プロローグ
はじめまして、夢樹 幻です。
誤字、脱字などなど多々あるかもしれませんが、読んでもらえれば嬉しいです。
俺が地球にいた頃、何かしらの武術を習っていたなんて事はない。
平均よりも体格がよい、同年代の喧嘩程度であれば少し強い、そんな程度の男だったはずだ。
そんな明らかに戦いなんてものに向いている訳がない俺は、高校2年生の夏、突然になんの前触れもなく、異世界エンシェルトに呼び出された。
勇者召喚を行った国の名はバルザール帝国。
人類の敵である魔王の脅威を退けるために、異世界にいる人間を勇者として召喚した。
勇者として召喚されたのが俺だ、と説明を受けた。
皇帝は言った。
勇者として魔王を倒してくれ、と。
いきなり呼び出されて、何故命を懸けてまでこの世界を救わなければいけないのか?
俺にはなんの義務も義理もない。
本当に何様のつもりだよって言ってやりたい。
そういえば皇帝様でしたね・・・
俺じゃなくてもまず断るだろう。
だって面倒…、じゃなくて胡散臭いし。
ファンタジーな世界に興味がないと言えば嘘になるけどさ。
俺の答えは決まっている。
「だが断る!」
いや〜、友達同士のおふざけではなくこのセリフをリアルで言うことができるとは感慨深い。
これで思い残すことは何もない。
さあ今すぐに地球に帰してくれ。
ところで地球との時間の流れ方の差とかどうなっているのだろう?
もし戻ったら何年もたってるとかあったら嫌だな・・・
レンタルDVDの延滞料金が怖い。
もちろん学校関連とかも怖い。
とりあえず金銭的問題もあるので、早く帰りたい。
そしたら皇帝がこう言ったんだ。
「その帰還の方法は魔王を倒さねば手に入らない」
嘘くさい。
ってか都合良すぎだろ。
例えその妄言を信じたとするよ?
魔王を倒したら帰還の○○みたいなアイテムでも落ちると?
ドロップ率0.01%とかだったら運営にバランス改善の抗議メールを送るぞ。
この場合の運営は神様になるのかね。
いるのかどうかは知らないけど。
そんな内心が顔にでていたのだろう。
俺の表情を見て別の勧誘方法をとる皇帝様。
今度は「褒美があるぞ」だとか「英雄になれるぞ」など言われ説得された。
俺の意思は固いのだ。
それはもうあまりにも固いので、釘を打てるとかいう意味の分からない強度のある某アイス並に固いのだ。
実はちょっとグラついたけど。
いや、まあね?
言い方はどうあれ「女にモテるぞ」ってニュアンスの事を言われてさ?
なんて言われて全く心が揺らがないのは、好みのタイプが非常に偏っている奴、既に心に決めた人がいる一途な奴くらいだろう。
後はホモとか。
昔、普通に友達だと思ってた奴(男)に告白されたのは焦ったな…
出来れば僕と関係のないところで幸せになって下さい!
とまあ話は逸れたがこれも明らかに懐柔策の一つだろう。
俺とて男だし、かわいい子は大好きだ。
それでも地雷原に全力で突っ込むほどバカではないのだ。
心の中で俺を染めたければ、その3倍は持ってくるんだな!と叫ぶ。
3倍持ってこられたら懐柔されちゃう時点で意志が弱い気もするが。
協力的とは言えない俺の態度に業を煮やしたのか、国王は俺を牢屋に閉じ込めた。
しかも魔力を吸う素材でできた特別性の。
おかげで魔術も使えなかった。
すぐに帰れそうにないので折角だし使ってみたかったんだけどな。
どうやら俺は次の勇者を召喚するまでの間の補欠というか念のために生かされていたみたいだ。
そして時がたち、3食昼寝付き家賃光熱費なし(強いて言うなら家賃は魔力)、日当たり最悪、隣人(ネズミ、虫etc)という長い牢屋生活は、次の勇者が召喚された事で終わりを告げた。
牢から出され連れていかれた場所には、新しい勇者の姿は見当たらなかった。
どこか別の場所にいたのだろう。
そして皇帝の前に連れ出された。
俺の横には剣を持つ兵士が2人。
入り口は完全に塞がれている。
鎖にも繋がれている。
「さあ、これが最後の機会だ。我が国に忠誠を誓え」
「だが断る!」
正直、死にたくはないけど、こんな国に忠誠を誓うよりマシだ。
あー、俺のせいで新しい勇者が働かされるんだろうな。
ごめん、顔も知らない勇者よ。
後悔はない。
「そうか、ならば死ね」
と皇帝が言い放ち、横にいた兵士が剣を振り下ろす。
そこで俺の記憶は途切れている。
ん?
なんで俺が生きてるのかって?
話はそこで終わりだろう?
もうちょっとだけ続くんじゃ。
俺は間違いなくあの場で死んだのだろう。
これはいわゆる前世の記憶って奴だ。
今の俺、ベルクスはこの異世界エンシェルトにて転生したようだ。
ここで俺の現状を説明したいと思う。
現在の俺は7歳。
見た目は銀髪と蒼眼。
3歳の時に両親を亡くし、父方の祖母に育てられる。
そんな祖母も今年老衰のため死去。
7歳の俺を引き取る親戚などもおらず、村で行商が来た際に同行して、都市の方にある孤児院に行く事に決定され、今から行く予定だったのだ。
予定だったとは、行商に同行最中に魔獣に襲われたからだ。
護衛もいたが全滅。
そして今、最後の生き残りである俺を、ウォーウルフと呼ばれる魔獣が襲おうとしているところだ。
・・・うん、走馬灯って奴だね。
勢いで前世まで思い出したよ。
第二の人生もここで終わりか・・・
次はどこか優しい家庭の犬にでも転生したい。
そんな風に半分諦めていた俺を襲おうとしていたウォーウルフがものすごい勢いで吹き飛ばされ星になった。
なにごとだ!?
呆気にとられる俺の前に・・・
「おい、坊主怪我はないか?」
2mを超えるであろう長身。
赤髪紅眼。
顔に刻まれた傷が特徴的な顔。
並の者が持つ事すら叶わそうな剣を担いだ大男が現れた。
助けてくれてありがとう。
お礼を言いたかったが、今の俺は7歳児。
命の危機が去ったのが分かった途端、張り詰めていた緊張感が解け意識が遠のいた。
リアル多忙の為、ちまちまと電車内で書いております。
ステータスの要素を出すか検討中。