組合長に会ってみたら…
本日2話目の投稿です。よろしくお願いします。
…組合の建物に入ってみると、中は閑散としている。
受付や、その奥に事務員らしき人が5人ほど居るだけで、所属しているらしい冒険者の格好をした人は、3人位しか見当たらない。
小説等にあるように、横に酒場が併設されてはいなく、せいぜい依頼用の黒板サイズのコルクボードが壁に掛けられていて、依頼が貼り付けてある位だ。
冒険者らしき人達も、コルクボードから依頼をちぎり取り、受付を済ませてさっさと建物から出て行った。
内心、「これなら絡まれずに済む。」と安心していると、受付の人に、「初めての方ですか? 此方にどうぞ。」と声をかけられる。
其方に向かい、「登録をお願いします。 後これ、組合の受付で渡すように言われたんですが…。」と頭を下げ、王様に貰った封筒を渡す。
「はい。では、中を確認させていただきます。」
と、開けずに手を当て、封筒の表面で手を滑らせる様に動かし、何かを確認してから開ける。
「すみません。 今のも何かスキルなんですか?」と聞くと、「はい。 今のは快適魔法の中級、[確認]の魔法です。」と答えてくれる。
いろんな魔法があるんだなぁ…と関心していると、受付の人が読み終えたのか、「これは…。 今組合長を呼んで来ますので、少しお待ち下さい。」と言われる。
「それじゃあ依頼の所を見て待ってます。」と告げ、コルクボードのの方に向かう。
貼られている依頼を見てみると、[~ラクーンの討伐 5匹 銅貨60枚]や[~鉱石採取の護衛 銀貨2枚]、[~草の採取 15本一束 銅貨10枚]、果ては[~ワイバーンの討伐 1匹 金貨1枚]等、様々なものがある。
フェアと、「今の実力でこれは無理」「これなら出来る」小声で話していると、受付の人に呼び出される。
「此方にどうぞ。」と奥に案内され、応接室のような部屋にはいると、30代位の女性が座っている。
「其方に掛けて下さい。」と言われ、対面する位置に座る。
「まずは自己紹介を。 私は[アスル]。 この国の組合の長をしています。」と頭を下げる。
…あぁ、この人出来る人だな…と第一印象から思わせる綺麗な挨拶だ。
「ご丁寧にありがとうございます。 自分は将明と言います。 失礼ですが、封筒の中は何と書かれていたのでしょうか?」と聞いてみると、
「[貴方が召喚に巻き込まれた違う世界の人間で、城から出て生活するために組合に登録する。 何かあった時力になってやってほしい]と書かれています。」と此方にもその用紙を見せてくれる。
…確かにその様に書いてある。 王様には本当に感謝だな…と考えていると、
「私の[目]で確認しましたが、特に問題ありません。 組合としても、登録をして、キチンと依頼さえこなして頂ければ問題ありません。 既に武器や防具も揃えているようですので、受付にて登録を済ませて下さい。」と言われる。
…目?の事が気になったが、「組合長にもなると、いろいろなスキルを持っているんだろう」と何となく納得し、組合長に頭を下げ、部屋を出ようとする。
…そうだ、フェアの事を聞いておこう。後で何か問題になっても困るし…と背後に振り返り、聞いてみる。
「あぁ、すみません。 最後に1つ、聞いても良いですか?」
「はい。 どうぞ。」
「登録する際、妖精が共にいるときはどうすればいいですか?」
「妖精ですか? 組合にはそう多くはありませんが、妖精と共に活動している者達がいます。 その者達は、受付で妖精も冒険者として登録をしていますよ。」
「そうですか…。 ありがとうございます。」
何か聞きたそうにしていたが、頭を下げて、部屋をでる。
「…フェア。」
「はい。 マスター。」
「これで姿を隠さずに、ゆっくり出来るな?」
「はい。 ありがとうございます。マスター。」
「良し! それじゃあ登録に行こうか。」
「はい!」
…今度こそ登録だ …小説のようなテンプレが起こらないよう切実に祈る。
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。




