防具屋で変わった楯に出会ったが…
本日4話目登録です。宜しくお願いします。
…武器の選択も終わり、今度は防具屋の前に来た。
防具屋は武器屋と違い、店に入ると所狭しと防具が並んでいる。 店主は若い女性のようだ。
「すみません。 防具が欲しいんですが…。」
「いらっしゃい。 スキルは何を?」
「剣術の初級です。」
「武器はもう買ってある?」
「はい。 先程スミスさんの所で買いました。」
「なら大丈夫ね。 私は[メル]。 この防具屋のです。 宜しくね?」
「此方こそ、宜しくお願いします。将明と言います。」 …どうやらメルさんは、スミスさんと違い、フェアの事は見えないようだ。
「それで、防具なんですが…」
「あぁ、防具なら、初級の内は革で統一した方が良いわね。」
確認のつもりでチラリとフェアを見ると、頷いている。
「そこら辺は、全く分からないのでお任せします。」
「分かったわ。サイズを見るから此方に来て頂戴。」と言われ、体に合った物を見繕っていく。
「鎧とジャケット、どちらが良いかしら?」
「? どちらがって… どう違うんですか?」
「うーん…。 どちらも革だから、防御力はそう変わらないんだけど、鎧の方は斧術や槍術を使う人が多いわ。 ジャケットの方は逆に、魔法使いなんかの敵に接近しないスキル持ちの人が多いわね。」
「成る程。 なら、一度両方着させて貰っても良いですか?」と確認を取り、まずは鎧を着て動いて見る。
…鎧の方は、やはり少し重く、ガントレットやレッグガード、ヘルムや大盾等も着けることを考えると、大分動きが鈍くなる。
…次にジャケットの方だが、重さはせいぜい地球にあった防寒コート位しかなく、腕に巻きつけるように装備する小楯やレッグガード、ジャケットに付けるフード等を含めても、それ程動きは阻害されない。
…守りを取るか、速さを取るか…
ふと、肩にいるフェアを見る。 …もし、今の自分達では適わない敵が来たとき、2人だけだと動きが阻害される方が問題か…
此方の考えが伝わったのか、フェアも理解したように頷いている。
「決めました。 ジャケットでお願いします。」
と告げ、その場で着たままの装備を買う。
ふと、フェアが肩を叩くので、其方を向くと、フェアが指差した所に変わった小楯がある。
「すみません。 この小楯は何ですか?」と聞くと、「それは武器屋のスミスさんが作った[ホイールシールド]よ。」と教えてくれる。
詳しく聞くと、このホイールシールドは、相手の攻撃を、[まるで球が坂道を転がって行く]ように受け流す専用に作られた…らしい。
思わず手にとって、軽く付けて見ると、通常の小楯よりも軽く、両手で剣を持っても、全く邪魔にならない。 「これは即買いだ!」とメルさんにこれも買うことを告げる。
…合計銀貨6枚になった。どうやらホイールシールドが、銀貨3枚近くしたらしい。
支払いを終え、普通の小楯をやや大きめの袋に入れて貰い、革のジャケット(フードは今は外している)、レッグガード、ホイールシールド、そして腰に剣を装備して、メルさんに礼を言って店を出る。
外に出たところで、周りに人がいないか確認すると、フェアに楯の事を聞いてみる。
「フェア。 このホイールシールドも剣のように何か感じるの?」
「いえ、其処まででは無いのですが、直感と言いましょうか… これが必要だ! と頭に浮かんだもので…。」と何だか申し訳なさそうに此方を見る。
「いや、自分も気に入ったから買ったんだ。気にしなくて良いよ?」
「…分かりました。」
「良し! それじゃあ組合に登録しに行くか。」
「はい。 マスター。」
フェアも笑顔になったので、組合に入る。
…いよいよ登録だ…
此処までお読みいただきありがとうございます。




