王様と謁見しますが… 謁見その1
5月12日 投稿です。
「もうまもなく国王が来られます。 そのまま頭を伏せてお待ち下さい。」
自分達5人を此処まで連れてきた兵隊さん達からそう言われ、ここ謁見の間の中央付近にて待つ。
因みに、召喚された部屋に最初にいたという人は、「私も謁見用の準備がありますので失礼します。申し訳ないが後は頼む。」と、前半は自分達に、後半は兵隊さん達に告げて去っていった。
既に周囲には、大臣や貴族だと思われる多くの人達が並び、あからさまに「此方に興味津々です」と言った顔をしながら、王が来るのを待っている。
(どうしよう…。 一応最年長なのに、間違いなく自分が一番ビビってる。)等と、挨拶のこともろくに考えずにプレッシャーに潰されそうになっていると、美月さんが「挨拶は任せて良いですか?」と、冷や汗ものの台詞を投げ込んできた。
他の3人を見てみると、頭を伏せながらも、頷きながら此方を見ている。
「モウドウニデモナレ」「後はフィーリングで何とかなる。」と、半分泣きそうになりながら王を待っていると、大臣らしき人物の1人が「王が入られる!!」と叫び、謁見の間にいる全ての人達が伏せた。
「顔を上げよ。」王の台詞があったので、言われた通り顔を上げ王を見る。
…以外なことに、王は見た目20代後半位でかなり若く、にこやかな笑みを浮かべ此方に歩み寄って来た。
「まずはそなた達の名を聞かせてほしい。」と王が言うので、自分が全員の名を言い、今回の召喚について詳しく聞くことになった。
「私の名はシン。この国の王であり、そなた達を呼び出した者である。 まだ色々解らないことだらけだろうが、まずは此方の話を聞いてほしい。 最初に呼び出した理由だが、我が国の王女である〔アリス〕が「召喚陣があるのだから異世界人に会いたい」と言い出したのが、事の始まりなのだ。」
…ここだけ聞くと本当に理不尽なのだが、王の話はまだ続いていた。
「言っておくが、別の世界から来てもらうのだから、相手側の意志も必要でな。 この召喚陣は〔自分のいる世界が嫌いで、その世界を捨ててでも別の世界に行きたい〕と言う気持ちを持っていなければ、反応しないようになっている。ただ…」
そこで王は、少し言いにくそうに伝えてきた。
「本来召喚陣は4人しか呼び出さない筈なのだが、そなた達は5人。 どうやら1人何らかの要因で此方に来てしまったようだな…。」
此処で他の4人を見ると、周りの反応を伺いながらもビクビクしている。
ならば自分から伝えようと話しかける。
「王様、自分がその1人になります。 自分は彼等が召喚される直前に、直ぐ側にいた為に巻き込まれたのだと思います。」
「ふむ… だとするならば、そなたには詫びるしかあるまい… 誠に申し訳無かった…。」
…驚いた。 国の王が異世界人とはいえ別の国の人間に頭を下げるとは…
「とりあえずだが、そなた達も疲れているだろう。 各々部屋を用意してある。 今日はこのくらいにして、話の続きは明日にしよう。 誰ぞこの者達の部屋に案内を。」
謁見の間の入口からメイドさんが5人入ってきて、それぞれの部屋に案内して貰うことになった。
王様に頭を下げ、メイドさんに着いていく。
部屋に着くまで自分以外誰も喋ろうともしなかった。
それぞれの部屋の前に着くと「お休み…。」の一言だけ喋り、皆部屋に入って行く。
…自分も今日はいっぱいいっぱいだったので、ベッドに倒れこむように寝転がると、そのまま眠ってしまった。
続きもお読み頂けたら嬉しいです。