負荷
「・・・ケイン殿、お気づきになられたか」
「・・あ・・、シャインさん。ぼ・・僕はどうしたんだろう・・」
ケインは[イオノスⅣ]のコントロールルームの中で、接続装置に繋がったまま気絶していた。
シャインは、ケインを優しく抱きかかえながら、ささやくように言った。
「[イオノスⅣ]との接続は、かなりの肉体的・精神的負荷が発生します。ケイン殿は初めての接続で影響が大きすぎ気を失ったのです。長時間の接続は程ほどにしたほうが良いでしょう」
「そうなんだね。ふー・・。あれ?シャインさんはこの部屋に入れるの?」
「私は、あなたのSPです。あなたが行けるところは、基本的に全て入れます」
「下に誰かいなかった?」
「ジュンサイ殿とヤーコン殿がおられましたが、『操りの間』の防衛システムが作動するのであの二人は入ることはできません」
「やっぱりムリか。ちょっとかわいそうだね、フフっ」
笑う顔は15歳の少年のままだったが、その瞳には大きな苦悩を抱えた深遠な輝きが宿っていた。
「とりあえず、この部屋をでて一旦休憩しましょう」
「そうだね。そうしようか。。あ、そうだ。シャインさん、お願いがあるんだけど・・そこに眠っているカール大帝を運んでくれないかな」
シャインは、一瞬何のことか理解できず首を傾げたが、横たわっているミイラを見つけるとすぐに納得したように答えた。
「・・・わかりました。前マスターのカール大帝ですね。ここで亡くなられていたんですね」
「うん、多分シャインさんがさっき言った、[イオノスⅣ]との接続の負荷が原因じゃないかな」
「多分そうでしょう。ケイン殿も気をつけてください」
シャインはそう言うと、ケインを優しく立ち上がらせ、大丈夫なのを確認すると、カール大帝の亡骸に近づいていった。
「おお、ケイン様。ご無事でしたか!」
『聖なる扉』が開き、ケインが戻ってきたのをジュンサイが見つけ声を上げた。
「な、、シャイン殿は何を持っておられるのだ」
ケインの後から出てきたシャインを見たヤーコンは、シャインが抱えているものに気がついた。
『操りの間』から廊下に出てきたケインは顔色も悪く疲れきっていたが、質問をしたくて仕方ない様子の二人を見返し、部屋の中で起きた事柄をかいつまんで説明した。
「すると、その亡骸はあのカール大帝なのですか」
恐れおののいたヤーコンは、数歩後ずさりしたが、興味津々の目つきでシャインが抱えているミイラを見つめていた。
「うん。あの部屋で亡くなったので、誰も連れて帰ることができなかったんだ。僕達王族のご先祖様だもんね。丁重に葬ってあげないと・・」
そう言うと、ケインは足元をふらつかせ倒れそうになった。
一番近くにいたジュンサイが、かろうじて支えはしたものの、ケインの疲労はピークに達していた。
「ケイン殿には休息が必要だ。早急に部屋にお連れし、十分な栄養と睡眠をとらせてください」
シャインがヤーコンに依頼すると、ヤーコンはそそくさと動き始めた。
「おお、そうだな。死んだ者より生きている者の方が何百倍も大切だ。ささ、ケイン様。お部屋へ戻りましょう」




