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彗星の時  作者: 燕兄さん
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黒い男

 その夜、本来漆黒であるはずの天空に、一筋の長い光の帯が横たわっていた。数百年に一度だけ現れるその星は、長い長い尾を引いた大彗星だった。

 その輝きは、まるで夜空に穴が開き、その穴から神々の輝く血が噴き出したかのように禍々しく見えた。人々は、自分には凶事が起きないよう各々が信じる神を思い、巨大なほうき星が浮かんだ夜空を不安げに見上げていた。


「ここはどこだ?...」

 一人の男が彗星の輝く夜空を見上げていた。

 男が立っている場所は、明かりひとつ無いジャングルの中の小高い丘の頂だった。丘の周りには、原始の野生がむき出しになった森だけが広がっていて、人間が通れるような道どころか野生動物が通る獣道さえ見当たらない。

 にもかかわらず、その男の服装には汚れひとつ付いていなかった。

 短髪に刈り上げたその浅黒い顔は、20歳前後に見えた。

 全身つや消しの黒色の服を着て、背中には何か荷物の入った小型のバックパックのようなものを背負っている。

 しばらく空を見上げていた男は、彗星を含めた夜空の星々を全て見飽きたかのように視線を下に移し、自分の両手を見つめ始めた。

「俺は誰だ?」

 まるで初めて動かすかのように、両手の指をばらばらに動かしたり軽く握ったりしてみてその動きをじっと見つめていた。


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