第二話 討伐隊01
第二話 討伐隊
1
モンスターの駆逐が終わって、多くの人は何となく、街の中心にある広場に集まっていた。このくらいの層は、多様なプレイヤーがいる。パーティーを組んで自分たちなりに前進を続けている者。ソロで自分なりに前進を続けている者。パーティーを組んで生き残ることだけを考えている者。大型ギルドに属して、この当たりを持ち場としている者。そして俺のような、ソロで手を抜いている者。
ソロのいいところは、こういうとき、悲しまなくていいことだ。多くの人間が死んだであろう事が、広場の空気からわかる。メンバーを失って嘆くプレイヤーも多い。仲間を失ったプレイヤーの何割かは、大地を戻りそこからソロに転向する。そのまま心が折れて、最初の方まで戻る人間も少なくない。
死ぬ人間より、残される人間の方がつらい、と俺は思う。死はただのゼロで、生きていることはマイナスだ。人生はバッドエンドで終わってくれない。その後にも呪いのように人生が続く。生きることにはグッドエンドもバッドエンドもない。ただデッドエンドがあるだけだ。
最終シナリオについて、支配者について。わからないことばかりだった。
けれど何人が、そのことに頭をさいているだろうか。
仕方ない、と思う気持ちが半分。けれどもう半分が冷静に判断する。こいつらはダメだ。
当たり前なのかも知れない。俺を含め、こんな場所にいる奴らは、ほとんどがみんな、最前線に立つ気概か腕かがないのだ。
もう限界だった。俺は広場を後にしようと背を向ける。視界の端で、何人かが同じように広場を離れようとしているのが見えた。広場の出口は北と南の二カ所だ。去るプレイヤーはそれぞれの方角へ向かうが、必然的にある程度固まって歩くことになる。俺たち、北の出口へ向かった七人ほどは、広場を出たあたりで声をかけられた。
「ちょっといいかな」
青年はこちらに歩み寄ってくる。心当たりがないので、他の六人の誰かに大してだろう、と俺は歩を進める。
「あ、七人ともなんだ。最終シナリオについて話がある」
最終シナリオ。その言葉に、俺は振り向いた。見ると六人も男の方に意識を向けていた。
「……うん、もうリミットかな。俺についてきてくれるかい? 酒場で少し話をしたいんだ」
俺は迷う。ついて行っていいものか。だが……。最終シナリオについてはわからないことだらけだ。もちろん、この男もちゃんとわかっているわけではないのだろう。けれど情報交換が無意味だとも思わない。それに――。
先程の戦闘。転移が出来なかったこと。ならば、最前線の高レベルプレイヤーがここに助けに来てくれる可能性はかなり低いのではないだろうか。もちろん、一部偶然、あるいは職人としてこの街にいたプレイヤーはいるだろうが、それでも数はそう多くないだろう。
今、この街で、俺はレベルが高い方に属すると思う。レベルはそうでもないが、数や割合という意味では。
それは、守ってくれる人がいないということだ。
情報の価値はあがる。知り合いの少ない俺は、自分で動くしかないのだ。だから、彼についてくることにした。
俺とともに彼について行ったのは四人。二人はどこかへ姿を消したようだった。