あの時行かなければ…
初めての投稿です。 宜しくお願いします<(_ _)>
「どうしてこうなった…」と彼は言う。
彼の名は「木田 将明」。
最近仕事をクビになり、俗に言う黄金週間を怠惰に過ごし、家族に迷惑をかけていることを気にしつつ、職安等に通うもうじき31歳の半ばおっさんである。
その日は何故だか職安に通う気がしなく、近所の古本屋で時間を潰そうと、適当に興味のある本を流し読みしていた。この時素直に職安等に行っていれば、巻き込まれずに済んでいたのかもしれない。
もうじき昼になりそうな時間、そろそろ出るかと入り口の方へ向かうと、丁度中・高生位の少年・少女が4人本屋に入ろうとしていた。
「(サボりかな…)」そう思いつつ先に入ってくるのを待っていると、少女の1人がこちらをチラッと見て、「先にどうぞ」と勧めてくれる。
「どうも…」等と言いつつ、出ようとすると急に耳元で《ミツケタ…》と聞こえた気がした。
学生達のイタズラかと思い、そちらを見ると、学生達も聞こえたのかしきりに周りを見回している。
只の空耳ではない感じがして気味が悪くなり、此処から離れようとすると、足が全く動かず、ナニカに掴まれている感じがする。
辺りを見回すと、学生達を含む自分達以外の時間が止まったかのように、全てが固まっていた。
とりあえず年長者として、ビビりながらも「君達大丈夫?動ける?」と声をかけようとした瞬間、少年の内、1人の足元に穴が空き、足を掴んでいたように感じたナニカに引っ張られる感じで落ちていった。
「えっ…?」と残りの学生達が声を出した瞬間、今度は自分を含む4人の足元に穴が空き、先ほどと同じ様な感じで引きずり込まれる。
地球で最後に見た光景は、自分より少し遅れて引きずり込まれる少女の泣きそうな顔だった。
如何でしたでしょうか? 楽しんで頂けたのなら嬉しいです。