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第9話 王都到着

少し間が空きましたが投稿です。

理由は後書きで。


今回第三者目線が途中から入ります。


セラと共に王都を目指す事、早数日。

ようやく王都の壁が見えてきた。


この距離なら身体強化+雷魔術・・・

名前がないのもなんなので「雷化でいいや」、と安直なネーミングになった技を使えばすぐなのだがセラの意見により却下。


なんでも「道中を楽しむのも、旅の醍醐味」だそうで。


旅じゃなくね?とか、楽しむも何も王都まで村とかないよな?とか、疑問に思ったものの結局はセラの意見に従うことになった。


ちなみに道中はもちろん野宿。

道具一式は亜空間にしまってあるし、親父(ヴァン師匠)の修行で何度も経験があるからそれ自体はいい。


「魔獣が来たらいつでも対処できるように」


とセラが言い、まあ母さん(シェータ師匠)直伝の魔術で隠蔽しているとは言え油断は良くないよな、と同じテントで寝ることにしたのは納得した。


しかし果たして一緒の寝袋に入る必要があったのだろうか?


ちゃんと2つ用意したのに、野宿初日の夜中に「寒い」などと言い入って来たのだ。


セラさん、今春だからそんなに夜は寒くないでしょ!?

一緒の寝袋入ったら動き難いから!

油断は良くないって一緒のテントにした意味がなくなるから!


そう抗議した所で聞き入れてもらえず、そのまま寝息を立て寝始めてしまったのだ。


しかもしっかり抱き枕(俺)な状態なので脱出もままならない。


柔らかいやらいい匂いやらで、危うくテントの中に魔獣(俺)が現れる所だった。


ここは野外、ここは野外、ここは野外・・・

セラは妹みたいな存在だ、手出し良くない。


と呪文のように頭で唱え続け事なきを得た。

こうして初日を乗り越えた俺に賞賛を褒めてあげたいし、到着するまで耐え切った俺に誰か「今年もっとも紳士な男〜10代の部〜」を授与してくれないかと思う。



ここで冒頭に戻るが王都である。

近くとよりその城壁の巨大さに圧倒される。

高さ的には30mほどだろうか?

それが都市一つを覆っているのだ。


重機も無いのによくこんな壁作れたよな、と思ったが考えてみれば、この世界には魔術があるのだ。

下手したら重機より便利かもしれない。


俺は前世でもっと大きい建築物を見ていたからそこまで驚かなかったが、セラは初めて見る巨大建造物に圧倒されていた。


「ベル、この壁凄いね」

「だな。これくらい大きければ下手な魔獣の攻撃くらいじゃビクともしなさそうだ」

「うん。しかもこの壁、かなり魔術で強化されてるね。空気中の魔力と魔力の供給も合わせて術の起点に送ってる。都市の中心に全部集めてから王都内の6箇所でそれを術に変換してるみたい」


ほほう、流石だな。


「へぇ、凄いなセラは。もうそこまで分かったのか」

「それが分からないと壊す時に苦労するから」

「物騒な事を言うのやめなさい」

「冗談。でもお母さんが使ってる魔術の方が複雑だし、ベルも分かるでしょ?」

「そりゃあ母さんのは複雑だからなぁ・・・」

「ん。でも褒められるのは嫌じゃないから褒めて」


犬の耳と尻尾が見えた気がした。

頭を撫でると尻尾が左右に振られている、俺の頭の中でだが。

しばらく撫でた後、ふと思い出した事があった。


「このまま王都に入るけど大丈夫?」

「?どうして?」


首をかしげる仕草も犬っぽかった。


「いやな?最初に俺たちが会った時、街に行くの嫌そうにしてたじゃないか」

「それはあの盗賊たちが、貴族に私を売るって言ってたから。街に行ったらそういう人たちがいるのかもって思ってたの。今は私も狙われてないし問題ない」


なるほどな。

商国を根城にしてる盗賊が高く奴隷売れそうな相手として貴族を選んだわけな。


「そっか、でもセラは美人だから新たに変なのが湧いてきそうだな・・・」

「・・・そうかな?」

「おう。まぁ俺がそんな奴ら許さないからな」

「もしそんな事があったら、ベルが助けてくれる?」

「?何言ってるんだ?セラを助けないなんて選択肢は無いぞ?」


見捨てるなんてするわけないだろうに。


「だから学院で変なのに絡まれて、困ったら言えよ?」

「うん、分かった。ベルも気を付けて」

「?分からないけど分かった」


俺が絡まれるって?

いやいや、俺男だし。

ホモ貴族とかいるんだろうか?

・・・やだなぁ


「っとそろそろ門に着くぞ」

「ん、受け答えは任せた」

「丸投げすんなよ・・・まあいいけど」


フードで顔を隠すセラ。


俺だって師匠たち以外の人間と話すのは久しぶりなのに。

道中人には一度も会わなかったからな!

ついでに魔獣にもあまり遭遇しなかったが。



王都ってくらいだしひっきりなしに人が出入りしそうな気もするんだが。

なのに何故か俺たち以外に王都に入ろうとする人がいない。

偶然だろうか?


門に到着すると、門番が俺たちを引き止めた。


「止まれ!」


言われた通りに止まる。

久しぶりに他人の声を聞いたな。


「見た所15歳かそこらに見えるな、何者だ?何用で王都に入るのだ?」

「私はベルクス、こちらはセラリス。本日は王立高等学院に入学と、王都での新生活を始めるためにやって来ました」

「なるほどな。親はどこにいる?」

「両親は家にいますが?」

「ならば護衛は?」

「いえ、居ませんが?」


こちらを怪訝そうに見る門兵。


「そちらの顔を隠している者はなんだ?やましい事がないなら顔を見せろ」


そうなりますよね・・・

仕方ないか。


セラがフードを取った途端、金糸のような髪が外に飛び出て一気に広がる。

先ほどまで隠されていた美貌が露わになり、その神秘的とも言える紫の瞳が衛兵たちを見渡す。

そしてそのグロスも付けていないはずなのに艶やかな唇が、いつまでも聞いていたいと思ってしまうような心地の良い声で言葉を紡ぐ。


「これでいい?」


そうしてセラが質問を投げかけるが男たちは答えない。

否、答えられない。

魂が抜かれたように動きを止めている。


あーあ、やっぱりな・・・

セラの美少女っぷりはもはや凶器だ。

一緒に暮らして来た俺ですら未だに見惚れる事があるのだ。

初対面じゃ、動きくらい固まるわな。


もう1度セラが同じ質問を投げかけるとようやく再起動を果たす。


おっ、中々早い復活だ。

やるじゃないか。


「た、確かに確認した。少し失礼する」


そこで何やらもう1人の門番と、ヒソヒソと会話をしはじめた。

なんか相談だろうか?


5分ほど待って、ある程度話が纏まったのか質問が再開される。


「何か証明する様なものはありますか?」


何故急に言葉遣いが?

そう思いつつも紹介状を見せる。


「・・・確かに王立学院の紹介状ですね。先ほどは引き止めてしまい申し訳ございませんでした」

「いや、それが仕事だって分かってますから。それと言葉遣いは普通でいいですよ?」

「そんな事は・・・い、いや分かりま・・・分かった」

「それで一つ訪ねたいことがあるのですが、いいですか?」

「いいぞ」

「ここら辺でちょうどいい宿屋ってありますかね?」


夕方とは言えないような時間だが、王立高等学院に顔出すのは明日にしようと思う。

身なりとか整えてからの方がいいと思うし。


すると少し考えてから答えてくれた。


『風水の羽衣』という宿までの道と学院までの道のりまで聞くことができたので充分だろう。


「では、色々とありがとうございました。そろそろ行きますね」

「ありがとう」

「いえ、仕事なんで。では良い学院生活を」


そうして門番に別れを告げる。

門を抜けようやく王都の中に入ることができた。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「すげぇ緊張した・・・」

「お前は後ろで立ってただけだろ?直接やりとりしてた俺の身にもなれよ・・・」

「そりゃあそうか。俺としては矢面に立たなくて良かったってところだが。ご苦労さん」


そうやって肩を叩かれる。

ため息とともに先ほどの少年と少女のことを思い返す。


王都には4つの門があり俺たちが配属されているのが北門。


一応は門として設けられていたとしても、北門はあまり使われない。

色々と理由はあるが魔獣も多く、冒険者としても素材として得られるものが少ない故に敬遠されがちだ。

しかも北には大きな山脈がある。

そこには村は無いし、隣国から王国に来るならば少し迂回すれば東門へ通じる道がある。

基本的に商人などは多少遠回りしたとしても東門へ向かう。

故に北門の門番の仕事は基本的に、王都からあまりよろしくない理由で抜け出そうとする輩を捕まえることなどとなっている。

また、お忍びで出かけたり、王都に入る貴族、王族の出入り口ともなっている。

多少危険と面倒さはあったとしても、ある程度の実力のある護衛を連れていれば、人通りの多い他の3つの門を使うより何かと都合がいい。


先ほどの2人の容姿といい言葉使いといい、明らかに学が無い者ではないのに、王都のことを知らないとなると・・・


「あの2人は何処の貴族様なのかね?」

「ま、身分を隠している以上何かしら理由があんだろ?」

「そりゃあ態々北門を通って来るくらいだからな」

「案外よその国の王女様とかだったりしてな」

「ありえるな、あの美貌だし」

「正直、今思い出すだけで惚けちまいそうだよ」

「諦めろ、お前の顔じゃ無理だ」

「ひでぇな!?そういう意味じゃねえよ!」

「それにあの銀髪の少年がいるから手を出そうとしたら殺されんぞ?ありゃすげぇ鍛えてるし、護衛を1人で任されるって事は相当の実力者なんじゃ無いか?」

「実力者で、貴族のお付きで、その上容姿端麗とか世の中理不尽だな・・・」

「ま、俺たちが知らないだけで途中までは護衛付き。護衛は別の門から入るか引き返すかして、中に引き継ぎ担当が待ってるのかもしれないな」

「ありえるな、それ。どちらにせよ俺たちは俺たちの仕事をしたんだ。文句言われる筋合いないだろ」

「・・・だからお前は立ってただけだろ。今度なんか奢れ」

「チッ、仕方ねえなぁ。酒の一杯くらい奢ってやるよ」

「言ったな?言質は取ったぞ?じゃあエルフ産の50年ものの特選ワインをだな」

「巫山戯んな!俺の給料何ヶ月分飛ばす気だ!?」

「半年分くらいか?」

「テメェ!そりゃボトル1本分の値段じゃねえか!!」

「ボトル1本は俺の一杯だ!」

「うるせぇ!酒飲みめ!絶対に無理だからな」

「仕方ない。ならドワーフの・・・」

「それも却下だ!」


いつもと同じようなちょっとした冗談を交えた会話をし、先ほどの2人の事を思い浮かべつつ俺たちは仕事に戻った。


風邪をひいて寝込み、治りかけのところで病院でインフルをもらい死にかけてました。


読者の皆さんも病気には気をつけてください。

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