アンドロイドと霊力
その時、上で回っていたシャインの魂が聞いた。
「・・人間ではなくアンドロイドならば入れるのか」
ヤーコンの魂が震えた。
「そうだ、ケイン様を襲ったメイドはシャイン殿と同じ超古代の機械だ。あれならば、なんとかなるかも・・」
「なんじゃ、それは?」
ケイン達が自室でメイド型アンドロイドに襲われたことを知らないジュンサイにヤーコンが説明した。
「なるほど、他に良い考えもないし時間もない。やってみるしかあるまい。その機械は今どこに・・」
「死んだ人間と同じであれば、地下の遺体安置所のはず」
「地下か・・ふーむ。よし、では急ごう」
ふたつの魂と白魔導師は、今いる塔の最上階からあたふたと地下へ向かった。
「これがアンドロイドというものか、人の形はしているものの不気味なものよのう」
遺体安置所に置かれたケインを襲ったアンドロイドを見てジュンサイが言った。
アンドロイドはシャインが倒した時と同じく、全身のっぺりとした銀色のまま横たわっていた。
「では時間がもったいない。早速はじめるとしよう。覇道の105番、霊魂の一体じゃ」
ジュンサイはそう言うと銀の輪の付いた杖を大きく振り、音を響かせ始めた。
その音に呼応して、シャインの魂はまた渦を巻いて回り銀色のアンドロイドに吸い込まれるように重なっていった。
しかし、しばらく経っても横たわった銀色のボディには、何の変化も無い。
ジュンサイの傍らに降り立ったヤーコンの霊が言った。
「うーむ、どういうことですかね。ピクリとも動きませんね。生きている霊魂が入ったのですから何かしらの動きがあるはずですが・・やはり、超古代の遺物には覇道は効かないのでは・・」
杖を動かしながらジュンサイは確信を持って否定した。
「いや、覇道とは森羅万象、この世界の全て、万物の事象の真理を示したもの。たとえそれが時間を隔てた超古代のものであっても、この宇宙の理から外れるものではない。未熟な我々の導きが誤っているだけじゃ。よーく考えるのじゃ」
「・・・このアンドロイドとは、機械だと言ってました。つまり「物」なのです。しかしシャイン殿は、あの霊魂を見ても判るように、人間ではないが「生き物」です。その違いが問題なのではありませんか」
「ほう、そういうことか。・・では、「物」を霊魂の力で動かせれば良い訳じゃな。それならば話は簡単じゃ。何も100番台の難しい技を使う必要は無い。覇道の基本中の基本、霊魂の霊力の増加、気の注入じゃ」
ジュンサイはそう言うと杖の動きを変化させ、より大きく動かした。銀輪の響きも大きくなる。
新たな呪文が遺体安置所に響き渡った。




