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死んでも楽しく生きてやる!  作者: ゾンビ専門カメラマン
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セーフハウス

アントニオの料理は実に美味でしたね。

なんといっても、肉の目利きが非常にうまくて、極限まで熟成させたステーキは溢れる肉汁と特性ソースが絶妙な味わいを作り出していたよ。やっぱり、ステーキは霜降りより熟成させた赤身だよね。

さらに言えば、前菜の構成も実に巧み。新鮮な肉を使った刺身サラダから始まって、刺身と同じ肉を使った濃厚なスープ。口の中を整えるレバーペーストとパン。トマトをふんだんに使って味わい深く作られたパスタ。それらが次々と出された後、さっき言ったステーキですよ。

ステーキだけを食べたらうんざりしてしまうくらい強い味なのに、美味しく食べられたのも、それまでの料理で下地が作られていたからこそ!

デザートはちょいグロだけど脳味噌料理だったね。


え?前回の引きはなんだったのかって?

ふむ。

ぶっちゃけ、チャッ○さんがいない今、セーフハウスまでの道が開いてない可能性があり、助けた所で意味があるのかと思ってね。

それに、アントニオの料理も食べてみたかったって言うのもある。どちらかと言えば、こっちの理由の方が大きいかなー。

ゾンビになってしまった今、カニバリズムも辞さないし、ゾンビを食べてからというもの、そう言うことに忌避感が無くなっちゃったからね。

料理の香りに負けるのもシカタナイヨネ。

まぁ、彼女を使った料理は無かったので、問題はない!はず。


じゃ、何の肉が出て来たかと言うと、これが驚きなんですがステーキは牛だったんですよ。

なんでも、ドライエイジングであの味の肉にするには、牛ぐらいの大きさがないと無理なんだそうで。

あ、でも、それ以外の肉に関しては、きちんとゾンビ肉を使ってきたよ。まぁ、今回のアウトオブブレイクが起きてからゾンビになった鮮度の高いやつを選んだそうだから、新鮮なのには変わりないって言ってた。まぁ、最も、そう言われても食べたい人間なんていないだろうけど。


で、ですね。

素材の問題を無視したら非常に美味しかったので素直に称賛したんですよ。そしたら、憑き物が落ちたような顔をしたんですよ。えぇ。あれ?と思って、素材に関して注文を付けたらあっけなく受け入れてくれたんです。

なんと!サイコパスを殺さずに助けることが出来たんです!いやー。びっくりしただ。

まぁ、そんな訳で、アントニオと倉庫にいた彼女。二人とも助けることが出来たんすよ。

良かった。良かった。終わり良ければ総て良しってね。

アントニオさんがSAN値ゼロから復帰してほんまよかったわー。大阪人じゃ無いけど大阪弁が出るくらいよかったわー。


そんなわけで、三人…いや、二人と一匹(自分)で安全な場所に避難することにしたんですよ。

言っても、

女性(素手)

アントニオ(フライパン)

俺(素手)

って言う状態だから、とりあえず武器を入手しようってことになったよ。


俺はキッチンを調べた!

牛刀(っぽい包丁)を手に入れた!


女性はキッチンを調べた!

鍋の蓋を手に入れた!


アントニオはキッチンを調べた!

調味料ボックスを手に入れた!


女性は鍋の蓋を構え、こちらを睨み付けている!

あ、うーん。ま、そうなるよねー。

アントニオはもともとサイコパスだったし、そのサイコパスと仲良くしてる俺も怖いよね。

うーん。おーけい。わかった。


「おねーさん。こちらに危害を加える気はない。」


「No ! Don't come ! Go away !」


おぉ。なんか、アーケードゾンビシューティングの名作に出てきたNPCみたいなこといってる。

…じゃなくて!


危害を加える気がないことが伝わるよう、両手をあげながら近づき、牛刀の柄を向けて差し出す。


「アントニオ!彼女に危険がないことを伝えてくれ!」


「OK!」


アントニオが牛刀を差し出されて戸惑っている彼女に声をかける。

しばし、自分では理解できないやり取りが続くと、彼女が俺から包丁を奪い取り、こちらに向けながらも恐々と近寄ってくる。


「へい!彼女にはワタシタチが怪しい動いたら、刺して良いと言っておきまーした。」


「うむ。それで良い。」


俺にとっては、刺されたところでたいしたことないからな。


「さて、全員が移動に納得したところで、セーフハウスに行きたいと思うんだけど、それで良いかな?」


「Safe house?それは何?」


え?


「今みたいなアウトオブブレイクが起きた時に、非難するシェルターみたいなところだよ。まさか…」


「Safe house何て聞いたことないでーす。」


「おぅ…。マジか。じゃ、今みたいな状況になった時にはどうすれば良いんだ?」


俺はもうゾンビだから良いとして、この二人はここで生きていくには弱すぎる。


「Out of Breakが起きたら、Escape Roadを使って外まで逃げまーす。この施設は、Out of Breakが起きた時にはEscape Road以外の出入り口は閉じられてしまうのでーす。で、ゾンビが腐りきるまで放置されまーす。」


「…ほーなるほどね。生き残った人たちは命がけでそのエスケープロードまで行き付かなきゃいけないんだ。」


「その通りでーす!といても、One floorに一つずつ用意されていますので、脱出はそれほど難しくはないと言われていまーす。」あ


「良し。わかった!そこまで案内してくれ!」


了承したアントニオの後ろについて脱出口を目指すことになった。…まぁ確かに、あのゲームにあるみたいなSafe Houseよりも効率は良いのかもな。一回入った後は正面からの出入りはできないとか、大きな施設で一つしかないとか、良く考えると酷い設定だからな。



で、噂の脱出口までついたわけだ。

脱出口は初めに梯子を四メートルほど登るような構造になっていた。梯子を登れないゾンビの習性を取り入れた良い脱出口だと思う。一つ言うとすると、ゾンビ溜まりができやすいのが問題かなー。


ゾンビに追いかけられながら梯子を登る→ゾンビ梯子登れないのでそこに溜まる→何人も来る→ゾンビ増える→たまにゾンビ溜まりを抜けられずに死ぬ→更にゾンビ増える。


そんな流れがあったんだろうなー。梯子の前にめっちゃゾンビが溜まってる。

そうだなー。パッと見、ここだけで50はいるかもしれん。俺がスキル全開で蹂躙しても良いんだけど、人間じゃないのがばれるからなー。あのゲームではそこら辺に、ダイナマイトとか手榴弾とか落ちてたんだけど、さすがに現実だとそんなことないらしいな。これぐらい集まってると、死ばかり機…もとい芝刈り機で一掃とかも良いなぁ。

つらつらと考えながら、二人の方を見る。

あ。なんか、絶望しています。みたいな顔してる。…うーん。仕方ない。


「アントニオ。」


「What?」


「今から、あそこのゾンビを片づけて来る。ちょっと無茶するけど、心配はいらない。ただ、一つだけ。これから起こることは黙っていて欲しいんだ。よろしくな。」


そこまで喋ると、待て!死ぬ気か!!みたいなことを英語で言っているアントニオを放置して、隠れていた物陰から外に出る。そして、通路に出ている屋台を持ち上げ、ゾンビに向かって投げる!


「そぉい!」


掛け声はこれしかないだろ!

轟音を立てながら着弾。ゾンビたちをひき潰していく。残ったゾンビは片っ端からモツ抜きを実施。やっぱこれは一回ぐらいやっとかないとね!

あっという間に梯子の前を確保した。


アントニオたちを呼ぶと、恐る恐るこちらに向かって来る。アントニオでさえ、俺に向かってフライパンを構えている。うーん。まぁ、そうなるよね。

なので、アントニオに釘を指し、梯子を登らせて脱出させる。


「アントニオ。今のこと喋ったら、お前の体でメインディッシュを作って食わせてやるからな。そっちの女にも言っとけよ。」


「ヒィ!わかりましたぁ!」


そう言いながら、びくびくと梯子を登って二人は脱出していった。


ピロリン!ピロリン!

お!2レベルも上がった。

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