の獲物 はどんぐり

「おぉ!なんだこれ!二つくっついてるどんぐりだ!」




「先生…そろそろ暗くなります…やっぱり警察に」

「もうちょっと…多分 あの子の事だから 心配はいらないはず…大丈夫…大丈夫だから…」

本当は 一番心配してる母ちゃん

警察沙汰にすれば 幼稚園に迷惑をかけてしまう…


「他の先生達が見つけたかも 一度 園に帰りましょう」




「おっちゃん!ここどこだ!」

「なんだ坊主 どこから来たんだ?」

「幼稚園!」

「幼稚園?幼稚園ならあそこの角を曲がって真っ直ぐ行くと…」

おっちゃんは さっき聞かれた事を思い出していた


「坊主 送ってやるぞ!乗れ!」

「いいのか?やったー!」

「坊主 何やってたんだ?」

「トンボ追いかけたらどんぐり見っけた!」

「そうか!それは スゴイ冒険したんだな」

「おぅ!楽しかったぞ!」

「でもな みんな心配してるぞ」

「…うん」


現在16時半


「やっぱり 見つからないですか…」

「先生…」

「やっぱり警察に…」

プップ〜〜!

「なんだ?」

秋の夕暮れ時

夕焼け空 逆光の中からシルエットが近づいてくる


「おぉ〜い!」

「小太郎?小太郎〜!」

「小太郎く〜ん!」

「あれ?なんで母ちゃん居るんだ?」


逆光の中から現れる おっちゃんの耕運機に乗せられてる小太郎


「あっ さっきの…」

「やっぱり あんたが探してたのは この坊主か…この山の裏に居たよ」

「そんな所に…」

「坊主 母ちゃんに心配かけんなよ!」

「おぅ!おっちゃん ありがとう!」

おっちゃんは 颯爽と耕運機で帰って行った


「母ちゃん!これ見て!」

小太郎の手には 2つくっついたどんぐりが…

小太郎は満面の笑みだった



「本当にご迷惑をお掛けしました」

「いいえ 無事で良かったです」

「小太郎!先生に迷惑掛けたんだから謝りなさい!」

「先生!俺 楽しかったぞ!」

「はぁ…本当にすいません」

「太郎ちゃん 今度 そのどんぐり有るとこ 教えてね みんなで行きましょう!」

「えぇ〜 俺の秘密の場所だから ヤダ!」

「…」


「小太郎…」

「なんだ母ちゃん!」

「今日 楽しかった?」

「うん!」

「そうか 楽しかったか」

夕焼けに向かい歩く母と子

それを見送る先生達…


みんな今日は 秋の夜長を感じることはないだろう…






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