第12話「同盟締結」
黒ローブの男との夜の学校での決闘を終えて
屋敷に戻ってきた未来人が一向と家主。
その場所ではこれからの事と同盟について熱く話し合っていた。
「ま、取り敢えずはこんな感じで良いだろう!今日から俺たちは仲間だ!」
「皆様よろしくです。」
「よろしくねセキ!」
「・・・よろしく。」
「なんだ?!元気ねぇな蓮!!あれか、セキに殺されかけたからか?」
「そうですよね、やっぱりまだ気にしていますよね、本当にごめんなさい、殺す気はなかったんですよ。ほら、泣いて謝りますんで。」
しくしくと目を抑えて泣く演技をするセキ。お前はしつこい男だと俺を貶すブライス。少女が可哀想だと庇うカナン。・・・いや泣きたいのはこっちだよ。
「気にしてない訳じゃないけど、もう良いって。こうして5体満足で生きてるし、正直言ってセキとの同盟は心強いよ。」
「良かった・・・えっと、カナンはどうなのかな?」
「私は全然気にしてないよ。無警戒に1人で学校に行った蓮が悪いし。ブライスとセキによる戦力増加は嬉しい限り、これで残りの結晶も集められそう。2人は今幾つ持ってるの。」
「私は1つだけです。」
「俺も1個だけだ!」
「あれ、元々結晶を目印に座標固定して飛んできたから、、つまり貴方たち1個も集めてないじゃない!」
「いや俺は来たばっかだし。」
「私は蓮さんをやり損ねましたから。」
「カナンと俺で集めたのが合計2つ。セキとブライスのを合わせて、全部で4つか。」
「残り5つ。他の勢力が持っている可能性が高いね。」
「なんで?」
「それはね蓮さん、私たちが感知した結晶の反応的に、もう大体は誰かに取り込まれているんですよ。」
「つまり、これからは他の勢力との直接対決が続くと言う事。」
「ま、全部蹴散らせばいいだろ!」
「そうですね!」
すごい、みんな気合十分、本当に頼もしいな。
これからはもっと過酷な戦いになるのだろうに。
「では今晩の会議は終了ですね。カナン、屋敷の案内を頼んでもいいですか?」
「俺はアジトに帰るなぁ〜。」
「じゃあなブライス、そしてちょっと待ってセキ。
なに普通に屋敷に居座ろうとしてるんだ?」
「え、ダメですか?」
「ダメだ。」
「・・・私、もうこの時代のお金ないんですよ。
家だって、友達だって、うぅ、うわ〜ん。」
「・・・蓮、貴方って人は。」
「あーはいはい、分かった分かった、家ない系ね、カナンと一緒ね、全然良いよ!」
「ありがとうございます!ではカナン。」
「えぇ、まずはこっちが寝室で──」
だから泣きたいのはこっちだ、まったく。
セキの嘘泣きはともかく、カナンから向けられる軽蔑の視線には耐えられないんだよ。
そして始まるカナンさんの江古田屋敷案内ツアー。
セキは物珍しい日本の歴史ある家に興味津々になりつつ、2階の案内をする前に疲れたと言って寝室で眠ってしまった。
さすがに慣れが早いし自由すぎる。この子に遠慮とかの精神はないんだろうか。いや、それだけ信頼されたと思うべきなのか。
シャワーを浴び終えて傷の手当てを済ませ、
寝る前に縁側で中庭を眺めていたら
少し眠そうな顔のカナンもやってきた。
「──どうした? 眠らないのか?」
「眠る前に一つだけ、蓮、貴方に聞いておきたいことがあるの。」
「? 」
「今夜、蓮は仇を討ち終えた。もう貴方が戦う理由はないはず。私もブライスやセキと同盟も組めたし、だからその、無理に──」
「カナン、俺は戦うよ。」
「──え?」
「別に俺は家族の仇を取る為だけに、あの剣を握ったんじゃない。一先ずは目標は成し遂げたけど、まだやらなきゃいけない事は残ってる。
それに約束したはずだ、カナンが回復するまでは変わりに戦うと。」
「・・・本当にいいの?」
「もちろん。」
「・・・なら、これからもよろしくね、蓮。」
「あぁ。」
カナンとお互いに見つめ合う。彼女の美しい青い瞳には確かに俺が写っていた。そうだ、俺が戦う理由なんて、今はそれで良いんだ。
それから寝室に向かい、ゆっくりと目を閉じると、今夜の戦闘の疲れからか、泥のように深い眠りについたのだった。
そして明朝、いつも通りカナンとの稽古を終えて朝食を摂り、昨日と同じように制服を着込んで学校に歩いて向かう。
「あ、蓮さん蓮さん、あれって何ですか? あとアレは?」
「・・・」
いつも通りではないのはコレだ。
制服を着た黒髪の少女は楽しそうに隣を歩いている。
その口からは言葉が飛び続けて止まらない。
こっちの反応などお構いなしの怒涛の一方通行。
「あれ、蓮さん元気ない? なんで? 朝から辛気臭そうな顔してると幸せ逃げちゃいますよ。あ、現代ではこういう風に言わないんですかね。」
「いや、表現は合ってるよ。うん、合ってる。」
「良かった、じゃあ無視しないでください。次無視したら締め上げます。」
「───はぁぁ。」
学校に着くまでの静寂の朝を返して欲しい。
一体どうしてこうなったのか。
まぁ理由としては至極単純な事で、なぜか俺の学校の女子生徒の制服を持っているセキが護衛を兼ねて登下校を共にしてくれるのだ。そして学校にいる間はセキはどこかの空き教室にて待機する。
そう、これがまた学校に行くためにカナンが提示した最低限の条件だったのだ。そこまでするなら、もう学校は休むと言ったらセキが大反対してきた。私、学校に行きたい、と。
朝からいい迷惑だし、本当に呆れたやつだが、カナンから聞いた未来での生活を考えるに、確かに少し不憫だなと思って俺は断ることはできなかった。
「ほら、置いてっちゃいますよ!」
「・・・あぁ、今行くよ!」
2人で笑いながら駆け足で学校を目指す。
いつもは独り黙って歩く通学路も
今日からは走っていく事になりそうだ。
「──ほんと、いい迷惑だな。」
そう微笑みながら呟いて、未来から来た無邪気な少女
の背中を追いかけた。




