フェアの災難に続いて…
本日投稿分です。 時間がとれず、一話のみになりますが宜しくお願いします。
女将さんに組合に行くことを告げ、腹ごなしがてらに数分の距離をノンビリ歩く。
昨日の屋台は今日は出て無く、その場所では数人の子供達がチョークの様なもので地面に落書きをしている。
その内の1人の女の子が「あっ、妖精だ!」と叫ぶと、子供達が一斉に振り返り、フェアを見る。
フェアはイヤな予感がしたのか、「マスター。速く行きましょう。」と言うが時遅く、子供達に取り囲まれる。
「妖精さんどこから来たの?」
「ねぇねぇ抱っこしていい?」
「妖精さん捕まえようぜ!」
フェアはオドオドした様子で「あのね。そのー…」等と対応していたが、最後の男の子のセリフに驚いて、子供に捕まらない高さまで浮き上がり組合まで飛んでいってしまう。
「こら。妖精さんも君達みたいに生きてるんだから、驚かせるようなこと言っちゃダメだよ?」と自分が注意するが、捕まえようと言った男の子が
「うるせー。オッサンに関係無いだろ!」と言い返し、他の子を連れどこかに行ってしまう。
…オッサンか…イヤ確かに30過ぎだけど。
…自分的にはまだギリギリオッサンの域に達してないつもりだったので、かなりショックを受ける。
そんな風に黄昏ていると、服の裾をクイクイッと引っ張られる。
下を見ると「妖精さんだ!」と叫んだ女の子で、此方を見上げて「ごめんなさい。」と謝ってくる。
「あのね、あの子も悪い子じゃないの。 初めて妖精さん見たから、きっとビックリして言っちゃっただけなの。 あのね、そのー、妖精さん怒ってない?」
どうやらフェアが気になるようなので、
「大丈夫。君が謝ってたって伝えるよ。 でも、いきなり君達を見た人が捕まえろ!なんて言ったら、君達もビックリするだろう?」
女の子が頷くのを確認して、
「だったら、次に見かけたら普通に声を掛けてあげてほしいな。出来る?」
女の子が再び頷く。
「そうだ、君の名前教えて貰っても良い?」
「わたし? わたしは[アスム]! オジサンと妖精さんの名前は?」
…お…オじサん…
「あー、あのね?[お兄さん]の名前は将明。妖精はフェアだよ。よろしくね?」
自分の中でもかなり良い笑顔で言ったハズなのに、アスムちゃんが引いてしまっている。
…解せない。
「自分達はカシスって宿屋に泊まっているから…(いや、遊びにおいでじゃ変態っぽくないか?)。いや、うん。自分達は組合員だからここをよく通るし、見かけたらフェアに声を掛けてあげて?」
「うん。わかった!」
「後、あの男の子にも、捕まえるとか言わないように注意しといてね?」
「うん。わかった。 それじゃあねー!」
「待たね。」
ふぅ。アスムちゃんも行ったしフェアを探そう。
…確か組合の方に…飛んで…と…
見つけた!防具屋の看板の裏から此方を覗いている。
「フェア~。子供達もう行ったよ~。」と呼ぶと、看板の裏からフェアが出てくる。
「うぅ~…。 マスタ~…。」
「大丈夫。最後に女の子いたろ? あの子にもうヒドい事言わないようにって言っといたから。」
「それにあの子、アスムちゃんって言うんだけど、アスムちゃんフェアと一緒に遊びたそうだったぞ? 次にヒドい事言われない限り、時間に余裕があれば付き合ってあげるといいよ。」
「うぅ~…。 わかりました。」
「まぁ、今は組合に行って依頼を受けよう。依頼が終わって何か屋台でも見つけたら、好きなだけ食べて良いから。」
と、苦笑しながらと提案する。
途端にフェアが元気になって、
「さぁ、行きましょう! マスター!」と組合に飛んでいってしまう。
ふぅ、と軽くため息をついて、後に続いて組合に入ろうとすると、背後から「見つけました!」との声がする。
次は何だ?と振り返ると、昨日助けた少女[フラム]
が息を切らしながら此方に走って来ていた。
此処までお読みいただき、ありがとうございました。




