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彗星の時  作者: 燕兄さん
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ケイン大帝

「あ、シャインさんだ」

戦鉄牛の一頭に切りかかっていくシャインの姿が見えた。

「そうか、シャインさんは『半有機サイボーグPX2008型SPタイプ』なんだ。どうりで強いはずだ」

 戦鉄牛に飛びかかったシャインは、戦鉄牛の頭部に取り付き、手にした刀で装甲に切りつけていたが、歯が立たないようだった。

「高周波ナイフもエネルギー切れなんですね。ではこちらから撃ちましょう。シャインさんはどいてください」



 シャインは、戦鉄牛の頭部に取り付いて、とりあえず装甲の弱そうな部分を「天の国」軍から借りた刀で切りつけていたが、全く効果はなかった。

「やはり無理か。この刀では硬度が低すぎて、RX23タイプ万能型機甲歩兵の装甲には傷ひとつ付かない・・・ん?」

シャインは何かに呼ばれたように空を見上げ、いきなり叫びながら戦鉄牛から飛び降りた。

「離れろー、戦鉄牛から離れるんだー、まきこまれるぞー」



 シャインが着地し、数十メートル離れ、『天の国』の兵士達も蜘蛛の子を散らすように戦鉄牛から離れた瞬間、9体の戦鉄牛に真上から細い光りの槍が突き刺さった。

 それまで、蟻を踏みつけながら進む象のように圧倒的な強さを誇っていた戦鉄牛が、突然その動きを一切止め、次々とその場に地響きと供に倒れこんだ。

 その光景を目の当たりにした天の国の兵士達にどよめきが起こった。

「いったいどうしたんだ。なにがあったのだ」

 命は助かったものの、目の前で起きた出来事にとまどいが隠せない。

 その時、土ぼこりの中で既に瓦礫となっている戦鉄牛の上に人影が現れた。

 ケインだった。

「勇敢なる天の国の兵士達よ。安心するが良い。今、天の国は再び天神の力を手に入れた。戦鉄牛など恐れることはない。「地の国」とて、もはや取るに足りない弱小国にすぎない。我ら「天の国」こそ神に愛でられた偉大な大国なのだ」

 倒れた戦鉄牛の上に立っているケインは、まだ少年の面持ちをした若い姿だったが、その声は周囲数キロまで届くような威厳のある奥深い声だった。

 あっけに取られた兵士達は、阿呆のような面持ちでケインを見つめていたが、一人の兵士が呟いた。

「あ、あれは、王族のケイン様だ」

「ケイン様といやぁ、例の、噂の・・本当だったのか・・」

倒れた戦鉄牛の周りに集まった兵士達の間に、ざわざわとした声が広がっていく。

 そのタイミングを見計らったかのように、ケインは右手を上げて腹に響くような声で言った。

「我が名は、ケイン。カール大帝の真の後継者であり、天神の力を受け継ぐものなり!」

それを聞いた兵士達は歓声を上げた。

「うお~、やった~。ケインさまぁ、ケイン大帝、大帝ばんざーい」


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