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第2部  目標

第二部 『目標』


①挑発②不意討ち③DOGEZA 

和崎はこの三つの選択肢が迫られていた。

(①はないな。うん。しかし、②、③はなーー(  TДT))


「ちっ、さっきからコイツ全然かかってこねーなぁ?ヨユーこいてんのか?」


もうここまで来ると、和崎は半ばやけになり第四の選択肢、「神頼み」にかけた。


「ふっ、なぁーに?たった5人ポッちでオレをやろーってわけー??」

(よし!今のは決まった!効いたか?)


「やロぉ…ブッ殺す!」


(Oh my god。こうなったら、こういうときのためにとっておいたあの策だ!)


和崎はどうしようも無くなったとき発動しようと50分(授業1回分)かけて練った策を発した!


「いいのか?オレは、佐藤さんしってるぞ?」(あー、やっぱこれ無理あったなー(-.-))


「さ、佐藤さん!?」

「佐藤さんってあの!?」

「嘘だろおい、ヤッパコイツやべーって!!」


周囲のヤンキーは完全に圧倒されていた。それは、和崎のこれまでの噂が先行している部分が多少なりとも働いていることもあるが、大きな要因としては、彼の容姿に伴い、「コイツは強い」思わせる何かがあることであった。


(えっ、マジかこの人たち。今ので震え上がるなんて…佐藤なんて、どこにもいるのに。偏差値低いなこの人。)


「ちっ、おい!香川さん呼んでこい!!」


「うぃっす!!」


そう言って一人のチンピラが走り去った。

和崎はただただこの状況を静観するばかりだった。

 




そのころ、赤宮は次の目的地を校舎裏に定めてた。


(ったく。見たくねーもん見せつけやがって。不細工カップルが!)


彼は、怒りヴォルテージはかなり高くなっていたが、それでも表情を毅然としたままにできるのは、長年の猫かぶり経験のなせる業であった。

そんなことを思っている中、向かい側から不良が走ってきてた。


(この学校意外に荒れてるのか?)


そんなことを思いながらも赤宮は校舎裏へと足を進めた。





和崎は最早、諦めかけていた。

何故なら、もうすでに残った4人に一発ずつ拳をお見舞いされていたからだ。自分は、一発もやり返せずに。


「剛田さん!コイツ大したことねーですぜ!」

「ヤッパ噂先行なんだよこういう奴は。これで俺も名をあげれるってもんだぜ!?!!」


またもや和崎は一発喰らった。正直、彼にとって、立ってるのが不思議なくらいだが謝りたくなかった。こんな奴に頭を下げたくないという矜持を、少なからず、持ち合わせていた。

しかし、もう限界だった。

これで不良世界と手が切れると思いながらも、悔しい気持ちで一杯だった。

そんな彼の視界にある一人の姿をみた。

赤宮 優

入学生代表の言葉を話した、学年一位の秀才。


「おい、君達。やめろ。」





赤宮は最初、何が起きているか分からなかった。不敗神話を誇る和崎がいかにも三下なチンピラにノサれていたからだ。しかし、暫く様子見をした彼にとって、どちらの味方になろうかは、歴然としていた。


「あぁ!?なんだ、コイツ?」

「コイツ、赤宮っすよ!知ってます!中学校ずっと学年一位のやつっすよ!」

「なんだよ、ただのユウトーセイかよ。」


「フッフフフフ。ハッハッハッハハハ!」

 

「あ?」


赤宮は突然笑いだした。あまりに突然の出来事で、皆、唖然(あぜん)とした。


「さすがに中々シッポを出さないなぁ、和崎!折角お前を退学させる絶好の機会だったのになぁ」


「な、なに!?」


和崎も含め、退学という言葉に皆は反応した。


「この胸ポケットから見えるペンがあるだろう?これは小型のビデオでな、君達の悪行シーンを撮っとこうと思ってたんだけど、流石は和崎君だ。手を出さない。」


チンピラは少し驚きながらも反論した。


「へっ、喧嘩グレーで退学になるかってんだよ!シメるぞオラ!!」


赤宮は動揺することなく言った。


「ああ。これで、君達を退学に出来るとは思ってないさ。しかし、今君の胸ポケットの四角い膨らみを見て、そう難しいことではないと思うよ。」


剛田は、ハッとしたかのようにソレに手を当てた。


「それ、タバコだろう?いい証拠品だ。退学に出来る。」


「お前に何の権利があってだオラ!?」


「僕は、生徒会役員だ。」


「「「「!!!!」」」」


赤宮はチンピラに勢い良く近づきなから叫んだ。


「さあ、その中身を見せろ!!」


「ちっ!!おい!逃げろ!」


そうして、4人のチンピラは逃げ去った。

赤宮は勿論そんな奴らは追いかけず、和崎に声をかけた。


「えっと、大丈夫ですか?」(コイツが噂の和崎か。まあ、生徒間でも有名な奴だし、貸しを作っといて損はないな。)


「ぼ、僕はタバコは持ってないよ!!」


「!?」


「ほ、ほんとだよ!な、何なら持ち物検査していいからさ!」


赤宮は予想していた反応とまるっきり反対の様子を見て、戸惑いを感じた。


(あれ?コイツこんなやっだっけ?)

「大丈夫ですよ。喧嘩したことは、誰にも言いません。(ニコッ)」


「あ、いやそうじゃなくて、ぼ、僕は喧嘩したことなんてないんだ!」


「えっ」


赤宮は半信半疑だったが、彼の言ってくることはどこかしら、真に迫るものがあった。


「僕って見た目がすごい不良っぽいでしょ?」


(っぽいというか見たまんまヤンキーだ。)


「だから、なにかと、こういうことが多くて。今までは威嚇だけで済んだんだけどなー(笑)」


(マジかよ。アンバリーバボーだな。見た目は修羅場くぐってきた喧嘩マンなのに。)


だが、赤宮は、あまり驚かなかった。何故なら、彼自身も周りに本当の自分というのをさらけ出したことがなかったからだ。


「そのせいで、噂がどんどん膨らんでいってね?いつの間にか友達ができずじまいになったんだ。高校からは、変わろうと思ってたのにな。」


赤宮は思った。和崎は俺に似ている。自分も猫をかぶり続け、優秀であったことからも、輪の中心にはなり得てもその輪に混ざることはできなかった。そして、遂に放課後マックにいくような相手すらもいない状況になっていた。別に悲しくはなかった。しかし、いつも物足りなさを感じながら、帰り道を独りで歩いていた。

こいつになら、見せてもいいのではないか?同じような悩みを持つもの同士として。


赤宮はどかっと腰を下ろした。


「あー、俺も似たようなことあったわ。ほんと困るよな、小さいことを盛っていいふらかす連中は。」


和崎は赤宮の急激な口調の変化に驚いた。


「あ、あれ?なんか口調変わったね?」


「あー、こっちがほんとの俺だ。今までは猫をかぶりしてただけだ。誰にも言うなよ?じゃないと、お前が喧嘩したって言いふらかす。」


「しないよ!ってか、何脅し入れてるんだよ!」


「……」


「……」


「でも、なんだろうな。赤宮君のその態度をみても、あまり違和感ないな。というより、しっくりくる。どおりでさっきみたいたことができたんだね。」


「まあ、あれは我ながら上手くいったと思うよ。お前に貸しを作ろうと思ってやったわけだし。」


「あ、そう(..)」


「ってか、お前めっちゃ強いって噂だけど、喧嘩したことねーのにどう広まったんだよ。」


「あー、それなら、一度僕の中学校に高校生の空手選手か新善試合をしたときに、僕が全員倒したときに広まったのかな?」


「!!?えっ、何?お前強いの?」


「え?スポーツは得意だよ?」


「……中学の時の棒高跳びの記録は?」


「2meter」


(マジかよ!!コイツ!!くっそつえーーじゃないか!!)

「お前、そりゃ噂も広まるわ。」


「なんでだよ!スポーツと喧嘩は別物だろ!?」


(お前の姿を鏡で見ろ!!)


「それより、赤宮君の方がすごいよ。一年にしてもう生徒会に入ってるんだから。」


「ああ、あれ嘘。」


「!?」


「いや、仕方ねぇーだろ。あの場で説得力持たせとくには。」


「そ、そうだね…」(赤宮君、思ったより大胆だね。)


「こんなんだから、誤解されてばかりなんだろーね。」


「……」

「……」


二人は沈黙した。

初めて腹を割って話せた相手ができたことを喜ぶと同時に二人は同じことを考えていた。


こいつとなら、楽しい生活を送れるんじゃないかと。自分のへの物足りなさを満たしてくれる生活が。


「和崎。」


「?」


「お前、俺と一緒に人気者になんない?」


「えっ、赤宮君十分人気者じゃん。」


「いや、スペック高いのが評価されてるだけで、なんか違うんだよ。疎外というか、打ち解けらんねーというか。」


「あっ、それ分かる。僕の弟子たちともそんな感じだった。」


「お前、弟子いんのかよ……」


「彼らがかってに名乗ってるだけだよ!!」


「まあ、いいや。とにかく、この学校の一番の人気者になるんだよ!見た感じ真反対のオレらが組めば、最強だって!!」


「えっ、でも。」


「退屈なんだろ?その生活。」


「!!」


「だったら、やってやろうぜ。水清ければ魚棲まず。きっと今まで俺ら、極端だったんだよ。俺には剽軽(ひょうきん)さが、お前には真面目さが足りなかったんだよ。どっちも兼ね揃えてるように見えるには、この上とない組み合わせじゃね?」


「でも。この身なりを見て、皆仲良くしてくれるのかな?」


「お前の身なりも一つの武器だ。お前のその性格を皆知れば、問題ない。不良がたまに良いことするとメッチャ良い奴に見える、あれだ。」


「赤宮君……」


「どうだ?組まねーか?」


「.....……分かった。やってやろうよ。」


「おう。決まりだな!」


赤宮はすっと立ち上がると、和崎に手を差し出した。二人の表情にはこの日一番、生き生きしていた。和崎が赤宮の手をとり、立ち上がった。


「それと、俺のことは、優と呼んでいいぜ。」


「うん。よろしく優君。」


「ああ、よろしくな、和崎!」


(あっ、君は名前で読んでくれないのね。)


「遅いし、もう帰ろうか。」


「だな。あっ、その前に」



   「マック寄って帰ろうぜ。」

「香川さん!こっちっすよ!って、あれ?誰もいない?」


「おい、何の冗談だ?剛田のやろうはどこだ?和崎は?あぁ!!?」


「ひぃ!」


「こんなに人を走らせやがって……おい、剛田に明日ここに来いと言っとけ。あいつは処刑だ。あと、お前も。覚悟はできてんだろうなぁ?」


数分後、そこには気絶した男1人しか残らなかった。立ち去った男は最後に言った。


   「剛田の後は、和崎だ。」

 

               続く



いかがでしたか?

世界のまっちゃんです。

これから、いよいよ二人の快活劇が始まります。

みなさんも面白いと感じていたたけたのなら、二人を見守ってやってください。

さてさて、香川に対して、二人はどう出る?

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