城から出て自由になる…
5月14日 一話目投稿です。よろしくお願いします。
…早朝、フェアを起こし、剣術の本を持って書庫から出る。
廊下に出たところで、昨日の騎士2人と合流。 他の騎士やメイドさん達に見つからないよう、騎士の後ろや物陰に隠れたりと、映画の中のスパイのような事をしながら城門まで進んだ。
城門の脇にある、小さな扉から出ることになるようで、そちらの方に王様と太郎君、孝太君の3人がいた。
女子2人はどうしたのか聞くと、「件の王女様が、自分が何処にもいない事を不思議に思い、探そうとしていたので、足止めをするために王女の部屋に泊まり込んでいる。」との事。
男子2人に見送りの礼と、女子2人に感謝の言葉を伝えてほしいと告げ、王様と騎士達にも頭を下げる。
王様に剣術の本の事を聞くと、「城の誰も剣術のスキルを持っていない為、持って行っても構わない。」と言われる。
「ついでにこれも持って行くと良い。」と王様が自分に封筒を渡す。
「この中には組合への推薦状が入っている。組合に着いたら、受付に渡すと良い。必ず役に立つはずだ。」と中身を教えてくれる。
再び王様に頭を下げ、礼を言おうとすると、「元は巻き込んだのは此方だ。詫びとして、これ位しかできないが、組合での活躍を祈る。」と言ってくれた。
少し泣きそうになっていると、城内が騒がしくなり始める。 どうやら王女が起きてきて、王様がいない為に探し回っているらしい(フェアが教えてくれた)。
騎士の1人に組合の場所を確認する。
皆に「短い間でしたが、お世話になりました。」と最後にもう一度頭を下げ、扉から外に出る。
扉の先は、狭い通路になっていて、周囲から自分の姿は見えないようだ。
「マスター。いよいよ外ですね?」
「あぁ。 何にしても、いきなりあんな大金を使うのはマズい。 まずは宿を確保して、組合に登録しよう。」
……そう。 登録さえ終われば、フェアも姿を隠す必要がなくなり、身分証が出来るので、旅に出ることが出来る。
「正直、30過ぎてこんなにワクワクする何て思いもしなかったよ。」
「世界も、マスターが困らないよう私を付けたのですから大丈夫ですよ? まずはこの世界を存分に堪能しましょう。」
「…そうだな… 色々スキルもあるし、何より自由なんだもんな!」
…そうだ。 1人じゃ情けない自分でも、今は相棒がいる。 折角異世界に来たんだ。思いっ切り楽しもう!
「……マスター、決意してるところを悪いんですが、宿だけはキチンと取りましょうね?」
…冷めること…言わないで…
此処までお読みいただき、ありがとうございます。




