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死んでも楽しく生きてやる!  作者: ゾンビ専門カメラマン
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再起動

ふぅ。

思えばどんなゲームの主人公も、ゾンビにされた人の気持ちとかは考えなてないよね。唯一、映画版だけか。まぁ、あの女主人公とは似たような境遇だからなー。

ふむ。さて。


「殺してやるよ。それで、お前を食って外に連れて行ってやるよ。」


「グガガガ!俺ヲ殺スダッテ!?笑ワセテクレルゼ!」


「うるせえ。俺は死んでもお前を止めなきゃなんねえんだよ。」


「ヤレルモンナラナ!」


なんだか急に特撮のヒーローみたいになったね。でも、似たような物だよね。


怪物が飛びかかり、左右の鉤爪と体格を活かした攻撃を次々と繰り出してくる。俺は斧で捌きつつ隙を探すことしかできない。

…やはり、大雑把に攻撃を仕掛けて、手痛い反撃を食らった分、警戒しているらしい。その巨体に似合わない素早い動きで、細かい連撃を繰り返してくるので、反撃の糸口がつかめずにいる。

うーん。細かい連撃って言っても、人間だったら防御してもそれごとミンチに出来るほどの威力がこもっているな。反応できる速さなのが救いか。

このままじゃ、埒があかん。あっちもこっちも疲労はないし…腹は減るけど死なないからな。

それに、あいつの表面は酸性らしい。斧が少しずつ溶けてきている。


…仕方ない。


怪物が噛みつこうと飛びかかって来るのに合わせて、握りこみ蝋の装甲でコーティングした右手を突き出す。しかも、フルパワーだ。

手を固く握りしめた瞬間に、掌の骨と前腕の骨が折れる感触がしたが無視だ。

右手を怪物にぶち当てたら、鈍い音と共は弾き返すことができた。だが、右手はボロボロ。二の腕の辺りが解放骨折したし、その先についてはほとんど原形を止めていない。手首から先は無い。

足元の床も反動でひび割れが入り、両足にもダメージが入る。


うーん。一撃入れることは出来たけど、これは割りに合わんなぁ。考えなきゃあいつ殺すことはできんな。


「グググ…。今ノハ効イタゼ。」


そう言うと体を起こし、こちらに向き直る。

その胸元は大きく陥没し、その中心には俺の右手がまだ刺さっていた。

しかし、それも怪物が体を修復することで、体の外に吐き出された。


「…少シナ。」


「それは、ギリギリだからやめた方が…。」


「フン。ソンナコトヲ言ッテイラレルノモ今ノウチダ。」


怪物はグガガガと鳴くと、四肢を脹らませダメージを感じさせない動きでこちらに向かってくる。

そりゃ、回復を使ったんだから当たり前か。

対してこちらは、右手が全損、足のダメージは治したけど痺れは残っている。

うーん。

怪物の右手を斧で受ける。が、左手の一撃で俺の左手が根元から切り取られてしまう。

あー、これは。

そのまま怪物が、左肩に噛みついてくる。ぶちぶちと心臓の手前まで食い千切られた。

無理ゲーじゃね?

苦し紛れに蹴りを放つが、バランスが取れていないので対して効いていないようだ。足も切り飛ばされてついに動けなくなってしまう。


こちらにゆっくりと近付いてくる怪物の足音が聞こえる。

っち。こうなれば、自分の体の中にガスをためて、玉砕をするしかないか。



……


………


…………ピロリン


あ。


ピロリンピロリンピロリン


レベルが上がったことで、回復ゲージが最大になる。反射的に完全回復を行う。


「オラァ!勝負はこれからだぜ!」


事態を把握しようと一歩引いた怪物に向かい、立ち上がり怒鳴り付ける。


「グググ。マダ回復ヲ残シテイタカ。タガ、イクラヤッテモ一緒ダゾ。」


大丈夫だ。問題ない。

攻略法はさっき思い付いた。

残りの武器は、マチェット一本とククリが一本。斧はどっか行ったしマチェット一つは破壊された。うーん。何とかなるでしょ。


戦いが始まって、初めて俺から怪物に接近していく。油断なくこちらを観察している怪物は、どんな事態にも対応できるように全身に神経を張り巡らせているようだ。

それに向かい、マチェットを素早く引き抜き投擲する。怪物がマチェットに気を取られた瞬間に右に全力で跳ぶ。怪物には突然消えたように見えただろう。

壁を蹴り怪物の背中に向かってもう一度跳ぶ。空中にいる間に指を蝋でコーティングしておく。

そして、背中に着地した瞬間、連続で指を突き込む。


「ホゥワタタタタタァ!」


点穴爆砕の出番だ!

怪物が暴れだしたので、足を背中に突き刺し振り落とさせないようにする。ついでに足からも酸を注入。さっき、足を切り落とされて回復したから、素足なんだぜ!


「グガァ!」


さすがの怪物も、体内から溶かされるのは平気ではないらしい。

表皮がボロボロと崩れた所で、右手を握り締め周りを蝋で固める。そして、掌から酸を出し手を溶かしていく。蝋のなかで急激に圧力が高まっているのを感じながら、それを怪物の体内の奥まで叩き込む。


「パージ!」


手首を外し自分で引きちぎる。空いた穴はまた蝋で埋めて完成だ。

手首から先が無くなった右手を引き抜き、怪物の背中から離脱する。


「グガァァァ!」


怪物の背中が盛り上がり、回復が発動していることがわかる。しかし、回復する度に肉を溶かされているので、効果はあまり無いようだ。

それがわかっているのだろう、痛みを感じないはずの体だが、苦しげにのたうち回っている。

その体内に生体爆弾を仕掛けてきたはずだがなかなか爆発しない。


まさか、不発?蝋が固すぎたか?

と不安に感じながら見ていると、怪物が全身から煙をあげながらこちらに向き直ってきた。

む。不味い。


「ココマデヤルトハ思ワナカッタゾ。シカシ、ココマデダ―ドンッ!


台詞の途中で爆発音が響き、怪物の体が中から吹き飛んだ。

危なかった。あれでも死ななければ、どうしょうもない所だった。


疲労も痛みも感じない体だが、妙に疲れ、怠い気がしてその場にしばらくへたり込んでしまった。


そのまま休憩し、さて、後はこいつを適当に食って…

という段階になって、怪物の死体に変化が見え始める。

…頭側を中心として、肉が盛り上がりすこしずつではあるが回復しているようだ。

そう言えば、経験値が入っていない。…これだけやって死んでないのか。凄いな。いや、死んでいるんだが。


こいつの意識は今はない。と言うことは、意識のない間は自動で回復するのか?

それがポイントを消費しないかどうか、検証はしたくないな。

…良く見ると、ポイント消費時よりも回復速度が遅い。うーん。ポイント消費無しでも意識がない間は時間で回復すると見て良いかもな。検証はしたくないが。

これはあれか。ネトゲとかである待機回復みたいなもんか。違うところは、体力ゼロからでも復帰できるってことか。いや、この怪物が体力ゼロになったかは解らんが。


…うーん。

仮定ばかりで確定事項がない。

ぶっちゃけ考えたところで解らないし…ま、とりあえず。


腰からククリを取ると、怪物に近付いていく。


宣言通りいいただくとしますか。

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