深い夜の空
空にかかった橋の向こうに、一緒に宝箱を探しにいこう。
そう言って、あの人は突然私の前から消えた。
最後の言葉なんて、いつも通り。
「じゃあまたね。」
そう言ったって、またっていつになるのよと愚痴を言うことすらできない。
いつも愚痴はあの人が聞いてくれていたから。
時に同意し、一緒に泣いて笑ってくれたあの人は私にとって救いだった。
なのに、何で一人でいってしまうんだろう。
帰ってくるからって、そんなフラグをたてるような台詞なんて聞いてないからもう逢えないんじゃないかって。
これが最後の。なんじゃないかって思えてしまう。
ひとりで何もかも仕舞いこんで消えてしまわないで。
私が彼への想いを認識した時だった。
そう、思ってた時期もありました。
彼に置いていかれたと泣いて、
彼が異性として好きなんだと自覚して呆然とし、
いつも圏外か電源が入っていないと言われて憤ったり。
漸くこれじゃいけないわ、と立ち上がった頃に彼から絵葉書が届いた。
週末だったこともあって
無事だったことにほっとして号泣してしまった。
翌朝真っ赤な目をした顔には笑ってしまったけれど。
彼は不定期であちこちに出張として飛ばされてるらしく、手紙は一方通行が良いなと書いてあった。
でも、そこは私をよく知る彼で、書きたいだろうから、書いた手紙は君と次に逢うときにまとめて渡してほしいっていってくれた。
筆不精だった彼は今ではマメに手紙をくれる。
おかげで送れない手紙を仕舞った箱は徐々に大きいものへと代わっていってる。
早く帰って来なさいよ。
待ってるのも辛いんだから…バカ。