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第3話 属性判明

不定期な更新です。

どれほど歩いていただろうか。

2週間ほど野宿と移動を繰り返しながらかなり移動したと思う。


一応今世では田舎育ち。

今の俺は、前世の俺が同年代の時よりは確実に体力はあるだろうが、流石に疲れて来た。


「そろそろ着く」との事なので楽しみにしておこう。


そうして5分ばかり森の中を進むと、唐突に違和感を覚えた。

上手くは言えないがなんだか目に映っている光景と実際に存在しているものが、違う様な気がするのだ。


その根拠は?と言われても困る。


勘ですとしか言えない。



その違和感について師匠たちにも話す。


「ん?なあシェータ、まだベルの分やってないよな?」

「もちろん、してないわよ?」

「だよな。もしかして腕落ちたか?最近籠りがちだったしよ」


するとシェータ師匠はとてもいい顔で微笑むと


「あら、そう思うなら試してみる?」


そう言って手を合わせる仕草をとる。


「冗談だっつーの。そうムキになんなっての。となるとあれか?自力で気付いたのか?」

「そうなるわね」


話の流れからするとこの違和感の正体はシェータ師匠がなんかやってるのか?


「ベルの感覚は正しいわよ。よしベル、目を閉じて」


言われた通りに目を瞑る。


「これでよしっ!ベル、もう目を開けてもいいわよ」


言われた通り目を開くと、目の前に先ほどまでは森だった場に、広い空間と建物が突然現れた。


「と、まあ種明かしすれば私がちょこちょこっと魔術を使って色々と誤魔化してた訳よ。まさかベルに今の時点で気づかれるとは思ってなかったけど。流石私の弟子ね!」


とお褒めの言葉をいただく。

師匠たちの家自体が見えていた訳じゃ無いんだけど。


「違和感って形でも気付いてるんだからすげぇって事だ、流石俺の弟子!」


ヴァン師匠が俺の背中をバシバシ叩きながら笑う。

力加減はしてくれてるのだろうが、衝撃が半端ない。

せ、背骨が・・・!



とここで少しの休憩を挟む。

その日はゆっくりと休む。


ちなみにその日の夜はシェータ師匠に抱き枕にされた。

この体かまだ子供なので男ならではの反応がなかっただけ幸いだ。


7歳児のくせに何歳差だよ?って反応もあるかもしれないかシェータ師匠は見たところ20代の見た目だ。


前世の俺がバルザール帝国で(おそらく)首と胴体を泣き別れさせられたのは、19歳の時だし俺の感想は正常のはずだ。




そして翌日から俺の修行が始まった。

と言ってもまずは使える魔術を調べなければ。


そんなこんなでお待ちかね!

属性診断のお時間です!


属性診断とは、まあ読んで字の如くなんだけれども。


その人物の魔術の特性を調べるもの。

手段としては特殊な鉱石に手をかざして魔力を込める。

すると属性に応じて、火ならばそのまま火が揺らめくように、といった具合に光るとかいう不思議物質である。

流石ファンタジー、謎鉱物だ。



ちなみに冒険者ギルドにも同じものがあって加入の際にしらべるのだとか。

異世界転移ものの小説なら、主人公の魔力が強すぎて鑑定用の道具が壊れる、鑑定して見たら不人気低評価の属性だったとかの流れがあるやつですね。




ちなみに師匠たちが手をかざすと、シェータ師匠の場合は基本と上位合わせて10種の属性に適性があるから10色に光る。



ヴァン師匠はそれはもう見事に真っ赤に燃え盛っているようであった。


次はいよいよ俺の番。

火も便利だろうし、ヴァン師匠から修行をつけてもらうと考えると火だと色々と便利だろう。

あとは光、闇っていうのも男心が刺激されます!

剣に光纏わせて戦ってみたい。




期待しながら手をかざす。


鑑定の結果、お値段は・・・じゃなくて属性は、雷となんだこれ?

銀色でグニャリと歪むような・・・

わかりにくければガムシロップを水に入れた時と言うのだろうか?

それの銀色版。

とにかくよくわからない感じの変化を見せた。


歪んだりしている方はよく分からないけど、分かった方は雷である。


雷!そう雷だ!

カッコイイじゃん!

しかも前世の知識から色々出来そうだし!


もしくはギガ◯イン!みたいな事や、剣で「ギガス◯ッシュ!」ってできるようになるのか!?


まずは海割ったりする練習しなきゃギ◯スラッシュは使えないんだっけか?

アバ◯先生はいないし、ヴァン師匠に教わらねば。

ヴァン師匠なら普通にできそうな気がする。


とここまで考えた後、もう一つの正体不明の属性について聞こうと師匠たちの方を見ると、なんだかとても驚いていた。


これは珍しい属性なのかな?



「・・・これはまさかのまさかだな」

「・・・私もこれは予想してなかったわ」

「「空間属性とはな(ね)」」


空間属性とな?

基本上位10属性にはないまさかの系統外属性であった。



空間属性とはその名の通り空間を司る属性である。

把握できる空間の範囲は術者の力量次第。

亜空間に物をしまう、いわゆるアイテムボックスを使えたり、ダンジョンの道順なども把握できる。


それで極め付けは瞬間転移、長距離転移。まあ呼び方はなんでもいいがテレポートも使えるようになる、と言う事だ。


そんな感じで冒険者の1パーティーに空間属性魔術師1人いたらいいのにな、といった冒険者にとっては喉から手が出るほど欲しい能力だそう。


話を聞くだけで夢が広がる、広がる。

早く修行したい!



「いい属性だな、ベル。ただでさえ系統外属性持ちは珍しいのにさらに他の属性も持っているとは」

「系統外属性持ちはその属性しか使えないって事が多いんだけどねぇ」

「ああ、冒険者として素晴らしいんだが・・・」



えっ、問題があるの?

ぶっちゃけ聞くかぎり、なんの問題もなさそうなんだけどな。

もしかしてすごく燃費が悪くて、俺の魔力が足りないパターンか?



「空間属性はすっごく珍しいのもそうなんだけど、その特性上ね。いろんな所から勧誘とか凄いのよ。酷い所だと命を狙われたりするからね」


勧誘は分かるが、命を狙われる?


ああ、そうか。

貴族とか王様とかそういう人種にとっては恐ろしいだろう。

いくら警備が厳重な所でもそれを無視して転移できる。

冒険者など信用できん!ってタイプの人物からすれば暗殺者と同じかそれ以上に恐ろしいのだろう。


勇者になれ、従えと言われ断ったら大して長生きもしないで殺された。

なんて過去を持つ身としては命は大切にしたい。

命狙われるのは勘弁願いたい。


「安心しろ。そういった脅威が来ても襲ってきても大丈夫な様に鍛えてやるからな!」

「そういう事よ。剣はヴァン、雷は私が教えて鍛えてあげる」


なんとも頼もしいし、ありがたい事だ。


「ただ俺たちは空間属性は使えねぇ。助言はしてやれるかもしれないが、そこはベル。お前さんが自力で鍛えるしかないな」


そういう事なら頑張りどころだろう。

もとより色々やってみるつもりだったので、楽しみつつ修行できる。


「それに魔力の容量は私が見た感じ結構・・・いえ、かなり多いのよね。流石に私よりは少ないけども、子供の頃のヴァンよりは多いわね」


そんな多いの?俺の魔力量。

と言っても師匠の魔力量とか分からないのだが。


「マジかよ!?シェータの目なら間違いなら間違いないだろうけどすげえな」


ヴァン師匠もこんな感じで驚いているし、凄い事なのかな?


「ベル、今まで魔術を使った事はある?」


首を横に振る。


「魔力量ってのは本人の才能、つまりは生まれつき魂に備わっていると考えられてる。使い切ると気絶するのは魔力が魂にとっての体力みたいなもんだからな」


体力は鍛えてない人の中でも個人差が大きいからね。


「あんまり無理しすぎると死んじまうから気をつけろよ?」


気力を振り絞れば命を削って魔力を出す事が出来るようだ。


「魔力は回復した時に少し増えるんだ。それも精々20歳くらいまででそこからは打ち止めだな、大体は。ま、それにも限度があるけどな」


魔力を使い切ると増やせる、か。

体力も鍛えれば上がっていくし、人間の身体のピークは20代半ばで、そこからは徐々に衰えていくとも聞いたことがある。

そう考えると魔力は魂の体力って説は説得力があるな。



そう考えると俺の魔力が多いのは生まれつきか、鍛えた結果なわけだが。


でも今まで魔術なんて・・・



あっ。



心当たりがあった。

前世のあの牢屋での暇つぶしの作業のせいだ。


魔力が吸われ続ける牢屋で、あまりにも暇すぎて、魔力を放出しようとトライアンドエラーで色々試し、魔力を出せるようになって喜んだのもつかの間。

その場で立ってもいられないような疲労感に襲われ意識が暗転。

その日以降も作業を続けて、出した魔力を片っ端から吸い取られ気絶しまくった2年間。


日に日に気絶するまでのタイムが伸びてたのはそういう事だったのか。

俺は意図せずにあの牢屋の中で無茶苦茶ハードなトレーニングをしていたようだ。

普通気絶するまで毎日身体を苛め抜く人はあまりいないだろう、多分。


高校の友達で3度の飯より筋トレ大好き、趣味はトライアスロンって輩がいたせいでいないとは言い切れない。

そいつは筋肉が恋人って言ってたし、そんな風に身体を苛め抜くのが好きな人もいるからな。


とここまで考えて、俺の場合は?と思う。

魂に備わっているのが魔力なら、前世から引き継げたのもありえない話ではない、のか?


まあ


「私はまだ伸びてるのよ。凄いでしょ」

「シェータみたいな例外もいるけどな。それにしてもベルのは才能か。鍛えれば化けるな!」

「私たちの弟子ならそれくらいじゃないとね!私も頑張らないと!」


気合いを入れるシェータ師匠。

俺も頑張らねば。


「しっかし、お前さんも大概だよな。今年でもう、はt・・・」


そこまでヴァン師匠が言った所で・・・


突然シェータ師匠の姿がブレた。

そしてそのシェータ師匠が、顎に左手で掌底を喰らわしてヴァン師匠がの体が浮いた。



えっ、なに?

どうなってんの?


そんな混乱を他所にこちらを向き、とてもいい笑顔でシェータ師匠が言う。


「ちょっとした実践なんだけども雷属性を、相手に直接食らわせるみたいな事もできるわ。今みたいにね」


突然の魔術講座。

魔力量の話から急に変わった事に戸惑うしかない。

あ、あの今ヴァン師匠なんか言いかけてましたよ?


そう指摘すると、今度はヴァン師匠が飛んで方向を向き。


「気のせいよ。他にも使い方としては後は雷はとても速いからね。こんな風にもっ!」


そう言って先ほどまでに腕にまとっていた、雷を空中に待機させる。

そしてゴロゴロという音を立て、その雷を未だ空中にあるヴァン師匠の亡骸(死んでない)に雷を当てまくるシェータ師匠。


ってかこの音ってがするって、まさか落雷と同レベルなの?

落雷の電圧って確か1億〜10億Vだよな。

ま、まあ電圧高くても電流が強くなければ大丈夫な時もあるって誰かが言ってたし。


でも何発も食らってんだよな・・・


生きてるのかな、ヴァン師匠。


「と、追い討ち攻撃もできるわ。参考になった?」


頷く、それはもう全力で。

雷属性の使い方の他にシェータ師匠を怒らせてはいけない事も分かった。


ヴァン師匠の言いいかけた「はt・・・」は二十歳の事だろう。

80とか言おうとしたのではなく、きっと途中で噛んだんだ。

シェータ師匠の掌底食らったからだろうし。

うん、そういう事にしておこう。


二十歳という言い回しがこの世界にあるのか?なんて疑問は持ってはいけない。



とりあえずヴァン師匠の冥福を祈る。

合掌。

頭の中でチーンと音を鳴らす。


「おいおい、まだ死んでねぇよ。ひでぇな全く」

「化けてでた!?」

「アンデットでもねぇよ!?」

「ねぇ、塩持ってるシェータ師匠?」

「塩?持ってないわよ?塩がアンデットに効くなんて話あったかしら?効くのは光と火よ」


おふざけは置いといて。


「ヴァン師匠、大丈夫?って聞こうと思ったけど無傷って凄いね」


ぶっ飛ばされて空中にいる間に、何発も雷の追撃を受けてたんだけど。


雷食らっても生きてる人はいるだろうが、無傷な人は少なくとも地球にはいないだろう。



あの攻撃を息も荒げずする方も、食らって無傷な方も凄い。

2人ともとんでもない。


いや、案外冒険者ってのはある一定レベルに達するとこんなもなのだろうか?


「いやな?俺が口滑らせかけたのが悪いし、制裁受けるのも仕方ないとは思うが」


何がまずかったのかは理解している様である。


「俺も何もしないでさっきのを受けたら流石にちときついからな?」

「まあ、反省している様だし良しとするわ」

「お前さんの折檻は命に関わるから、少し手加減をだな・・・」

「あら、あの程度なら問題ないでしょ?」


あの攻撃を「あの程度」って。

それとヴァン師匠は何もしないで受けてもちょっときついだけなのか。

俺には理解できない次元である。


「何他人事みたいな顔してるんだよ、ベル。あの程度なら余裕で捌ける様にお前さんの事鍛えるんだからな?」


えっ?


「雷の追撃に合わせてさらに攻撃を食らわすくらいしないとね。ベルの場合は剣か雷、もしくは両方使ってね」


えっ・・・?


どうやら俺は人間を止める事になりそうだ。

俺は人間を止めるぞ!


ベルの魔力量の多さは、幼少期の研鑽によるものではなく、前世の暇つぶしの副産物という形になりました。



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