1-4-25-4 【第三者視点】 炎禍の先に披く孔 4
◆ 視点変更『第三者視点』 ◆
フレイバーン「……う……げっ……」
彼の身に突如変化が起きたのはその時だった。
フレイバーン「……げぇぇああああっ!!!?」
突如、凄まじい不快感が彼を襲う。
七波が現れない事で焦れたか、ふざけながら周囲を軽快に見回していた彼は、唐突に内側から溢れ出したその感覚に震え、膝をついて身動きを止めてしまった。
詩遥「え……っ!?」
それを目にした面々は、一様に動揺を隠せなかった。
この男でさえも――
ゲフリーレン「……トロイラス、何が起きている」
トロイラス「ナナミが対象の孔球に接触。……クレシダからは、『孔球の中へ飛び降りた』と」
ゲフリーレン「何っ……!?」
トロイラス「現在、状態を観測、記録中」
恐らく。
ゲフリーレンはこの星に降り立って、ナナミに振り回される以外では初めて感情を揺さぶらせた事になる。
ゲフリーレン「何という……何という事を……」
自立型のAIであるトロイラスは、口にはしないが、その記憶をたどっていた。
ゲフリーレン「……くくっ……くくくくっ……!」
トロイラスの知る限り。
悪孔空間を発見した時ですら、ゲフリーレンはここまで感情を震わせることはなかったのに。




