あえて難しい選択をしてみたが…
5月13日 一話目投稿です。 宜しくお願いします
…選択を終え、自分の目の前を見ると、まだ光球が漂っていた。
[アナタガソノセンタクデ、コウカイヲシマセンヨウニ…。]
…その言葉を残して、光球は消えていった。
…自分はあの選択の瞬間、「ある質問」を光球に尋ねた。 光球は驚いたのか、少し震えるように揺れたが、それに「答えて」くれた。
〔セイコウリツハヒクイケド、アナタガノゾムノナラタメシテミル。 タダシ、ハジメテノココロミダカラ、アナタニドノヨウナエイキョウガデルカワカラナイ。 ソレデモタメス?〕
自分は即座に頷いた。 その際の確認で、光球の方には影響が出るかを聞いたが、其方は全く問題無いとのことだった。
…そして、光球が消えた瞬間、直ぐに体に痛みが走り出す。
…扉が完全に閉まっていて良かった… もし開いていたならば、部屋の外に叫び声が響いていただろうから…。
…実際に折れた訳では無いのだが、体中の骨が折れた様な痛みが走り、その場に倒れ込んでしまう。
痛みにのたうち回りたいのだが、痛みがヒドすぎて動くことすらできない。
…5分 …10分 ……どの位経ったのだろうか… 痛みに1分1秒が永遠に感じる……
…ふと、何処かから声が聞こえた。
「成功しましたよ。 マスター。」
…声が聞こえた瞬間、痛みが嘘のように消えて、立ち上がることができた。
ふらつきながらも声のする方に顔を向けると、
「ふむふむ…精神にも異常は無いですね。 では改めて、宜しくお願いしますね。マスター。」
と、フヨフヨと浮かんでいる妖精が言ってきた。
「そう言えば、君の名前はどうする? 流石に世界さんと同じように、スキルさんと呼ぶわけにもいかないし…」
「私はマスターの妖精ですので、マスターが決めて下さい。」
「む~ん… んじゃ妖精〔フェアリー〕から採って〔フェア〕で。」
「あ…安直… …まぁいいです。 では私の名前は〔フェア〕で。」
……文句があるなら自分で決めたら良いのに…
「マスター。 今何か思いましたか?」
「イヤナニモ?」 …何故バレた?
「私はマスターと精神が繋がっているので、思いが聞こえます。 今の話し方も、其処から学び取ったものです。」
…ゴメンナサイ… もう思いません。
「では、マスターも反省したところで、スキル確認をしましょう。」
…そう、あの時自分は「〔仙術〕のスキルをもっと弱いスキルに置き換えて、妖精とスキルの両方取れないか?」と、無茶な質問をしていた。
結果として、先程の体中の痛みと引き換えに成功したようだが… さて、どんなスキルに変わっているやら…
「まず私の事ですが、完全に成功しましたので、何かの拍子に存在が消滅する等の危険は全くありません。 続いてスキルですが、現在取れる最高のスキルを先程の痛みと引き換えに取得出来ました。」
……エ? アノ痛みって、普通のスキルとかだったら感じなくても良かった?
「はい、そうなります。 ただ、あの痛みに耐えたからこそ、〔符術〕を取得出来ました。」
「何か釈然としないけど… まぁいいや。んでそれってどんなスキル?」
「コレは級に分かれることなく、只そのままのスキルなのですが、倒したモンスター等を〔式符〕…マスターにわかりやすく言うと、式紙にして共に戦えたりできる術です。」
…陰陽師?
「何となく考えていることは分かりますが… コレには幾つか欠点がありまして、1 必ず術師のパーティーが式紙にするモンスターを倒さなければならない。 2 一度使うと、その式紙は無くなる。同じ式紙が使いたければ、同じモンスターを倒して式にしなければならない。 3 式を持てるのは、モンスター1種につき1枚のみ。 4 倒したモンスターにカード位のサイズの紙をくっつけないと式紙にできない。なので、先ずは式紙用のカードを買わなければならない。 …だいたいこれ位ですね。」
め…面倒くさい…
「まぁ、世の中には、その式を集める収集家〔コレクター〕何て言うのもいるみたいですし、いざと言うときの資金繰りに、余裕があれば集めるといった感じでいいと思いますよ?」
「ありがとう。スキルについては分かったよ。 後、念の為にフェアができることを教えてくれる?」
「分かりました。 まず、私の大きさですが、見ての通り基本的に20㎝位です。 空を飛んだり、姿を消したり出来ます。 また、マスターと繋がっているため、睡眠は必要ですが、食事は不要です。 尤も、不要なだけで、食事自体行う事は可能です。 後、魔法スキルですが、私の場合、〔風魔法〕と〔光魔法〕が使用できます。」
はぁ~… 多才だね~…
「うん。 ありがとう。 そちらも理解出来たよ。」
「ではマスター、そろそろ扉が開きますので向かいましょう。 私は見られたら厄介そうですから、姿を消しておきますね?」
「分かったよ。 ああそうそう、フェア」
「はい 何でしょうか?」
「これから宜しくね?」
「はい! こちらこそお願いします、マスター!」
…こうして、2人は笑いながら扉に向かって行った…
如何でしたでしょうか。 楽しんで頂けたなら幸いです。