NO,15 「激突!」
お久しぶりです。生きてます。やめません。やらせてください! ……見捨てないで。。。
短いですが読んでいただければ嬉しいです。……それと……。
そ、それと。。。久々の更新がこんな内容で……。本当にすまないと思っている……orz
家は、人が住んでこそ生きる。人がいない家はいくら作りがしっかりしていようとも、すぐに傷んでしまうものなのだ。
そう、元の世界でよく言われていたなと考えつつ、冷鷲は虚ろとなった町を探索していた。
街の様子は綺麗なものだった。決して建物や街並みが美しいというわけではない。
ただ、この街は何かに襲われて住民が消えたわけではないようだと感じ、納得できる程度には破壊の後が見つけられなかった。
去ったのだろう。それも少なくない月日が経っている。
捨てられたのか。それともやむをえない理由があったのか。知る方法はないが少しだけ気になってしまう冷鷲だった。
主人のいない町並みからは、何とも言えない孤独感のような、虚無感のような。一人だけ時間に置いて行かれたような。そんな気にさせる不思議なものを感じた。
寂しい場所だ。そう思った。
とりあえず無人であるという確信は得られたものの、だからといって安全とは限らない。目で確認できる範囲に生き物の気配は感じられないが、非実態系のモンスターならいる可能性は捨てきれない。
そう想うやひや腰の片手剣に手を伸ばしいつでも抜剣できるようにする冷鷲。少し遅い気もするがこの反省は次の機会に生かしてもらいたいものである。
依然として町は静かなもので、本当にこの場には自分だけしかいないのではないか。そう言った思いが鎌首をもたげかけてきたころ、彼はそれを見つけた。
「教会。いや、聖堂……か?」
そこにあったのは荘厳な空気を醸し出す建築物。石造りであり、白と言うよりは透き通ったグレイと言った感じの明るい印象を思わせる石材によって組まれていた。
扉は木製であるが、どうやら作りがしっかりしているからなのかまったくくたびれていない。現役バリバリである。
入るか。そう思い一歩を踏み出して思いとどまった冷鷲は思案する。
「……めっちゃ入ってみたい」
思案……、しているのだろうか。
「よし、行こう」
頭の中での会議にて結論を出した冷鷲は少し警戒しながらもやや足早に教会らしき建物へ入っていった。
* * *
中はいかにもな教会だった。
扉を開けてまず目に飛び込んでくる礼拝堂のような大きなホールには、整然と並べられた長椅子があり、それらはまるでここは神聖な場なのだと、そう物語っているようだった。
それら長椅子を抜けた先には一段高くなっている場があり、そこには重厚な題と、その上に1冊の開かれた本がおかれていた。
念のため剣を持ち、近づいて左手で触れてみるが何も起こらない。
持ち上げることはせず、丁寧に観察してみることにした。
装丁はしっかりしている。見るからに聖書か、もしくは魔術書の類だろうと思われるが……。
「なんて書いてるんだ?」
読めるかどうかは分からないがとりあえず開いているページを覗きこんだ。
開いているのはどうやら初めのページらしく序文の様なものが書かれている……と見た。
『エロい夢、めっさ見る(エロイム、メッサミル)』
そして彼は読むのをやめた。
勢いよく本を閉じると題名が露となった。
【逢瀬の書】
ふつふつとわき出るこの感情、これはいったいなんだろう。
そう心の中で他愛もないことを考えながら一歩後ろに下がる。
息を整え正眼に剣を構え、大きく振り上げる。
そして叫んだ。
「喧嘩売っとんのか! 売ってんだろう? 上等だ叩き切ってやるわごらあ!!」
ぶち切れていた。彼は怒っていたのだ。それは大地を焦がすような生ぬるいものではなく、全てを溶かすマグマの様な怒りだった。
人間、特に男なら結構な割合で感染する中2病。彼もその昔……から今にかけてそれを患っている。
その中でも魔法や魔術と言ったものに憧れを持っていたころが彼にもあったのだが、そこでそれなりに魔術書についても知識を得ていた彼にとってこれは、どうやら我慢できなかったようだ。
「チイェストオオーー!!」
これまでにない気合と気迫で件の魔道書に向けて剣を振り下ろそうとする冷鷲。だが、ここで思いもしない出来事が彼を襲う。
「ちょっ!? ちょっとちょっとっ、やめてってば!!」
不意に上から人影が下りてくるやひやそう叫んだ。
だが、彼の体は止まらない。あり余る怒りの力を剣に載せ、大気すら切り裂く勢いで今にも剣は振り下ろされようとしていた。
止まらない。止めることができない。彼はそう悟り焦った心で考えをまとめ行動に移した
剣が動く。ぶれるようにしか視認できないほどの速度で剣が駆ける。
「……くっ」
目の前の人影に触れるその直前。彼は前へと向かう力を無理やりに上へと向きを変えそのまま剣を放った。
よかった。目の前の人影は傷ついていない。
だが、体は止まってくれない。
そう、止まらないのだ。
「やばっ!」
「えっ? ちょっ!?」
剣を振り上げた勢いそのまま彼は目の前の人影へと突っ込んだ。……顔から。
「……うっ!!」
「……ふっ!!」
振れる唇。だがそれだけで動きは止まらない。
「……!!」
「……!!」
ぶつかった勢いそのままに例の魔術書(?)がおかれている題へと二人で倒れこむ。
それは傍から見ると冷鷲が誰かを台へと押し倒しているようにも……否、どう考えても押し倒しているようにしか見えない図だった。
「……」
「……」
その日、冷鷲と言う男は、見知らぬ人影とファーストキスを交わしたのであった……。