雨
体交われど 血は交われず…
…あれ、子供ができれば血だって…
ああ、鬱陶しい雨だ。
傘を持たない私に容赦なくふりそそぐ。
顔も体も、雨のせいでびしょぬれだ。夏服うすいのに。
家まであと2kmだろうか?いつもの看板がみえてきた。
「ふう…」
やっと家についたが、誰かいるらしい。
玄関に大きな黒い男の靴がある。
こんな金のない家にようがあるのだろうか。
「誰ですかー?」
問いかけてみたが返事はなし。
現在の時間はAm2時。
あんまり騒いだら次こそこのマンションから追い出されかねない。
しかたなく寝室に足を踏み入れたとき、首にヒヤリとした何かがあった。
反射的に動きをとめる、が、冷静になり再び問う。
「…誰ですか?」
犯人らしいそいつは、冷静な私に少し驚いたのか、冷たいソレをおろした。
「……おまえ、殺されそうだったんだぞ」
あれ?れれ?
…かっこいいなこいつ。
月明かりに揺れる黒髪、以外と細いのにしっかりした腕。
でもなんだろう。この人…。
「おまえの名前はなんだ」
いきなり低い声で名前を聞かれた。
「え…と、サリー、だけど」
驚きながらも答えると
「お…、オレはレーイ」
何故か照れながら答える彼。
そう、この日からだ。
不思議なふしぎな、私たちの時間が始まったのは。