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NO10, 「結局は……」

 「うふ。うふふふふ」

非常に気持ちの悪い笑い声からの始まりをどうか許していただきたい。……? この出だしはデジャブ?

というのも、ナイフが完成したのだ。

一時はどうなることかと思った木工、服飾スキルだが、素材を手に取り、作りたいものをパネルの中から選んだところ、見る見るうちに彼の体がひとりでに動き出し、さっさと作業を完成させてしまった。

それはもう面白いほどの完璧具合であり、逆に完璧すぎて違和感を感じるほどのものだった。……しかしそういうことなら、何故鍛冶の際には体が自動的に動かなかったのだろうか。

そんな疑問を感じた冷鷲は今回の作業と前回の作業との差を考えてみることにした。

前回の作業ははっきり言って何もわからなかったため、今回と比べて意気込みが違った。……それか?

いやいやいや、違うだろう。

そんな考えを頭の中でぐるぐるやっていても埒が明かないためとりあえずやってみることにした。

  * * *

 結果から言わせてもらえば、彼の考えはあっていた。

再び金床の上へと鉄のインゴット(中)をセットしてパネルを操作していく。

今度は体が勝手にやってくれるようなイメージをしながら作成可能な物の中の一つ、

鉄製の刀身サバイバルナイフを選択した。

すると、彼の体はひとりでに動き出し、見る見る間に金床の上のインゴットを打ち始め、昨日の苦労は何だったのかと言いたくなるほどあっさりと、完成させてしまった。

 「う……。ウゴアアアアアア!!」

悲痛に響き渡る男の慟哭は、空しく空へと吸い込まれていった。

 そんなこともあり、あまり喜ばしくない結果で疑問を解消した冷鷲はのろのろとしながらも、再起動を果たした。

まあ、刀身まで作っちゃったし、もう1本ナイフ作っちゃおうかなと思いついたのだ。

いや、そうでもしないとやってられなかったのかもしれないが……。

ほどなくして、さっさと作業を終わらせた冷鷲は目の前に2本のナイフを置き眺めてみた。

どちらも基本的などこにでもあるような、そんなナイフだ。

刃あたりはおおよそ20cmほどでそれより少し短いほどのグリップ部。シースも革製のものでとてもベーシックなナイフと言えるだろう。

そんなナイフが2本。

同じ素材から作られたため、見かけは区別できないほどである。

だが、この2本には決定的に異なる部分があるのだった。

……刀身である。

冷鷲が自ら打ったものとそうでないもの。

ただそれだけの差だというのに、両者には性能という観点で大きく異なる部分があった。

このことに気が付いたのはナイフを作り終えてゲーム時代からの癖である、ステータス確認を行った際のこと、

二つのナイフの性能が一致していないことに彼は気付いた。

具体的にはこんな感じである。

  

 鉄製のサバイバルナイフ

攻撃:15

耐久:100

重量:1

 鉄製のサバイバルナイフ

攻撃:18

耐久:120

重量:1

  

このような感じだ。

もちろん性能が良いほうに筋肉痛と引き換えに完成した刀身を使用している。

このことから、あの辛い筋肉痛にはきちんと意味があったのだと分かり、人知れず血涙を流していたのはまた別の話。

だらだらといろいろなことを言ってきたが、結局は

「良い武器を作るためには、筋トレが必要ということか……」

と、この言葉に限るだろう。

ここで、良い物ではなく、良い武器と言うのがいかにも彼らしい考えである。

兎にも角にも、この日から冷鷲のせっかく異世界に来たというのに、体を鍛えまくるという暑苦しい日々が始まった……。

 「筋肉イェイイェイ!!」


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