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1.ソラト、強奪予定?

ロボットもの初登校。オリジナルなこの小説ですが、文章が拙いので読みにくいかもしれませんがよろしくお願いします。

ブラックスミスのニトロハーツ

 ジド。この世界に溢れる異形。彼らの見た目は怪物だが、人間の姿をとったり怪物の状態で人語を話すなどから、高等な生物ではないかとも示唆される。彼らは人間を喰うために襲う。その理由は、未だに改名されてはいない。

 青月第一大学。別に第二、第三はない。ここでは主にソラトや機械工学などを専門とする科目が多く、ハッキングサークルの面々もそこに所属している。

 ハッキングサークルとは、青月第一大学のサークルである。名前に意味はなく、ただゲームをしたり、簡単なソラトのプログラムを組んだりするサークルだ。似たようなサークルがあるが、基本的にはだべり専門のサークルなため、ソラトのことを学ぶ学生らはこのサークルに訪れたりはしない。

 ソラト――正式名称「空都空翔人型兵器」。人の姿をした兵器であり、ジドに対抗するため制作された。その名の由来は、ソラトを造り上げた天才「折村空都おりむらそらと」の名前から命名された。

「昂平、今何つった?」

 ハッキングサークル部室内。ホワイトボードには大きく『ソラトつくるよ!』と書かれているが、

「だからさ、言ったろ?」

 夕宮宙人ゆうみやひろと嗣永昂平つぐながこうへいに聞いた。一応、確認だ。

 宙人は大学で「クズ宮」、「爽やか系クズ」と言われるほど性格が悪いが、ハッキングサークルの面々んに比べればましな方だ。

「ソラト作ろうぜって話」

「……マジで?」

「昂平がそーゆー性格だってわかってんのに聞くなよ」

 春原真紅はるばらとうまがはっきりと言い放つ。透真は「月刊ガラクタ」から目を離さない。双子の弟・真紅も同じ意見だというようにゲーム機を離さないまま、うんうんと頷いていた。

「なら真紅はどうなんだよ」

「諦めてる」

「……ソーデスカ」

 その目は既に死んでいた。宙人は知る由もないが、宙人が入室する前から昂平のソラトつくる宣言にうんざりしていたらしい。

「だいたい、ジドに勝てるソラトなんて俺らに作れるわけねーって」

「そうでもない」

 透真が端末のメールフォームを開く。そこには『ソラト搬入のお知らせ』とあった。よくお知らせメールを読むと、欠陥品であるため大学に譲渡されたとある。……欠陥品? なるほど、初期起動の際データが初期化され停止してしまうから。透真や真紅ならどうにかなるかもしれない。

「は?」

「えー、大学にソラトが資料として運ばれています」

「そのソラトを」

「盗みます」

「いや、ダメだろ」

 昂平、透真、真紅のノリが一つになった。

「もー、今回ノリ悪いなあ、宙人は。天下のクズ、クズ宮だろ」

「いやさ、今朝、じゃんけんしたろ」

 思い出すのは朝の講義。昂平が意味もなく「じゃんけんしよう」と言い、じゃんけんをしたのだが。

「した」

「俺負けたじゃん」

「うん、そーね」

 珍しく宙人が最初に負けた。唐突なことやアクシデントには弱い男である。

「俺が犠牲になるじゃねーか!」

「大丈夫だって、お前だし死にはしないだろ」

「俺は今お前らに殺されそうだよ」

「じゃあ明日の早朝4時に集合な」

 このまま逃げられればいいのだが、時間通りに来なければ3人は襲撃に来るのは間違いない。宙人は深いため息をついた。

 そのままサークルは終わり、帰り道。

「あ?」

 道の途中に、橙色の髪の少年が立っていた。

「宙人……?」

「そ、そうだけど」

 思わず返事をしてしまうが、目の前の少年に会ったことはないはず。だというのに、何故名前を知っているのだろうか。

「ソラトって知ってる?」

「ああ。人型兵器のことだろ」

「そう。……でも、それだけじゃない」

 うつむきがちに少年が言う。その青い瞳には悲哀の色が見てとれた。

「ジドの命からコアを奪い、そのコアを解析して動力にしたのがソラト。初めてジドのコアを摘出しソラトを造り上げた折村空都。日本がソラトの保有率が高いのは、折村の出身国だから――じゃない。軍の中に、ジドがいる」

 目の前の少年はそれを見てきたように話す。ぽつりと語られる言葉を宙人は集中して聞いていた。

「――ジドが?」

「そう。ジドが軍にいて、同胞を見捨てた。なまじ、人間の姿をとるから人間のようになる」

 その時、宙人は見てしまった。少年の手に緋色の鱗があるのを。

「そんな話。今日はこれでお終い」

 少年はそれに気づくと話を切り上げる。

「また、話そうね」

「なあ、なんで俺にそんなこと教えてくれるんだ?」

「宙人が、ソラトに乗るって聞いたから」

 それを知っているのはハッキングサークルの面々のみ。何故、この少年が知っているのだろうか。名前のことといい、ソラトのことといい何故こんなにも知っているのだろうか。

「宙人のことは知ってるよ。子供のときから知ってる。けど、話をするのは楽しかった。空で待ってる」

「――!? おい!」

 小さな呟きと共に、少年の姿が変貌した。緋色の鱗に覆われたその姿はまるでドラゴンのように見えた。翼を広げゆっくりとソラに浮遊し、夕闇へと消えた。

「なんだったんだよ、今の……」

『空で待ってる』

 先ほどの少年の言葉。名前もわからないし、おそらく彼はジドなのだろう。けれど、宙人の頭から、しばらくその言葉は離れなかった。

「帰るか」

 思い出したように宙人は歩き出す。もう太陽は沈んでしまった。早く帰って寝なくては、明日面倒だ。

「……ソラト、か」

 アパートの部屋に着いた宙人は、カバンを投げ捨て敷いたままの布団に倒れ込んだ。隣の壁がどんどんと叩かれたが、気にしない。

「俺がやるべきじゃねーだろ。なあーー」

 思い出すのは子供の頃、遊んでくれた近所の年上の少年。あの少年は立派な青年へと成長し、英雄としてその名を刻んだ。

「……?」

 気が付くと、なにもない空間にいた。どうやら眠ってしまったらしい。ということは、ここは夢の中か。

「宙人」

 目の前に、兄と慕う男が立っていた。淡い茶髪、オリーブ色の瞳。たしか母親がポルトガル人だと言っていたっけ。軍帽をおろし、大事そうに抱えている。

 宙人はただ、その青年を見ていた。兄と慕った人は、自分のせいで死んだ。恨まれるのは当然だし、許されるはずがない。ソラトにだって、本当は乗りたくない。死ぬことが怖い、誰かのために死にたくない、世界のために戦いたくない。これは、夢だ。また、過ちを繰り返す。

「宙人、自分のやりたいことをやりなさい。それは、兄さんにはできないことなのだから。お前は、兄さんの弟だよ」

「ーーっ」

 兄は――確かにそう言い、微笑んだ。都合のいい夢だ、自分の中の兄にしか過ぎない。だというのに、宙人も笑った。

 ああ、そうだ。たとえ夢でも、兄の声は本当だ。だってそれは、死ぬ前に彼が言いかけた言葉なのだから。

「ありがとう、兄さん」

 いつも自分といるときは、一人称が兄さんだった。自分を弟と言ってくれた。

「ああ言われたら、やるしかねえだろ」

 もう目は覚めていたが、伸ばした手を握りしめる。

 そうだ。誰のためでもない、自分のためにやろう。きっと4人ならなんとかなる。……たぶん。

始まりました……。あまり主人公がクズしてない……。次回はソラト、盗みに行くです。

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